アブラゼミ
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アブラゼミ | ||||||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||
Graptopsaltria nigrofuscata | ||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||
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アブラゼミ(油蝉・学名 Graptopsaltria nigrofuscata)は、カメムシ目(半翅目)・ヨコバイ亜目(同翅亜目)・セミ科に分類されるセミの一種。褐色の翅をもつ大型のセミである。
体長は5-6cmほどで、クマゼミよりすこし小さい。頭部は胸部より幅が狭く、上から見ると頭部は丸っこい。体は黒褐色-紺色をしていて、前胸の背中には大きな褐色の斑点が2つ並んでいる。セミの多くは透明の翅をもつが、アブラゼミの翅は前後とも不透明の褐色をしていて、世界でも珍しい翅全体が不透明のセミである。なお、この翅は羽化の際は不透明の白色をしている。
日本の北海道から九州、朝鮮半島と中国北部に分布している。人里から山地まで幅広く生息し、都市部や果樹園でも姿を見ることができる。成虫はサクラ、ナシ、リンゴなどバラ科樹木に多い。成虫も幼虫もこれらの木に口吻を差しこんで樹液を吸うので、ナシやリンゴについては害虫として扱われることもある。
成虫は7月から9月上旬くらいまで多く発生するが、9月下旬や10月でもたまに鳴き声が聞こえることがある。
オスは午後の日が傾いてきた時間帯によく鳴く。鳴き声は「ジー…」と鳴き始めたあと「ジジジジジ…」という大きな鳴き声が15-20秒ほど続き、「ジジジジジー…」と尻すぼみで鳴き終わる。この鳴き声は昼下がりの暑さを増幅するような響きがあり、「油で揚げるような」という形容を使われることが多い。アブラゼミという和名もここに由来する。
ぬけがらはクマゼミとよく似ているが、わずかに小さくてつやがある。また、ぬけがらに泥がつかないのも特徴である。
大阪の自然史博物館の教授は、湿った所にアブラゼミ・乾いたところにクマゼミがいるとの説が唱えられているが京都成安高等学校生物部の生徒と米沢信道先生の十年間に渡る地道な調査でアブラゼミ・クマゼミは特定の木にいることが立証された。
[編集] 近縁種
リュウキュウアブラゼミ Graptopsaltria bimaculata
- 奄美大島から沖縄本島まで分布する。体長は6cm前後で、アブラゼミよりわずかに大きい。アブラゼミに比べて鳴き声が短い。「ジュクジュクジュクジーーイッ」と聞こえるが、ジュクジュクジュクと声を大きくしながら鳴き始め、ジーと声を張り上げ、イッと急に鳴き止んでしまうのが、妙に中途半端である。