アナキン・スカイウォーカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』
![[統合]](../../../upload/shared/thumb/5/52/Merge-arrows.svg/50px-Merge-arrows.svg.png){kind=small} |
項目統合の提案：この項目はダース・ベイダーとの統合が提案されています。詳しくはノート:ダース・ベイダーを参照してください。 |
アナキン・スカイウォーカー (Anakin Skywalker) は、映画『スター・ウォーズ』シリーズの新3部作（エピソード1・2・3）の主人公。監督であるジョージ・ルーカスは、この物語（新旧6部作）は、ダース・ヴェイダー（アナキン・スカイウォーカー）の贖罪の物語であると語っている。画像
ジェダイの予言にある「フォースにバランスをもたらす者」（選ばれし者）であるとされている。
目次 |
[編集] 特徴
アナキンは「選ばれし者」と言われるだけあって、非常に強いフォースを持つ。フォースを生み出すミディ・クロリアンも、史上最高数値を記録した。 また、ライトセイバーの扱いに長けており、エピソードIIではまだまだ未熟だったが、エピソードIIIではヨーダでさえ倒しきれなかったドゥークー伯爵を一人でライトセイバーの闘いで倒した事から、その実力がうかがえる。実質、シリーズ総じてジェダイ最強の戦闘力の持ち主であった。また、9歳の時に部品をより集めてC-3POを作れるほど機械類に精通しており、宇宙戦闘機、宇宙船等の操縦の腕も超一流である。
しかし本来の善良で純粋な心を持っていると同時に、奴隷という抑圧された境遇にあったためか生存への欲求や向上心も並外れており、これが強大な力を渇望する心へとつながる。また有り余る才能を持つ一方で、その激しい感情によって怒りに駆られやすく冷静な判断が取れないため、性急になって物事を独力で解決しようとしたり、傲慢に陥りやすく、パルパティーンのような奸智に長けた者に騙され易い要因ともなった。そして愛しい者への思い入れも激しいため、執着や失うことへの恐怖を克服できないといった、ジェダイとして致命的な弱点があった。これらが原因でダークサイドに堕ちた。また、終始圧倒する実力差を見せながら、経験で勝る師のオビ=ワンに最初の対戦で敗れた要因とも言える（映画の描写ではにオビ＝ワンとの長い戦いでも息すら切れていなかった）。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 新三部作
母シミ・スカイウォーカーとともにタトゥイーンでガラクタ店主、ワトーの奴隷として暮らしていた。父親は不明（母シミは「処女懐胎で生まれた」とクワイ＝ガンに語っている）。9歳にして危険なポッド・レースの選手であり、他の選手が多肢のエイリアンである中で唯一の人間であることを誇っていた。ジェダイ・マスターのクワイ＝ガン・ジンに見出され、彼がワトーと宇宙船の部品とアナキンを賭けてポッド・レース賭博をした際、アナキンは優勝し、クワイ＝ガンを勝たせた。そうして自由の身となり、ジェダイのテストを受けるが、「未来が曇っている｣として入門を断られる。しかし、クワイ＝ガンの任務についてナブーに行き、ひょんなことからナブー・Ｎ－１スターファイターに乗って戦闘に参加、見事にナブーを侵略していた通商連合の司令船を爆破して、全てのドロイドの機能を停止させ、ナブーを勝利に導いた。だが、謎のシス卿（ダース・モール）によってクワイ＝ガンは殺され、その死後は彼の弟子であるオビ＝ワン・ケノービの弟子として、ジェダイの修行を受けることを認められ、オビ＝ワンのパダワンとなる。
ジェダイとしての修行を開始する際、母と別れたことが彼の心に暗い影を落とした。エピソードIIでは幼少期から憧れていたパドメ・アミダラの護衛に就き、彼女と恋仲となる。これは、恋愛感情が執着を生み、不安、恐れ、嫉妬、憎悪といったダークサイドへ繋がるとするジェダイの掟に反するものだった。ある晩、アナキンは母が死ぬ夢を見る。このアナキンの強力なフォースに裏打ちされた予知能力もまた、アナキンの運命を変転させる元となる。自分が予見した未来に平静で居られないアナキンがとった行動は（後のパドメの時も同様）ことごとく裏目に出て、アナキンをダークサイドへ引き寄せる結果となる。アナキンはタトゥイーンへ急行し彼女の救出を図るが、母を死から救う事ができず、怒りに駆られた彼は母を拉致したタスケンを虐殺してしまう。この時、アナキンが感じた激しい怒りの感情やオビ＝ワンへの不満、そして大切な人を死から救いたいという強い力への渇望が、これから起きる悲劇へと繋がっていく。
ジオノーシスでのドゥークー伯爵（シスの暗黒卿ダース・ティラナス）との戦闘ではオビ＝ワンと共に挑み（連携はなっていなかったが）、この時点で数枚上手のドゥークー伯爵に圧倒され、右腕を斬り落とされ、敗れる。この時失った右腕は機械化処置で治療する。このドゥークーがアナキンの右腕を切り落とす場面は、後にヴェイダーとなったアナキンが息子ルークの片腕を切り落とす場面とリンクし、ドゥークーがアナキンの父親ではないかという説が持ち上がったが、後に違うことが判明。アナキンはフォースの意思が、ミディ・クロリアンそのものに人の形を取らせ母親に受胎した存在であるという説もあり、銀河共和国元老院最高議長パルパティーン（シスの暗黒卿ダース・シディアス）がアナキンをシスに引き込むために吹き込む甘言、「ミディ・クロリアンの精製で人を死から蘇らせる秘術」とも奇妙な合致を見せる。分離主義者との戦いの後、アナキンはジェダイの掟を破りパドメ・アミダラと結婚し、後にルーク・スカイウォーカーとレイア姫の双子の父となる（ただし、アナキンは妊娠は知っていたものの、子供が生まれた事は知らなかった）。
クローン大戦が始まるとアナキンはオビ＝ワンと共に各地で共和国軍を勝利に導き「恐れを知らない英雄」と呼ばれるようになり、やがて弟子から騎士へと昇格する。そしてパルパティーン救出のためにオビ＝ワンと共に分離派の宇宙戦艦に突入し、そこでドゥークーと再戦する。クローン大戦の修羅場を潜り抜けてきたアナキンは、かつてよりも格段に強くなっており、絶妙な剣捌きでドゥークーの両腕を切り落として戦闘不能にする。ドゥークーを追い詰めたアナキンに、パルパティーンは止めを刺せと迫り、アナキンは逡巡しながらもドゥークーを殺害する。アナキンはタスケンの時と同じく、無抵抗の者を殺すというジェダイしての一線をまたも踏み越え、シスの道へと誘う罠に誘い込まれていく様を感じさせた。その戦闘後、帰還を喜び合う妻パドメから妊娠を告げられ、アナキンはこの上ない幸福に満たされる。しかしそのパドメが出産によって死ぬという悪夢を見てしまい、彼女を死から救うための強大な力が欲しいという思いを募らせる。
悪夢のことをヨーダに相談し、「強い心を持て」との言葉をかけられるが、心の揺れを払拭できないアナキンにパルパティーンはさらにその魔手を伸ばしていく。パルパティーンはアナキンに自分の私的なエージェントとして働いてくれと依頼し、ジェダイ評議会のメンバーになるように推挙する。任期がとっくに過ぎても権力の座に居座るパルパティーンに、不審の目を向け始めていたメイス・ウィンドゥたち評議員は、逆にアナキンにパルパティーンを監視するスパイの働きをしてもらうため、評議会への参入を認めるが、マスターとは認めなかった。これにアナキンは屈辱を感じながらも、渋々受け入れる。さらに自分にパルパティーンへの逆スパイの役目があると知ると、自ら評議会入りを望んだわけではないだけに、不公平な扱いをしながら、パルパティーンへの信義に背く任務を担わせる評議会に強い不信感を感じる。
再度パルパティーンと会ったアナキンは、パルパティーンがアナキンの立場を見透かしているのを知り、またシスの伝説と命の摂理すら覆す暗黒面の力の魅力を吹き込まれる。その後、グリーヴァス討伐へと向かうオビ＝ワンを見送る時、オビ＝ワンに忍耐も覚えろと諭され、それさえできれば「評議会がおまえを」マスターに推挙するのもそう遠くはないと励まされる。そしてフォースと共にあるようにと互いに言葉を掛け合ったのが、師弟、また友人同士として最後の会話になる。しかし、先の「評議会が推挙」の発言は期せずして、オビ＝ワン自身がアナキンを積極的にマスターに推挙していなかったことを自ら白状する不用意な発言となってしまった（原作ではそれより前にメイスの疑問に答える形で、アナキンは強力で賢明でもあるが無私に乏しいという素行面の問題から、いわゆる偉大なジェダイになることは今後もありえないだろうと涙ながらに認めている）。そして、アナキンはオビ＝ワンのこの言葉の裏にあるものを鋭敏に感じ取ってしまう。
劇場版ではこのあたりのアナキンの葛藤を詳しく描いてなかった為、健闘をたたえ合ったすぐ後のオビ＝ワンへの不信に満ちた態度の理由がわかりづらかったが、パドメを除けば最も親しい兄とも言えるオビ＝ワンへの反感も増すことで、アナキンは精神的孤立を深めていく。その後アナキンがパルパティーンに戦況の報告に行った時、その場でパルパティーンは自ら暗黒卿であることを明かす。正体を明かしながら、パルパティーンはジェダイ評議会がアナキンの力を恐れてシスの秘密を隠していることや、ジェダイが銀河元老院を牛耳ろうとしていることなどの虚偽に満ちた言葉をならべたて、さらに愛するパドメが死の運命にあり、自分ならそれを救う力を教えてやれると、暗黒面に誘い込む（この言葉から、アナキンの悪夢はパルパティーン自身が、アナキンの心を動揺させてシスに引き込み易くするために見せていた可能性もある）。アナキンは剣を向けながらもその言葉に動揺したが、パルパティーン逮捕のためにウィンドゥに報告に行く。
アナキンは逮捕に同行を申し出るが、アナキンの心中の動揺を見抜いたウィンドゥはそれ断り、待機を命じる。パルパティーンがシスであると知りながらも、自分の望む愛する妻を救う力が失われようとしていると思ったアナキンは、命令を無視して現場に急行する。そこではまさにウィンドゥがパルパティーンを追い詰めていたが、パルパティーンの力を欲していたアナキンは、彼に止めを刺そうとするウィンドゥの腕を切り落とし、本性を表したパルパティーンの電撃攻撃でウィンドゥは殺害される。最後の一線を越えてしまったアナキンは、パルパティーンに師弟の誓いを立てることによって暗黒面に墜ち、ダース・ヴェイダーとなる。
シス卿へと転向したアナキンは、クローン兵の大軍を率いてジェダイ聖堂を襲撃、幼いパダワンを含むジェダイの騎士達を容赦なく虐殺していった。そして辺境の惑星ムスタファーでは分離主義勢力の幹部たちを抹殺。「ジェダイの反乱」を口実に皇帝に即位したパルパティーンが絶対権力を握った形で戦争を終結させた。そしてアナキンに真相を確かめるためにやって来たパドメに、皇帝をも倒し二人で銀河をその手に握ろうと持ちかけ、いかに自らがシスの力の論理に魅了され、暗黒面に墜ちたかを見せ付ける形となった。もはやアナキンが以前とは全くの別人で、目的のためにはかつての同胞や、幼い子供すらも殺戮する凶人に変わり果てていたという現実を知ってしまったパドメは大きな精神的ダメージを受け、死を口にするまで深く絶望する。その時、隠れて同行していたオビ＝ワンの姿を見つけ激昂したアナキンは、パドメをフォースグリップで締め上げ、生きる意思をほとんど失った状態でパドメを失神させる。（これにより、パドメは体力・精神ともに衰弱し、出産の後に絶命したきっかけと思われる）そして、ジェダイの責務として道を誤ったアナキンを討たんとするオビ＝ワンとの決闘が始まる。いつ果てるとも知れない苛烈なライトセーバーの応酬が続いたが、地の利をとったオビ＝ワンに対し、アナキンは傲岸なまでの自信と焦りをもって、攻撃を仕掛ける。切り結んだ瞬間アナキンは左腕と両足を斬り落とされ、溶岩流の手前で地面に伏す。
「選ばれし者だったのに！」と悲嘆するオビ＝ワンに、アナキンは悪鬼のような形相で「あんたが憎い！」と呪詛の言葉を吐きかける。動けない状態のアナキンを灼熱の溶岩が容赦なく焼き、地獄の業火に焼かれて悶え苦しむアナキンを正視に耐えないオビ＝ワンは、悲憤の想いのままその場を去る。しばらくしてからパルパティーン皇帝がその場に駆けつけたとき（パルパティーンはフォースによってアナキンの危機を察知し、急行してきたのである）、アナキンは全身を焼き尽くされながら、その恐るべき生命力で生き延びていた。帝国リハビリテーション・センターにかつぎ込まれ、機械の腕と脚が接合され、呼吸用マスク（生命維持装置）が装着され、辛うじて一命を取り留めた。暗黒のサイボーグとなって蘇ったアナキンは、いまだパドメが生きて自分の傍にいると思っていた。しかし、皇帝の口からアナキン自らが彼女を死に追いやった事を告げられるに至って、自分が取り返しのつかない道を選んでしまったと知ったアナキンは、悔恨と絶望の雄叫びを上げるが、アナキンはもはやダース・ヴェイダーとして生きるしかなかった。
[編集] 旧三部作
皇帝となったパルパティーンの第一の側近として反乱同盟軍を弾圧、拘束したレイア姫の救出に現れた老オビ＝ワンを倒す。ヤヴィンの戦いでは自ら戦闘機を操りルークと対決するものの、逆に要塞デス・スターを破壊され、その後帝国軍艦隊を率いてルーク一行を追い詰める。
ルークとの戦いの中で強力なフォースを感じ、息子である彼を皇帝追い落としのため利用すべく、フォースの暗黒面に引き込もうとした(エピソード5)。しかしルークは父を改心させる望みを捨てておらず、あえて投降し皇帝の眼前で対決し、ベイダーは敗北する。そして皇帝の誘惑をも拒絶したルークの捨て身の説得に胸打たれ、善の心を取り戻し皇帝を倒した。この際彼自身も皇帝の電撃により生命維持装置（人工呼吸器）を破壊され力尽き、最後はルークの助力で漆黒のヘルメットとマスクを脱ぎ捨て、素顔で成長した息子の姿を確かめ満足し、娘に遺言を残してこの世を去った。この行動はクワイ＝ガン・ジンが予測した選ばれし者としての役目を果たしたとも言えよう。
後にフォースと一体化し、ルークの前にオビ＝ワン・ケノービとヨーダと共に姿を表し平和になった世界で喜びを表した。（余談であるが、新三部作が完成間近になると、映像でアナキン役の俳優がエピソード2・3でアナキンを演じたヘイデン・クリステンセンに差し替えられている。）
