スズキ・フロンテ
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フロンテ(Fronte)は、スズキが生産していた軽自動車である。アルトが商用モデル(4ナンバー)としてデビューしたのに対しこちらは乗用モデル(5ナンバー)だった。1989年にフロンテはアルトに統合され、現在アルトは5ナンバーとなっている。ちなみに東京モーターショー2005ではフロンテ360をモデルにしたスズキLCが展示されている。
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[編集] フロンテの歴史
[編集] 初代(1962年-1967年)
1962年3月、スズライトバンTL型(1959年9月登場)の乗用車版「スズライト・フロンテTLA型」として登場。駆動方式はFF。エンジンは空冷2ストローク直列2気筒360cc。
1963年3月、FEA型になる。ガソリン・エンジンオイル自動混合方式「セルミックス」を採用。
1965年10月、FEA-II型になる。エンジンオイル直接噴射方式「CCI (Cylinder Crank Injection) 」を採用。
[編集] 2代目(1967年-1970年)
1967年4月登場。車名は「スズライト」の文字が消えて「フロンテ360」になり、駆動方式をRR(リアエンジン・リアドライブ)に変更。 コークボトルラインと言われる、丸みを帯びたデザインを採用すると共にホンダN360に対抗すべく、31馬力のエンジンを搭載する。
1968年11月、高性能バージョン「フロンテSS」を追加。レーシングドライバーのスターリング・モスがイタリアの高速道路、「アウトストラーダ・デル・ソル」で長時間高速走行テストしたのは有名。
この「SS」グレードは30数年の時を経て、2003年に「アルトラパンSS」として復活 (?) を果たした。
[編集] 3代目(1970年-1973年)
- 形式名 LC10-Ⅱ型
- グレード構成は、スタンダード、デラックス、ハイデラックス、スーパーデラックス、ハイスーパー、S、SSS、SSS-R。SSS-Rの「R」は、ラジアルタイヤ(135SR10サイズ)標準装備の意味。
- エンジンは基本的には従来の空冷エンジンを使用。スタンダード、デラックス、スーパーデラックスは31馬力。ハイスーパー、Sは34馬力。SSS系は36馬力。
- ボディスタイルは全く新しいものとされ、直線基調の2ボックススタイルとされた。車高は1260mm(スポーツ系)とかなり低く設定され、フロントのトランクは大きく拡大された。室内寸法はクラス最大。通称「スティングレィ・ルック」と呼ばれた。
- フロンテ71のボディはそのままに、新しい水冷エンジンを搭載したモデル。
- 形式名:LC10W型
- グレードは当初GL-W、GT-W、GT-RWの3機種。GT-RWの「R」は、ラジアルタイヤ(135SR10サイズ)標準装備の意味。
- エンジンは新開発の水冷2ストローク3気筒を搭載。冷却には独自の「デュアル・ラジエター方式」を採用。GL-Wは34馬力、GT-W系は37馬力となる。
- 室内には温水による新しいヒーターシステムが完備され、エンジン性能向上に伴い、各部が強化された。動力性能は当時の軽4輪車の中では抜きん出ており、GT-Wの走行性能は「1500ccの乗用車とほぼ互角」と言われた。
1971年7月 水冷GS-W、GO-Wを追加。GS-WはGT-W同様のシャシーに34馬力エンジンを搭載したムード・スポーツ。GO-WはGL-Wより少し装備を簡略化した廉価モデル。
1971年9月 3代目フロンテをベースにした、軽自動車枠のスポーツカー、「フロンテ・クーペ」発売。セダン系とは別に、独自の車種構成を展開していく。
- グレード GE、GER、GX
- 全車37馬力エンジン搭載。
- 車高は軽自動車中最も低い1190mm(GER)
1971年11月 マイナーチェンジで72(セブンティ・ツー)フロンテに名称変更。
- フロントグリルのデザイン変更、ダッシュボードやシート等、内装の変更が施される。
- スポーツ系のホイールキャップデザイン変更。
- 空冷エンジン車のスポーツ系は消滅。空冷車は「ビジネス・シリーズ」水冷車は「ゴージャス・シリーズ」水冷スポーツ車は「スポーツ・シリーズ」と称される。
1972年3月 水冷シングルキャブ31馬力のGD-WとGU-Wが追加。GD-Wはデラックス、GU-Wはスタンダードに相当。又、クーペに4人乗りのGX-Fと、34馬力仕様の GX-PF追加。
1972年6月 クーペに最高峰のGX-CF(4人乗り)追加。37馬力エンジンに前ディスクブレーキ、タンデムブレーキマスターシリンダー装備。
1972年10月 マイナーチェンジで73年型としてニューフロンテシリーズを発売。外観はフロントグリルからボンネットやバンパーまで大改良。ヘッドライトは角型2灯式から丸型2灯式に変更。上級グレードはテールランプ横に化粧板を装備。三角窓廃止。空冷車はスタンダードとオートクラッチのみとなる。タンデムブレーキマスターシリンダーと前ディスクブレーキ装備のGT-TYPEⅡを新設定。
[編集] 4代目(1973年-1979年)
1973年登場。先代の「スティング・レイ・ルック」のデザインから、LC10系のコークボトルラインを彷彿とさせる「オーバル・シェル」の丸みあるスタイルへと変化した。空冷エンジンは消え、水冷エンジンのみの搭載となる。ボディサイドのドアデザインは日産・チェリーに非常に似ているものであった。ホンダ・ライフに対抗するべく初めから4ドアモデルを設定してファミリーニーズに対応すると共に、実用性の更なる拡大を図ってリアウィンドゥをガラス・ハッチの閉開式にしてエンジンルーム上部にトランクスペースを設けた。これによりフロントとリア両方にトランクスペースを持つ事となる。昭和53年排ガス規制をクリアするため、一時期ダイハツ製550cc2気筒4サイクルSOHCエンジンを搭載したことがあった (のちに自社製に移行)。
[編集] 5代目(1979年-1984年)
1979年登場。駆動方式を初代と同様のFFに戻す。このときに商用車バージョン(軽ボンネットバン)の「アルト」が登場。
[編集] 6代目(1984年-1988年)
1984年登場。
[編集] 7代目(1988年-1989年)
1988年登場。翌年、物品税が廃止され、軽ボンネットバンのメリットが薄れたため、アルトと統合され、「アルト・セダン」として現在まで続く。
[編集] フロンテバンの歴史
[編集] 初代(1969年-1973年)
1969年1月登場。乗用車のフロンテがRRだったのに対し、トランクスペースを確保するという点からフロンテバンはFRを採用した。エンジンは乗用車のフロンテと共通であるが、その上に載るボディはコークボトルラインのフロンテに対して直線基調のスタイルであった。スバル360カスタムがRRのまま後部をバンにストレッチした形になったので、積載性に難点があったのに対して、フロンテバンはシャシーもボディーも新設計という形を採った為、トランクスペースは広かった。乗用車のフロンテがトランクスペースがほとんど無いことを指摘されていたせいであろうか、後にこのモデルでは後席の居住性を高めた乗用車モデルのフロンテ・エステートが追加された。
[編集] 2代目(1973年-1979年)
1973年登場。名称が「フロンテ・ハッチ」となる。フロンテエステートといった乗用車モデルは廃止され純粋な商用車となったが、カタログ等を見ると商用というより、レジャー的なムードを出しており、そのコンセプトは1979年発売の後継のアルトの原型という感じが強い。リアのトランクスペースはハッチ・ルームと名付けられていた。
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