タケコプター
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タケコプターは、藤子・F・不二雄のSF漫画『ドラえもん』に登場する架空の道具。連載初期はヘリトンボと名付けられていた。タケコプターの名称の初出は「小学三年生」1970年6月号掲載の「ご先祖さまがんばれ」(てんとう虫コミックス1巻収録。ただしこの話が初期の単行本に収録された際、ヘリトンボに直されている)。その後しばらくの間ヘリトンボとタケコプターの名称が混在していたが、1979年の2度目のアニメ化の際、呼びにくいという事で今の名前へと統一され、主題歌にも取り入れられた。また、一説には「竹とんぼヘリコプター」の略と言われている(そのためか、たった1度だけではあるが、「たけとんぼへりこぷたー」という名で出ていた事がある(「幼稚園」1973年3月号))。
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[編集] 外見
外見はただの竹とんぼである。
[編集] 機能・性能
体につけてスイッチを入れると空を自由に飛ぶことができる。通常は頭頂部に装着する。「飛びたい」という意志があれば飛べる。バッテリー駆動らしく、80km/hで連続8時間利用するとバッテリーが上がってしまう。また、『のび太の日本誕生』では極度の低温下でバッテリーが冷え、機能しなくなる。
プロペラの根元にスイッチがあり、頭に乗せてからスイッチを押すとプロペラが回って身体が飛ぶ。頭とどう接着しているか不明。頭に乗せる前にスイッチを押すと、機械だけが勝手に飛んでいってしまう可能性があり、のび太が無人島に家出したときも、それでこの道具を失っている。
第1話で、これをのび太の半ズボンにつけたとき、途中からのび太の身体や他の衣類は下に落下してしまい、タケコプターは半ズボンだけ運んで飛んでいた。
一方、てんコミ33巻で中学生になったのび太が小学生時代の自分を鍛えようと「ガッコー仮面」として現れたときは、頭に袋(目のところは開いている)をかぶり、その上にタケコプターを乗せて飛んでいた。この袋は片手で上に引っ張れば簡単に外せるもので、タケコプターが袋だけ持っていかずに人間の本体をも運べたのは不思議である。可能性として考えられるのは、袋の頂点に穴が開いていて、タケコプターが頭に直接ついていたか、袋が頭から外れにくいような工夫をしていて、タケコプターの垂直上昇力では外れないが、人間の手で斜めに引っ張れば外れるものだったということ。袋には顎にかける紐のようなものはついていなかった。
[編集] 作品中での場面
原作の漫画『ドラえもん』で最初に登場した道具である(「タイムマシン」の名称登場を除いては)。のび太は常にドラえもんからタケコプターを何本か借りて、自分のポケットに入れてあるらしく、ドラえもんがいない場面でも、このタケコプターで空を飛ぶ場面が何度か見受けられる。また、のび太の机の引き出しにも数本ほど常備されている。このことがのび太とブリキの迷宮では重要な役割とギャグを果たしていた。
25年後の世界では、のび太の息子のノビスケも使用している。また22世紀の世界では、セワシの友人たちも皆使用していることから、この道具が個人用の飛行手段として広く普及していることがわかる。
[編集] 実世界での研究
実際にこの形状でタケコプターを製作しても翼面積が不足しており、また角運動量保存の法則の観点からも飛ぶ事は出来ない。この事は、柳田理科雄が著者の空想科学読本・空想漫画読本にて、プロペラの回転力によって飛ぶのならたとえ飛べても頭が吹っ飛ぶという仮説と共に指摘され、知られるようになった。しかし、この指摘は公式設定を無視したものであり、設定によるとタケコプターは「プロペラの回転によって反重力場が体の周囲に発生し、それによって飛ぶ」とある。しかし、反重力自体架空のものであるため、やはりタケコプターは実際に飛ぶことは出来ない。
千葉大学が1999年に飛び級入試を行った際、「タケコプターは実現可能であるか」を問う問題が出題され、これが「トリビアの泉」でも取り上げられた。問題にある選択肢の4つの道具の1つであり、残りの3つはエネルギー節約熱気球、消光電球、望遠メガフォン。
[編集] 実世界での商品化
タケコプターをつけたドラえもん型のラジコンヘリコプターや、プレイヤーが頭にタケコプター型のコントローラーを載せることで画面内のドラえもんの飛行を操作する体感テレビゲームといった商品が市販されている。