ヒカリゴケ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ヒカリゴケ(光苔)は、Schistostega pennata (Hedw.) Web. et Mohrの標準和名。ヒカリゴケ科ヒカリゴケ属のコケで、1目1科1属1種、絶滅危惧I類(CR+EN)に分類されている、原始的かつ貴重なコケ植物である。
日本では北海道と中部地方以北の本州に分布し、日本以外ではロシア極東部・欧州北部・北米などの冷涼な地域に広く分布する。また、洞窟や岩陰などの暗く湿った環境を好む。
その名が示すように、洞窟のような暗所においては金緑色に光る。これは自発光しているのではなく、原糸体と呼ばれる個所が持つレンズ状の細胞により、暗所に入ってくる僅かな光を反射することによる。
生育環境の変化に敏感で、僅かな環境変化でも枯死してしまうほどに脆い存在である。そのため、近年の大気汚染や地球温暖化などの影響を大きく受けてその個体数は減少し続けていると言われており、絶滅が危ぶまれている。
その生育地の大部分は国立公園内にあり、採取は規制されているほか、各地方自治体において天然記念物に指定されている。自生している所として、吉見百穴や北の丸公園などがある。