フォーサーズ・システム
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フォーサーズ・システム (Four-Thirds System) は、日本の光学機器メーカーオリンパスとアメリカの写真用フィルム・写真機器メーカーイーストマン・コダックによって提唱された、デジタル一眼レフカメラの共通規格。名称の由来となった4/3型(約18×13.5mm)のイメージセンサー(撮像素子)と、これに適する標準規格化されたレンズマウント及びデジタル専用設計の交換レンズが規格の中核となっている。
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[編集] 概要
従来の一眼レフカメラのシステムを流用した写真レンズなどの光学系は、設計上イメージセンサーに真っ直ぐに光が届かない。特に周辺部や広角レンズにおいてこの現象が顕著に見られる。フィルムを使用していた際には、これでも問題はなかったのであるがCCDなどのイメージセンサの場合、垂直に光が当たらなければ電荷が発生しないという特性があった。このためにデジタル一眼レフで旧来のレンズを使用する場合に少なからず問題を生じていた。
フォーサーズ・システムではこれを解消するためにイメージセンサーとレンズマウントを新たに設計し直し、デジタル専用のシステムを構築している。この専用システムの構築により、レンズのどの部分からでもイメージセンサーに真っ直ぐに光が届く、テレセントリック性の高い光学設計が可能となっているのが最大の特徴である。
また、従来の35mmフィルムカメラの場合と比べてイメージサークルの直径が小さく1/2倍になるためにレンズ設計の自由度が高まるほか、35mm判換算でレンズの倍率が2倍になっているためレンズが小型化でき、小型ながら大口径のレンズを実現可能である。なお、4/3型のイメージセンサーは18×13.5mmの大きさで対角線は約22.5mmである。 これはセンサーの呼び名が昔の撮像管のものをひきずっており、2/3型が全体の直径2/3インチで有効撮像範囲の対角線長が約11mmであったものの倍ということである(一部に縦横比が3:4であるからという説があるが誤解である)。
さらに、レンズマウントの直径やイメージサークルの大きさ、フランジバックの長さなどが全て規格化され、オープン規格として公開されており、複数のメーカーのボディ・レンズが相互利用可能(ユニバーサル・マウント)である。
[編集] 問題点
レンズからの光に対するテレセントリック性を追求する理由で、フランジバックを長く取る必要があるため、より大型のセンサーを採用する他社のデジタル一眼レフカメラに比べて、センサーサイズに対するボディのサイズが大柄になってしまう。
またテレセントリック性に関しては、他社がセンサの開口率を上げたりマイクロレンズを高性能化することで、斜めからの光にもより受けやすく改善されており、最近では35mmサイズのセンサの周辺部でもフィルム並みの光量低下まで進歩を遂げている。そのため、フォーサーズの光学設計構造が正しい選択だったのか、疑問を呈する声もある。
2003年から2005年まで、オリンパス以外のメーカーからはボディが発売されず、ユニバーサルマウントとして疑問の声が少なからずあがっていたが、2006年にはパナソニックよりDMC-L1が発売されている。
[編集] カメラ・一覧
- オリンパス
- Olympus E-1 - 防塵防滴のプロフェッショナルユースを意識したフラグシップ機
- Olympus E-300 - ペンタ部を廃して高さを抑えた斬新なデザインが話題を呼んだ2号機
- Olympus E-500 - オーソドックスなスタイルに戻し、大幅な小型化・重量435gを実現した3号機
- Olympus E-330 - デジタル一眼レフで初めてフルタイムライブビューを実現した4号機
- Olympus E-400 - さらに小型・軽量化した国内発売未定の5号機
- 松下電器産業
- ライカ
- DIGILUX 3(DMC-L1のOEMモデル)
[編集] レンズ・スペック一覧
- オリンパス - Zuiko Digital Lens
- シグマ - DC/DGレンズ
- ライカ - Leica D レンズ
[編集] 規格賛同メーカー
- オリンパス - 規格提唱メーカー、初期からボディを発売
- イーストマン・コダック - 規格提唱メーカー、現在は主にCCDイメージセンサーを供給している
- 富士フイルム - 2003年に規格賛同
- 三洋電機 - 2004年に規格賛同、ボディ開発供給を表明
- シグマ - 2004年に規格賛同、交換レンズを発売
- 松下電器産業 - 2004年に規格賛同、2005年にオリンパスとの一眼レフカメラ共同開発を発表、イメージセンサーとしてLiveMOSを供給。2006年にボディを発売
- ライカカメラAG - 2006年に規格賛同、交換レンズの供給を行なう
[編集] 外部リンク
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