バーチャル・プライベート・サーバ
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VPS(バーチャル・プライベート・サーバ,Virtual private server)とは、一台のサーバ上で仮想サーバを何台も起動する特殊なソフトウェア、またそのような仮想サーバを提供するレンタルサーバのサービスをいう。
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[編集] 概要
VPSとは、個々のユーザーに仮想マシン内において管理者権限(root)を付与し、共用サーバにおいて専用サーバのような環境を実装するものである。これによって管理者権限を必要とするソフトウェアのインストール等が可能になる。
また、サーバのリソースを個々のユーザーに配分し、1ユーザーが使用できるサーバのリソースの上限を設定する事が一般的である。
VDS:Virtual Dedicated Server(バーチャル・デディケーティッド・サーバ)という語があるが、これもVPSとほぼ同義である。国内ではVPSの呼称が一般に使用されているが、英語圏では「専用サーバ」は"Dedicated Server"と記載するため、海外ではこの名称も一般的に使用されている。
VPSを起動させるOSとしてはFreeBSDが多用されている一方、Linux で動作するVPSもあり、Linux向けVPS基本ソフトとしてはSWsoft社のソフトウェア製品であるVirtuozzoが多くの欧米のサーバホスティング事業者で使用されている。Virtuozzoは、OpenVZという名称のプロジェクトにより、一部の商用機能を除きソースコードが配布/公開されている。 海外では、NTTコミュニケーションズの子会社であるVERIO(NTT/VERIOブランド)のVPSサービスが有名である。 VERIOのVPSサービスも今までのFreeBSDに加えてLinuxが追加サポートされる模様である。
国産のVPSとしては、2005年にNTTPCコミュニケーションズWebARENAによってLinux(Fedora Core 3)ベースのVPSが開発されたのを皮切りに、rsaServによって、FreeBSDに実装されているjail機構をベースに開発されたVPSがあるが、いずれもプログラムの配布/公開はされていない。なおrsaServは2006年に事業を停止した。
この他に、日本国内ではFreeBSDを用いたVPSをGMOホスティング&セキュリティ株式会社の「RapidSite」ブランドや株式会社ウエブジャパンがサービスしている。 株式会社クララオンラインや株式会社JMFインベストメント&テクノロジーがLinux(Virtuozzo)を用いたVPSサービスを、それぞれ展開している。
[編集] VPSのメリット
VPSでは、1つの物理的で2つ以上の仮想サーバを起動することが出来る為、サンドボックスを容易に使用することが出来る。具体例では、1つの仮想サーバ(A)上で実稼動させるウェブサイトを公開し、もう1つの仮想サーバ(B)上にそのコピーを製作し、ソフトウェアの重大な変更を行う際には、Aと同等のハードウェア環境を持つB上で、実稼動中のウェブサイトに影響を与えることなくテストを行うことができる。
また、VPSはハニーポットの運営にも適している。VPS上では容易に同じ環境を持った複数の仮想サーバを立ち上げることができるため、容易に既知のセキュリティホールを持ったソフトウェアを故意に起動しておくことができる。それとともに、ログの監視などを行う仮想サーバと実際にハニーポットが設置されている仮想サーバを分けることによってセキュリティを確保することができる。
[編集] ホスティングにおけるVPS
従来の共用レンタルサーバでは、同じサーバの使用者によるCGIの暴走によるサーバダウン、SuExec等が導入されていない場合に生じるアクセス権限等の問題があったが、最適な対応策である専用サーバの導入は、個人使用者にとってはコストの問題で事実上不可能であった。また、高負荷なCGI、大規模なデータベースの処理などサーバのリソースを多く消費するような使用も共用サーバでは大抵禁止されており、そのようなコンテンツの運用は個人レベルでは事実上不可能であった。VPSにおいてはそのような事態は無くなるもしくは大幅に軽減され、より自由な運用が可能である。
[編集] ホスティングにおける利用者のメリット・デメリット
共用サーバのホスティングサービスを使用する場合と比べ、VPSには以下のようなメリットがある
- 運用の自由度・・従来サーバのリソースの関係で難しかった大規模なデータベース等の処理を行える。また、プログラムの動作テストも、他のユーザーに与える影響が非常に少ない事から一般に許可されている。
- セキュリティの強化・・それぞれのユーザーの使用領域は分断されており、基本的に他のユーザーの領域には関与できない。Unix系OSにおいては避けるべきとされている0777等にアクセス権限を設定しても問題になりにくい。
- 他の使用者の影響の少なさ・・1ユーザーあたり使用可能なサーバのリソースが設定されているため、共用サーバで起こるような他の使用者のリソース消費による自領域の影響(プログラムの実行が遅くなる、サーバダウン等)が非常に少なくなる
デメリットとしては、
- 環境維持の必要性・・一般に共用サーバではサーバウェア及び各種モジュール類のアップデート、バックアップ等はサーバ管理者によって行われるが、仮想専用環境であるVPSでは、それらの作業を自分で行う必要がある(代行サービスを提供している業者もある)
- コスト・・現在のところ、同程度のサービス内容の共用ホスティングと比較すると割高なことが多い。
また、専用サーバのレンタルと比較すると、
- 管理の簡略化・・OSレベルのアップデートはサーバ管理者によって行われる
- コスト・・物理的なサーバを1ユーザーのために用意する必要が無いため、同等スペックの専用サーバのレンタルと比較すると一般に安価である。
といったメリットがある一方、
- 回線の問題・・VPSに使用されているサーバのインターネットのバックボーンとの接続回線は他のユーザーとの共有なので、ストリーミングの配信等の用途には適さない。また、他のユーザーのそのような行為の影響を受けることもある。もっとも、専用サーバであっても回線は他の使用者と共有、もしくはVPSであっても回線はユーザー別といったケースもあるので、一概に判断は出来ない。
- マシン再起動が困難・・1つのサーバに複数のユーザーが同居している為、範囲が1ユーザーに限定される障害発生時等の物理的再起動が困難である。
- ハードウェアの自由度・・VPSにおいてはサーバのハードウェアはユーザー間で共用のため、特定の目的に特化させる、特定のソフトウェアを使用する等の目的で、ハードウェア環境を変更することは困難である。
- 他のユーザーの存在・・稀なケースではあるが、他のユーザーによってハードディスク等に物理的障害が発生した場合、影響を受けることがある。
といったデメリットもある。
[編集] 商標問題
2004年に、GMOホスティング&セキュリティ株式会社によってこの単語が商標として出願(商標出願2004-60680)されており、インターネット使用者の批判を買っている。
[編集] 代表的なプラットフォーム
[編集] 関連項目
[編集] 関連リンク
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