マジックインキ
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マジックインキ(Magic Ink)、またはそれら染料インクを使用するペンを指してマジックペン、更に略してマジックと云われる筆記用具は、様々な物に対して等しく使用でき、また非常に落ち難い性質を持つインクを利用した物である。特に油性(有機溶剤を利用している)の物が多かったが、近年では顔料の発達により、水性の物も登場している。なおマジックインキは、株式会社内田洋行の登録商標である。製造・販売は寺西化学工業株式会社。なお、マジックインキ本体や箱には製造・販売元と登録商標保持者が異なるためか、企業名を表示していない(電話番号のみ表示。寺西化学工業の電話番号)。一般名称としてはフェルトペン、マーキングペンという。
[編集] 概要
この筆記用具は、フエルト製の先端部に絶えずインクが毛細管現象によって供給されるため、書く角度による影響を受けにくい。金属、耐油性プラスティックまたはガラス製の軸の中には綿に染み込ませたインクが入っており、ここから先端部にインクが供給される。
特筆すべきはそのインクで、有機溶剤に溶かし込まれた染料・樹脂は、塗布後数秒から数分で乾燥・固化する。インクが染み込む性質が極めて高い。
- ゴム製品やプラスチック製品に対して使用した場合は、溶剤がそれらを溶かしながら染料が定着するため、やはり耐候性に優れるが、それら製品の強度を損なう恐れがあるため注意が必要である。その一方で、マジックインキに利用されているキシレン等の溶剤の性質上、発泡スチロール、軟質塩ビ製品などの一部合成樹脂製品には向かない。
また使用されている有機溶剤には強い揮発性と有害性があるため、蓋を外したままにしておくとすぐに乾いて使えなくなってしまう他、締め切った部屋で大量に使う事は勧められない。換気が必要である。近年ではこれら危険な有機溶剤に代わって、安全性の高い溶剤を使用したり、水性の顔料を利用する製品も登場している。