トゥー・ヴァージンズ
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「未完成」作品第一番 トゥー・ヴァージンズ(みかんせいさくひんだいいちばん とぅー・ばーじんず, 原題Unfinished Music No.1: Two Virgins)は1968年に発表されたジョン・レノンとヨーコ・オノのアルバムである。
レノンは1960年代中盤から前衛音楽に興味を抱き、自作のアルバムを制作する構想を持っていた。レノンは1966年に米国で前衛芸術家として活動していたオノとロンドンで出会い、翌年にはオノの個展に出資したり、オノをビートルズのレコーディング・セッションに招待したりするようになった。レノンがインドへマハリシ・マヘシ・ヨギの修行を受けに行っていた1968年2~4月には、二人は文通で密に連絡を取り合っていた。 こうして次第にオノへの思慕を深めていったレノンは、1968年5月19日夜、妻シンシアの旅行中にオノを自宅に招待し、翌日明け方にかけて、前衛音楽のアルバム制作に着手した。『トゥー・ヴァージンズ』はこのときに二人が完成させた最初のアルバムであり、その内容はレノンとオノが即興で出した音ばかりを集めた計12曲で成り立っている。なおレノンは、本作録音中にオノと初めて肉体的に結ばれたことを公言し、宣伝に利用していた。以後、オノはレノンと同棲生活を始め、常に行動を共にするようになった。
このアルバムで最も有名なのはその内容ではなく、制作中の出来事に関連して、レノンとオノが一糸纏わぬ姿で写ったジャケット写真である。これは当時2人が同棲生活を送っていた、リンゴ・スターが所有していたアパートで撮影された。陰茎を露出したレノンと、乳房と陰毛を露出したオノが写ったこのジャケットはイギリスやアメリカ合衆国だけでなく、全世界で大きな物議を醸した。彼が所属していたビートルズは1968年にアップル・レコードを設立し、以降数年間メンバーはこのレーベルからレコードを発売し続ける。しかし、アップル・レコードのディストリビュート先であった英国のEMIや米国のキャピトル・レコードは、ジャケット写真に大きな抵抗感を示してこのアルバム発売を拒否した。そのため、英米では別のレコード会社(テトラグラマトン)の傘下でリリースされている。日本では、ビートルズの作品を販売していた東芝音楽工業をはじめとするあらゆるレコード会社が、猥褻図書販売の容疑で警察の手入れを受けてしまうことを恐れたため、結局アルバムが発売されることはなかった。
1997年にライコ・レコードから初めてCD化され、日本でもビデオアーツから発売された(ただし日本盤では、ジャケット写真は顔しか表出されていない)。このリイシューの際に、12曲に分かれていたセクションは「サイド・ワン」と「サイド・トゥー」と名づけられた2つのトラックに統合された。さらに、ボーナス・トラックとしてオノの自作曲「リメンバー・ラヴ」が追加収録されている。