ちちぶ銘仙館
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ちちぶ銘仙館(ちちぶめいせんかん)は、埼玉県秩父市にある織物に関する資料館である。
アメリカ人建築家ライトが考案した大谷石積みの外装や昭和初期の特徴的な装飾との調和が建築的に非常に優れており、三角屋根の工場棟や渡り廊下も含め、2001年(平成13年)10月に国の登録有形文化財に登録された。
古代より秩父地方は「知々夫絹」の産地であった。堅牢なこの絹織物は武家に珍重され、庶民に愛されていた。明治時代、女性のおしゃれ着として「秩父銘仙」の名は日本全国に知られた。ちちぶ銘仙館では、秩父銘仙の染め織り体験、展示・即売、今昔を紹介している。
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[編集] 秩父銘仙の歴史
「秩父銘仙」は、崇神天皇の時代に知々夫彦命が住民に養蚕と機織の技術を伝えたことが起源と言われている。その後、「秩父銘仙」は伝統を受け継がれつつも高品質なものへと改良を重ね、明治中期から昭和初期にかけて最盛期を迎える。
絹織物の「秩父銘仙」は、平織りで裏表がないのが特徴で、表が色あせても裏を使って仕立て直しができる利点がある。女性の間で手軽なおしゃれ着として明治後期から昭和初期にかけて全国的な人気を誇るようになった。特に独特のほぐし模様が人気を博したといわれている。また、当時は養蚕業などを含めると市民の約7割が織物関係の仕事にかかわっていたと言われている。
今でも、昔ながらの技は受け継がれており、和服・ざぶとん・小物などが、秩父地方のお土産品として有名である。
[編集] 沿革
- 1930年(昭和5年)9月に秩父絹織物同業組合(現秩父織物商工組合)が秩父地方の繊維産業の向上と振興を図るため建築し、埼玉県秩父工業試験場を誘致した。
- 1983年(昭和58年)4月に埼玉県繊維工業試験場秩父支場に改組され、秩父地域繊維産業の発展のために大きな役割を果たしてきた。
- 1998年(平成10年)3月に県内工業試験場の再編・統合で廃止される。
現在では、ちちぶ銘仙館として、秩父織物・銘仙等の歴史上貴重な史料の展示や伝統的な技術を伝承するための施設として、昭和初期の面影を残した形で改修された。
[編集] 所在地
- 埼玉県秩父市熊木町28-1