ガリーナ・ウストヴォーリスカヤ
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ガリーナ・イワーノヴナ・ウストヴォ(ー)リスカヤ(Galina Ivanovna Ustvolskaya; ロシア語:Галина Ивановна УСТВОЛЬСКАЯ, 1919年6月17日 - )はロシアの作曲家・音楽教育者。ペトログラード出身。
目次 |
[編集] 略歴と作風
レニングラード音楽院ならびに同音楽院研究科で、ショスタコーヴィチに師事。卒業後もショスタコーヴィチに個人指導を受け、この恩師と恋愛関係にあったといわれるほど濃密な関係を結んだにもかかわらず、作曲様式においてショスタコーヴィチの影響を初期に強く受けたが、1950年代以降は徐々に等拍のリズムのみの音楽と化し、彼女がショスタコーヴィチへ影響を与えるまでに至った。
1950年以降、非妥協的なモダニストとしての道を歩み、社会主義リアリズムにつながる愛国主義的な安易な作風をとらず、神秘主義的な志向性のためもあってソ連時代には陽の目を見なかった。ペレストロイカとその後のソ連崩壊にともない、いくつかのピアノ曲や室内楽曲が演奏・録音されるようになり、現在ショスタコーヴィチの門弟では、演奏回数のかなり高い作曲家の一人になりつつあるが、ロシア国内では清貧に甘んじているとも伝えられている。
[編集] 作品
ウストヴォーリスカヤ作品は数少なく、ソ連時代の「公式的な」作品を除くと、特徴的な作品は以下の21曲しかない。
- ピアノと弦楽合奏、ティンパニのための協奏曲 (1946)
- ピアノ・ソナタ第1番 (1947)
- クラリネット、ヴァイオリン、ピアノのための三重奏曲 (1949)
- ピアノ・ソナタ第2番 (1949)
- オーボエ、4つのヴァイオリン、ティンパニとピアノのための八重奏曲 (1950)
- ピアノ・ソナタ第3番 (1952)
- ヴァイオリン・ソナタ (1952)
- ピアノのための12の前奏曲 (1953)
- 交響曲 第1番 (1955)
- ピアノ・ソナタ第4番 (1957)
- ピアノとチェロのための大二重奏曲 (1959)
- ピアノとヴァイオリンのためのデュエット (1964)
- コンポジション第1番 Dona Nobis Pacem (1971)
- コンポジション第2番 Dies Irae (1973)
- コンポジション第3番 Benedictus, Qui Venit (1975)
- 交響曲 第2番《真実と永遠なる浄福》 (1979)
- 交響曲 第3番《救世主イエスよ、われらを救いたまえ》 (1983)
- 交響曲 第4番《祈り》(1985/7)
- ピアノ・ソナタ第5番 (1986)
- ピアノ・ソナタ第6番 (1988)
- 交響曲 第5番 (1989/90)
[編集] 作曲様式
ウストヴォーリスカヤは、独特の非常に特異な作曲様式を発展させてきた。これについては当人が、「私の作品と他人の作品につながりというものは絶対にありません」と言い切っている。しかしながら、初期にショスタコーヴィチの影響を強く受けたことは明白であり、近作に至ってもメロディーの断片にわずかに痕跡を見出すことができる。作曲様式の特徴は、反復の活用、ホモフォニックな音塊、異例な楽器の組み合わせ、楽器の集合を用いてトーン・クラスターを導入すること、などである。
[編集] 宗教的側面
ウストヴォーリスカヤの交響曲は、すべて独唱者のパートがついており、とりわけ近作の4つは、宗教的な副題が示唆するように、宗教的なテクストが用いられている。《コンポジション》や《交響曲》の宗教的な側面は、同時代のソフィヤ・グバイドゥーリナとの表面上の比較を誘うが、ウストヴォーリスカヤはグバイドゥーリナと違って実践的な信仰者ではなく、楽曲もキリスト教信仰の告白からは程遠い。テクストはいずれも慣習的な請願か、《交響曲 第5番》の場合は「主の祈り」である。
[編集] 受容
1970年代に、ショスタコーヴィチが彼女の名前を出したことが楽壇デビューにつながり、いくつかの作品のオランダ初演の際には信じがたいほどの熱狂で迎えられた。1993年からCDリリースが流行となり、ピアノソナタ全集のCDはオレグ・マロフ、マークス・ヒンターホイザー、イヴァン・ソコロフ、フランク・デニヤー、マリアン・シュレーダーの五種が揃った。日本では著名な前衛作曲家と評論家が酷評したのが響き、演奏する人々はほとんど現れなかった。
[編集] 参考資料など
- Lemaire, Frans. Notes to Symphonies 2,3,4 and 5. Megadisc MDC 7854.
- Music under Soviet Rule:The Lady With The Hammer
- ガリーナ・ウストヴォリスカヤ
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