フル スペクトラム ウォリアー
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フル スペクトラム ウォリアー (Full Spectrum Warrior)は、米Pandemic Studiosが開発し、THQが発売したリアルタイム式戦術シミュレーションゲームである。
[編集] 概要
このソフトは元来アメリカ陸軍の要請を受け、南カリフォルニア大学のICT(創造技術研究所:米陸軍が出資した研究機関)およびPandemic Studiosにより開発されたFull Spectrum Commandという兵士訓練用のMOUT(市街戦)シミュレータが原型となっている。アメリカの税金を使って開発されたソフトではあったが、版権はICTおよびPandemic Studiosに残されたため、これを元にゲームソフトとしてアレンジされ、Xbox用に開発されたのが本作である。また本作は後にWindowsやプレイステーション2へも移植されている。直接ではないとはいえ、税金を使って開発されたソフトが元になってゲーム商品が作られたことは一部で論議を呼んでいる。[[1]]
日本では「FPSのようである」あるいは「RTSのようである」と評される場合がある。しかし実際には歩兵一個分隊を2班に分けて指揮するのがプレイヤーの役割であり、FPSのようにプレイヤー自ら照準を行う場合もあるもののあくまで補助的な操作である。またリアルタイムでゲームが進行するものの、市街地での戦術に特化した内容のため、RTSのような戦略性も持ち合わせていない。以上から、小規模な戦術級シミュレーションと解釈するのが妥当であろう。
本作のストーリー設定は架空のものであるが、現実を連想させる事物が多数存在している。舞台となっている架空の国家ジーキスタンはテロ支援国家であったり、かつてソ連軍と戦闘状態にあったなどという設定が存在することから、アフガニスタンをモデルにしているものと思われる。同じく独裁者アルアファドの設定も、裕福な家庭の出身で、かつてCIAに通じていたなど、オサマ・ビンラディンとの類似性が見られる。一方で場面は山岳戦でなく市街戦であったり、プレイヤーが操作する歩兵たちの挙動は第75レンジャー連隊の監修を受けたものであったり、BGMをヘヴィメタルバンドのマシーン・ヘッドが担当したりするなど、映画『ブラックホーク・ダウン』との類似性も見て取れる。