ファランヘ党 (レバノン)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
ファランヘ党（ファランヘとう）は、レバノン共和国におけるマロン派キリスト教系の政党・民兵組織。ファランジスト党と呼称することも。アラビア語ではカタエブと呼称する。
エジプト出身の歯科医であったピエール・ジェマイエルが1930年代に、ドイツのナチスをモデルに、レバノン独立を目指して結成したのが始まりとされる。政党として国会内では少数勢力であったが、むしろ土着のマロン派社会で強力な影響を持った。後に登場してくる汎アラブ主義とは対立するフェニキア主義を主張し、伝統的な国民主義を訴えた。当初は反仏運動であったが、独立後は反シリア・反パレスチナ運動に変わっていった。
1958年のレバノン内乱以降、党の武装化を推し進め、ピエールの次男・バシールは積極的なシリア・パレスチナ難民排除を訴え、党のシンボルとなった。1975年のレバノン内戦以降、代表的な極右民兵組織としてマスコミに登場するが、1976年にはバシールが糾合と粛清の末、若手幹部を中心に民兵組織レバノン軍団を結成。次第に同党とレバノン軍団は乖離していく事になる。
1983年にバシールが暗殺され、80年代後半にピエールが死去すると、ファランヘはマロン派の富裕・老年層が支持者となって親西欧指向を一層強めていき、現実的で時としてはシリアをも支持する若年層中心のレバノン軍団とは対立の様相を示す様になる。
1989年に内戦終結に伴い、シリアによって武装解除がなされた。現在はジェマイエル家とはほぼ無関係であり、アルメニア系キリスト教徒が党首に就任しており、党自体も親シリア・レバノン現体制に激変している。
