ベルベル語
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ベルベル語は現在主にモロッコ、アルジェリアで話されているアフロ・アジア語族の言語である。正確にはベルベル語派乃至ベルベル諸語と呼ぶべき物で、少しずつ異なる同系統の言語の総称であり、大きく分けて、タリフィート、タマズィグト、タシュリヒートの三つの方言がある。タリフィートは北モロッコ、タマズィグトは中央モロッコ、タシュリヒートはアルジェリアで話される。
ベルベル語はどの国でも公用語ではないが、ベルベル語話者の中には他の言語を話せない人もいる。モロッコ、アルジェリアともアラビア語を重要視する政策をとるため、話者は辺鄙な山間部の村などに多く、家庭の中でしかベルベル語を話さないこともある。しかし、ベルベル語はアラビア語が広まる以前には、北アフリカで幅広く話されていた言語である。
ベルベル語話者は「ベルベル語」という呼称を一般に好まない。これはベルベルがギリシャ語で「野蛮人」を意味するバルバロイから由来することによる。今日ヨーロッパ諸国で比較的よく用いられる言い換えは、本来北モロッコで話されるベルベル語を意味するタマズィグトである。特に北部ベルベル語を指すときにはこの表現が好んで用いられる。
北アフリカ諸国ではベルベル語話者を公式の人口統計で集計していないため、ベルベル語話者の正確な人口を知ることは困難である。ベルベル語話者はモロッコ、アルジェリアのほか、中央アフリカ諸国、エジプト、フランスなどに住む。1955年の A. バセットの概算によれば、ベルベル語話者の人口は全世界で約550万人である。
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[編集] 参考文献
- 石原忠佳・新開正『ベルベル人とベルベル語文法』新風舎、2006年