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アキーム・オラジュワン - Wikipedia

アキーム・オラジュワン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

男子 バスケットボール
1996 バスケットボール

アキーム・オラジュワンHakeem Olajuwon, 1963年1月21日 - )はナイジェリアラゴス出身の元バスケットボール選手。北米のバスケットボールリーグNBAヒューストン・ロケッツを中心に活躍した。身長213センチの巨体に似合わぬ俊敏な動きと繊細な技術を持ち、歴史上屈指のセンタープレイヤーと目されている。ドリーム(Dream)というニックネームを持っていた。1996年アトランタオリンピックの金メダリスト。同じ年に「NBA50年の歴史の偉大な50人の選手」の一人に選ばれている。1993年アメリカ合衆国国籍を取得している。

目次

[編集] 少年期と大学時代

ナイジェリアのラゴスでセメント業を営む父親の元、6人兄弟の3番目に生まれる。中学・高校時代はサッカーハンドボールをしていた。サッカーでのポジションはゴールキーパーだった。

ある時スポーツの全国大会があり、オラジュワンはハンドボールの選手として出場していた。この頃既に身長206センチだった彼を同級生がバスケットボールの試合に誘った。これがバスケットボールとの出会いであり、彼の運命を変えることとなった。間もなくオラジュワンはバスケットボールナイジェリア代表の選手に選ばれた。

1980年ヒューストン大学に入学。この大学のバスケットボールチームにはクライド・ドレクスラーも入っており、華々しいダンクで有名なファイ・スラマ・ジャマ(Phi Slamma Jamma)として人気を集める。2年生から4年生にかけてNCAAトーナメントで「ファイナル4(4強)」入りし、4年生次にはパトリック・ユーイングを擁するジョージタウン大学に決勝で敗れている。

大学時代のオラジュワンは、1983年のトーナメント最優秀選手受賞を始め、1984年には試合あたりのフィールドゴール成功率、リバウンド、ブロックでトーナメント1位を記録した。

[編集] プロ時代

[編集] キャリア初期

大学での4年間を終え、NBAのドラフトでは全体1位でヒューストン・ロケッツに指名される。ロケッツには身長223センチのラルフ・サンプソンがおり、オラジュワンと合わせて「ツインタワー」と呼ばれた。

オラジュワンのルーキーシーズン、ロケッツは前シーズンの29勝53敗から持ち直し、48勝34敗とミッドウェスト・ディビジョン2位まで成績を上げた。翌1985-86シーズンには勝ち数を51まで延ばし、当時ウェスタン・カンファレンスの強豪だったロサンゼルス・レイカーズとプレイオフのカンファレンス・ファイナルで対戦、4勝1敗で退けた。臨んだNBAファイナルでは当時史上最強と呼ばれたボストン・セルティックスと戦い、2勝4敗で敗れている。

オラジュワンはリーグ入りしてわずか2年でNBAファイナル出場を経験するものの、翌シーズンはサンプソンの怪我により「ツインタワー」は有効に機能せず、続く1987-88シーズン中にサンプソンはトレードに出される。以降ロケッツは勝ち数が50に届くこともままならず、優勝に絡むこともなく1980年代が過ぎていった。

オラジュワン自身はリーグを代表する好選手の一人と言った位置づけで、1987年以降3年連続でオールNBAファーストチーム入りしている。この時期を前後してリバウンドやブロックでリーグ首位になっており、ディフェンス面でも評価を得ていた。

それにもかかわらずチームはプレイオフではかばかしい成果を上げられず、90年代に入る頃にはファンやマスコミの批判が聞かれるようになり、オラジュワン自身の個人成績にも若干の低下が見られた。他チームへのトレードが成立直前の段階にまで至ったこともあった。この時期にオラジュワンは怪我や不整脈で試合を欠場したこともあった。

[編集] 最盛期

自身をトレードしようとしていた球団に不信感を募らせていたオラジュワンであったが、93年、日本での開幕戦のために移動中だった飛行機機内で球団と和解、吹っ切れたオラジュワンはリーグでもトップクラスの選手になっていた。1993年には26.1得点13リバウンドでオールNBAファーストチーム入りし、ブロックはリーグ最高の平均4.17本を上げた。このシーズンは年間最優秀守備選手にも選ばれた。翌1993-94シーズンはレギュラーシーズンのMVPと最優秀守備選手を同時に受賞。オラジュワンはキャリアの全盛期に入り始める。

この時期のオラジュワンは、持ち前のセンスと運動能力を活かしたドリームシェイクという動きを見せるようになる。これは俊敏な動きと多彩なステップワークでディフェンダーを翻弄するもので、センターを務める選手としては規格外と言える多彩なムーブでありデビッド・ロビンソンパトリック・ユーイングシャキール・オニールといった歴史に名を残すセンターであってもドリームシェイクについて行ける選手は皆無であり、オラジュワンのトレードマークとも言える技となった(ロビンソンはシーズン中既に「彼のスピンムーブを止められる選手はいない」と半ば白旗をあげていた)。

このシーズンのプレイオフ、ヒューストン・ロケッツはウェスタン・カンファレンスのセミファイナルでフェニックス・サンズを4勝3敗で退け、カンファレンスファイナルではユタ・ジャズを4勝1敗で下し、ついにNBAファイナル進出を決めた。イースタン・カンファレンスを勝ち上がってきたのは、パトリック・ユーイングのいるニューヨーク・ニックスだった。ニックスはパット・ライリー監督の指導のもと、ディフェンスの強い強豪に成長していた。オラジュワンにとって、ユーイングとは大学の決勝で敗れて以来の因縁の対決となった。ライリーはオラジュワンを封じようと、彼に対してユーイング、オークレー、チャールズ・スミス、メイソンという面々を次々にぶつけるが、最後はロケッツが第7戦までもつれたシリーズを制し、オラジュワンはファイナルMVPに選ばれた。

翌1994-95シーズン、トレード期限間際の2月に、オラジュワンの大学時代のチームメートクライド・ドレクスラーがヒューストンに電撃的に移籍。一方でロケッツの成績は47勝35敗で、優勝した前シーズンよりも勝ち星を10以上減らしていた。第6シードでプレイオフに臨んだロケッツは、1回戦でユタ・ジャズと対戦し、3勝2敗で番狂わせを演じる。続くセミファイナルではフェニックス・サンズを7試合の末に際どい勝利をおさめ、カンファレンス・ファイナルではサンアントニオ・スパーズと対戦。優秀なセンターデビッド・ロビンソンを退け、4勝2敗でスパーズを下す。シーズン成績が自分たちより上だった3チームを倒し、ロケッツは2年連続でNBAファイナルに進む。相手は新世代のスター選手、シャキール・オニールアンファニー・ハーダウェイを擁するオーランド・マジックだった。戦前、「シャック・アタックvsドリーム・シェイク」と話題になったシリーズだったが、オーランド・マジック優位との声が高かった。シリーズはオラジュワンがシャックを完全に封じ、攻めてはドリーム・シェイクで翻弄、ロケッツはオーランド・マジックを4勝0敗で一蹴して2連覇を達成、オラジュワンは2年連続でファイナルMVPに選ばれた。

[編集] キャリア末期

続く2シーズン、オラジュワンの個人成績は相変わらず素晴らしい水準だったが、1996年のプレイオフではカンファレンス・セミファイナルでシアトル・スーパーソニックスに0勝4敗で敗れ、1997年にはカンファレンス・ファイナルでユタ・ジャズに2勝4敗で敗退する。

翌1997-98シーズン、オラジュワンは怪我によりシーズンの大半を欠場し、平均得点16.4でデビュー以来初めて20点を割った。その後も怪我に悩まされ、再び不整脈に襲われたこともあった。オラジュワンの個人成績は徐々に低下していき、ついに2001-02シーズンにトロント・ラプターズにトレードされ、大学時代から20年以上を過ごしたヒューストンを後にした。このシーズンが終わると、オラジュワンは引退した。

[編集] プレイスタイルと業績

オラジュワンに関してはドリームシェイクが非常に有名である。同時代にはパトリック・ユーイングデビッド・ロビンソンシャキール・オニールなど優秀なセンターが多かったが、俊敏なスピンムーブや巧みなフェイクなど、ゴール下で素晴らしい動きを見せるオラジュワンを止めることは至難の業だった。ウィルト・チェンバレンカリーム・アブドゥル=ジャバーなど歴史上の偉大なセンターもこのような技術を持っておらず、オラジュワンを史上最高のセンターと評する者もいるほどである。

オラジュワンは優秀なディフェンダーでもあった。年間最優秀守備選手に2度選出、オールディフェンシブファーストチームには5度選出され、平均ブロック数では3回リーグ首位になっている。生涯通算ブロック数は3,830で、NBA歴代最多である。

1989年には、一つの試合で18得点、16リバウンド、10アシスト、11ブロックを記録。4つの部門で2桁を達成するクワドラプル・ダブルを成し遂げた。これはNBAの歴史でも数回しかない珍しい記録である。

1993年にアメリカ国民となり、1996年アトランタオリンピックでは米国代表として金メダルを獲得した。

[編集] その他

  • かつてはアキーム・アブドゥル・オラジュワン(Akeem Abdul Olajuwon)という名前だったが、NBA入りする頃から公の場では「アブドゥル」を使わなくなっている。また1991年よりファーストネームの「アキーム」を Hakeem と綴るようになった。
  • 1990年代初めに低迷期があり、バッシングを受けて精神的に落ち込んでいた時期があった。この頃にオラジュワンはイスラム教の教えを見つめ直すようになり、敬虔なイスラム教徒となっている。ラマダーン月間の断食の時期には、試合のある日でも日中は飲食物をいっさい口にしなかった。
  • 1984年10月27日のNBAデビュー戦では24得点、9リバウンド、6アシスト、2スティール、1ブロックを記録。2001年4月17日、ロケッツでの最後の試合でも24得点、9リバウンド、6アシスト、2スティール、1ブロックを記録した。
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