スキャンレーション
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スキャンレーション(scanlation)とは、欧米の漫画ファンによって彼等の母語に翻訳された日本や韓国の漫画をさす。オリジナルの漫画をスキャン(scan)し、セリフを書き換え(translate)することから、scanlationという名がついている。これらの作品はインターネットを通じてダウンロードできるようになっている。
スキャンレーションを行うことはスキャンレート(scanlate)、スキャンレーションを行う者はスキャンレーター(scanlator)と呼ばれる。 スキャンレーションは、その言語による正式な出版ライセンスを翻訳出版社(TOKYOPOP、VIZ等)が獲得した時点でネット上での公開を終了される。このことは暗黙のルールとして成り立っている。
[編集] 法的問題
スキャンレーションの多くは出版社、作者に無断で行われており、明らかな著作権の侵害行為である。しかし、そのことは事実上の黙認状態になっている。その理由に考えられる事は以下の通りである。
- 海外ファンにその漫画の紹介になる。
- 翻訳出版社はスキャンレーションされた作品の評判を参考にライセンスを習得するかどうかの判断に使っている。
- スキャンレーターの多くは、翻訳本が出版後、公開を中止してその漫画を買うようファンに勧めるなど、漫画の売上向上に努めている。
しかし、2004年2月14日、講談社があるスキャンレーターのサイトでの公開を差し控えるよう申し出たりするなど、全てがうまくいっているわけではない。
[編集] 功罪
漫画は、作品によっては翻訳が大変難しいものもあり、本来のニュアンスをうまく残す事は至難のわざである。そのため、スキャンレーターの力量によってかなりの作品としてのばらつきがある。しかし、中にはライセンスをとった出版社による正式な訳よりも優れた訳のスキャンレーションもあり、海外の漫画ファンにとっては、スキャンレーションは欠かせない存在でもある。 その一方、セリフを翻訳するだけなら、文章のみのファイルとして公開するのがよいという考え方もある。それならば、オリジナルの漫画を取り寄せて、翻訳文章のファイルとともに読むという漫画の売上に貢献する方法になる。
[編集] 外部リンク
- Manga Nation - SF Gate
- Scanlation Nation: Amateur Manga Translators Tell Their Stories - The Comics Journal