アタランテ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア（Wikipedia）』

アタランテはギリシア神話に登場する人物で、優れた狩人。アルカディア王イアソスとクリュメネの娘。スコイネウスの娘とも。アルゴナウタイのひとり。

[編集] 神話

イアソスは男子を欲していたために、アタランテは生れると山に捨てられた。狩人の一団が見出して養育するまで、アタランテは雌熊に乳を与えられていたという。この雌熊はアルテミスが送ったものである。このようないきさつから、アタランテはアルテミスにならい、成長しても結婚せずに処女を守り、武器を携えて狩に明け暮れた。

アタランテはイアソン率いるアルゴナウタイに参加し、帰還後、ペリアスの葬礼競技ではアキレウスの父親ペレウスと格闘して勝ったともいう。カリュドンの猪狩りにも参加し、メレアグロスによって一番の手柄とされた。

アタランテの名声が高くなって、両親に再会したとき、彼女は結婚を勧められた。アタランテは気が進まなかったが、勧めに応えるため、結婚の条件として、求婚者が彼女自身との徒歩競走に勝つこととし、競争に負けた者は殺されるとした。アタランテは生きている人間のうちで最も足が速かったため、多くの若者が競争に挑んで命を落とした。アムピダマスの子で求婚者のひとりメラニオン（ヒッポメネスとも）は、アプロディテに祈りをささげて守護を求め祈った。アプロディテはこれに応じて、メラニオンに3個の黄金のリンゴを贈った。競争のとき、アタランテが俊足を飛ばして追い抜こうとするたびにメラニオンは後ろにリンゴを投げた。アタランテがこれに気をとられ、リンゴを拾っている間にメラニオンが先にゴールした。

結婚した二人は狩の途中でゼウスの神域で愛し合い、ゼウスによってライオンに姿を変えられたといわれる。これは、アプロディテが黄金のリンゴの感謝を捧げられなかったためともいう。一説には、アタランテはメレアグロスあるいはアレスとの間にパルテノパイオスを設けたともいう。