エコツーリズム
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エコツーリズムとは、 環境や社会的なものまで含めての生態系の維持と保護を意識したツーリズム(旅行、リクリエーション)のことである。
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[編集] エコツーリズムとは
単に自然の中で野生動物と接し、珍しい動植物の生態に触れたり、アウトドア活動を楽しむことではない。また、単に自然保護の活動のために、余暇を削ってボランティアで汗を流しに出かけていくことではない。
「自然の生態系や歴史的文化的な遺産の保護と保全という活動に、観光という余暇活動が加わり、それにその環境を維持している地域への還元を伴う活動」と定義されている。したがって、単なる観光でも、ボランティアでもない。
自然の生態系や歴史的、文化的な背景をもつ地域、環境に出かけ、それを楽しむと共にそれを保全、維持してきた人たちへの感謝も忘れないこと、それがエコツーリズムの精神である。このような考え方で企画された旅行をエコツアーと呼ぶ。
しかし所詮は自己満足のエゴツーリズムではないかとの批判もある。今までは、エコツーリズムとマスツーリズムは対極的なものと考えられてきたが、現在は、マスツーリズムをいかにエコ化していくかが検討されつつある。
[編集] 日本におけるエコツーリズムの動き
- 経過
- 1994年、日本自然保護協会が「エコツーリズムガイドライン」発表
- 1998年4月、「日本エコツアーリズム協会」発足
- 2002年、国連による「国際エコツーリズム年」
- 2003年7月、政府による観光立国行動計画
- 2003年11月、環境省による「エコツーリズム推進会議」発足
- エコツーリズムの概念規定(協会による)
エコツーリズムの定義等については、財団法人日本自然保護協会(略称:NACS-J)により「ガイドライン」が公表されている。
日本自然保護協会によると、「エコツアー」とは、以下の要件を満たしたものとしている。
- 目的・・・参加者が、環境、自然(景観)、野生動植物、生態系を理解し、鑑賞し、加えてそれらに関する倫理観を向上する
- 場所 ・・・ 自然地域の中
- 保全 ・・・ 環境、自然(景観)、野生動植物、生態系を損なわない
- 態様 ・・・ 適切な人数の参加
(注)上記の項目分けは協会によるものではない。
- エコツアーとエコツーリズムの関係
上記の要件を満たしたエコツアーが繰り返し行われることによって、地域の自然と文化の保護、地域経済に貢献する社会的しくみができあがることを指して、「エコツーリズム」と呼ぶとしている。
エコツーリズムの特性として、次の事項を挙げている。
-
- 自然や文化を訪ねる少人数の旅
- 自然保護、地域文化への敬意
- 環境倫理を身に付けたガイド
- 自然への悪影響を避けた施設
- 保護地域や住民への利益還元
ちなみに、対立概念としての「マスツーリズム」には、次の点を挙げている。
-
- 気晴らしを目的とした団体旅行
- 自然破壊、地域文化への悪影響
- 自然や文化に配慮を欠くガイド
- 自然を破壊する大規模な施設
- 自然や地域からの利益収奪
エコツーリズムとの対比上の表現となっていることに留意のこと。
[編集] パッケージツアー
[編集] 関連項目
- サスティナブルツーリズム
- 自然保護
- 生態学
- 環境