テクニカルエンジニア (データベース)
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テクニカルエンジニア(データベース)(略称データベース、もしくはDB)とは、情報処理技術者試験の一区分であるテクニカルエンジニア(データベース)試験に合格した者に認定される資格である。この資格は、システムエンジニアの中でも主にデータベースの設計担当者や管理責任者、いわゆるデータ管理者、データベース管理者を対象としている。試験のレベルは高く、データベースに関するものの中でも国内最難関と言えるほどである。合格率は例年ほぼ6~8%程度と低い。この区分は高度情報処理技術者に含まれている。
元々は1994年に情報処理技術者試験が大幅に再編された際、データベーススペシャリスト試験として登場した。試験開始は翌年1995年の春からである。2001年に再び再編された際に、現在の名称に変更された。導入当初より、年齢制限や受験資格のようなものは一切ない。
以下、テクニカルエンジニア(データベース)試験について述べる。
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[編集] 試験
例年、4月の第3日曜日に春期情報処理技術者試験の一区分として行われる。
午前試験は多岐選択式、午後試験は記述式と論述式(事例解析)に分かれている。 午前、午後I、午後II全ての試験において、偏差値に基づいたスコア800点満点中600点以上で合格となる。 それぞれの試験の採点は前の試験の合格者のみ採点されるため、午前、午後I、午後IIと進むに従い相対的に高得点が難しくなる。
[編集] 午前
マークシート式で55問出題され、全問回答しなければならない。約半分がデータベースに関する知識を問う問題で、後の半分はシステム開発の知識やコンピュータシステム、情報セキュリティに関する問題である。試験はIRT(項目応答理論)によって採点され、採点後、偏差値に基づいた200~800点のスコアに変換され、600点以上で合格となる。600点に満たない場合、午後I試験以降は採点されない。
[編集] 午後I
リレーショナルデータベース、正規化理論、SQL、DBMSなどに関する問題が4問出題される。そのうち3問を選択して回答する。素点採点後、偏差値に基づいた200~800点のスコアに変換され、600点以上で合格となる。600点に満たない場合、午後II試験は採点されない。
[編集] 午後II
業務分析からデータベース設計、運用(パフォーマンスチューニング含む)までを扱う問題が2題出題される。1題を選択して回答する。これも素点採点後、偏差値に基づいた200~800点のスコアに変換され、600点以上で合格となる。
[編集] 合格へのポイント
午前は全範囲を参考書等で網羅した後過去問を中心に経験を積むことで高得点が可能。 一般的に苦手な者が多い待ち行列理論やシステム稼働率などの問題は公式を確実に覚えておくことで対応されたい。 午後IはSQL構文を確実に覚えること、正規化の仕方、意義を理解、使えるようにしておくことが重要。SQLについては制約や索引の作成といった一見見落としがちの所も狙われる可能性があるので注意すること。試験時間に余裕が無いので、4問中どの3問を選択するかが鍵となる。 午後IIは日常からデータベース設計について思いを巡らせているかどうかが合否の分かれ目となる。例えば、コンビニで貰うレシートなどをデータベース化したときにどうなるか…などといった生活に密着したところから考える癖をつけることで、知らない業務でも対応が出来るようになる。 午後Iから休憩時間が30分なので、いかにリフレッシュして再集中できるかがポイントである。
[編集] 試験の評価
国家試験である性格上、ある特定のデータベース製品に依存した機能や特定製品のみでしか使えないSQLなどは出題されない (標準SQLが出題対象となる) 。そのためどうしても理論重視になりがちで、試験はあまり現実を反映していないという批判もある。また、特定のDB製品から離れた試験であるためか、その分業務分析のウェイトが非常に大きい。アプリケーションエンジニアレベルの業務知識がないと、午後IIの問題は読解すら困難になる。
ただ、いわゆるデータベースのベンダー資格試験取得者でも、この資格を取得する者、取得を希望する者は多い。ベンダー資格では認定されない製品に依存しない知識を認定されるからである。