ピアノ協奏曲第1番 (ラフマニノフ)

セルゲイ・ラフマニノフのピアノ協奏曲第1番嬰ヘ短調作品1は、ラフマニノフが学生時代である1890年から1891年にかけて書かれた。彼は学生時代にこの曲以外にも管弦楽曲や弦楽四重奏曲を作曲しているが、この協奏曲で初めて認められ、モスクワのA・グートヘイルから記念すべき「作品１」として出版された。

[編集] 作曲の経緯

1917年に徹底的に改作され、現在のものとなっている（つまり協奏曲第2番、第3番を発表した後に第1番は改作されていることになる）。この後、ソヴィエト政権が樹立され、ラフマニノフは一家でフィンランドに亡命したため、この曲がロシアで作曲（完成）した最後の曲ということになろう。

初演は1892年3月17日、ラフマニノフのピアノ、ワシーリー・サフォーノフの指揮でモスクワ音楽院の学生演奏会で第一楽章のみがとりあげられた。全曲演奏されたのは、1900年12月2日、ラフマニノフのピアノ、アレクサンドル・ジロティの指揮、モスクワ・フィルハーモニー管弦楽団により行われた。

第1楽章

ヴィヴァーチェ　嬰へ短調　四分の四拍子。ソナタ形式。

　第１主題は歌謡的で、第２主題は躍動的である。この構成が普通のソナタ形式との相違点である。

第2楽章

アンダンテ　ニ長調　四分の四拍子。一種の幻想曲ともいえるような形式。

第3楽章

アレグロ・ヴィヴァーチェ　嬰へ短調　四分の三拍子。（大まかに）三部形式。激烈な第１部に続いて、歌謡的な中間部が出る。冒頭部の再現のあと、軍楽的な響きのコーダに入り、輝かしく終結する。

『最新名曲解説全集10 協奏曲III』音楽之友社、1980年、13-17頁

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