ピエール・クロソウスキー
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ピエール・クロソウスキー(Pierre Klossowski, 1905年 - 2001年)は、フランスの小説家、画家、思想家。
パリ生まれ。父母共に画家。 ポーランド貴族出身。 1908年、実弟バルテュス生まれる(後に高名な画家となる)。1914年第一次世界大戦を避け、一家そろってジュネーヴへ移住。このとき、母は、詩人リルケと親しく交際する。のちに、リルケの知己だったジッドの秘書を勤める。それをしながら勉学にいそしんだ。
1930年、リヨン大学で神学を学ぶ。1936年、バタイユ、ロジェ・カイヨワ、アレクサンドル・コジェーヴらの参加していた団体「コレージュ・ド・ソシオロジー」に参加。第二次大戦の終わりまで、修道院生活を送るが、のちに放棄。
1953年、小説『ロベルトは今夜』発表。1964年のウェルギリウス『アエネイス』翻訳は、ラテン語逐語訳のため賛否両論。同年、ドゥルーズ主催のニーチェ会議に出席、発表。 1965年『バフォメット』発表。1968年、ピエール・ズッカ監督の映画『ロベルトは今夜』制作(クロソウスキー夫妻主演)。1969年、評論集『ニーチェと悪循環』発表。
1972年、スリジー・ラ・サルでの、討論会「ニーチェは、今日?」に出席(他に、ドゥルーズ、リオタール、デリダ、ラクー=ラバルトら出席)。以降、絵を中心に活動していくようになる。
2001年、パリにて死去。
その思想は特異で、親交のあったバタイユとの近似性も見られる。しかし、その違いは、彼の評論『ニーチェと悪循環』に見られるように、独特の「シュミラクル」の概念に現れている。この概念がドゥルーズに大いに影響を与える。
ちなみに、かつて、ジッドに『贋金づくり』の挿絵を頼まれたが、その独特の画風ゆえに、ジッドに断られてしまった。 サドやベンヤミン、ニーチェ、ウィトゲンシュタインらのテクストの翻訳もある。