ストックホルム症候群
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ストックホルム症候群(すとっくほるむしょうこうぐん)は、精神医学用語の一つで、犯罪被害者が、犯人と一時的に時間や場所を共有してしまうことによって、過度の同情さらには好意等の特別な依存感情を抱いてしまうことをいう。
犯人と人質が閉鎖空間で長時間非日常的体験を共有したことにより高いレベルで共感しあい、犯人達の心情や立てこもり事件を起こさざるを得ない理由を聞くとそれに同情してしまうなどして、ついには人質が犯人に信頼や愛情を持つようになるもの。また「警察が突入すれば人質は全員殺害する」となれば、人質にとっては警察に突入してほしくはないわけで、本来は人質を救うはずの警察を敵対視してしまう心理に陥ってしまう。このような恐怖で支配された状況においては、犯人に対して反抗や嫌悪で対応するより、協力・信頼・好意で対応するほうが生存確率が高くなるため起こる心理的反応が原因と説明される。
[編集] 由来
1973年、ストックホルムでの銀行強盗人質立てこもり事件において、犯人が人質を解放後、人質が犯人をかばい警察に非協力的な証言を行ったり、後には犯人グループの一人と結婚する者まであらわれるという事件から名付けられた。
[編集] 関連事件
- 1974年に、犯行グループによって誘拐された女性が、後にその犯行グループと共に銀行強盗の一味に加わっていたという事件。
- 1996年に起きたペルー日本大使公邸事件では、逆に監禁者が被監禁者に共感する現象が見られ「リマ症候群」と呼ばれている。