いるか座
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いるか座 (Delphinus) | |
略符 | Del |
属格 | Delphini |
英語での意味 | Dolphin |
赤経 | 20 h 42 m |
赤緯 | 13° 48' |
観測可能地域 | 北緯90°- 南緯70° |
20時20分正中 | 9月26日 |
広さ - 順位 | 189 平方度 - 69位 |
3等以上の星の数 / 6等以上の星 |
0 / 26 |
最も明るい星 , 視等級 |
ロタネブ (β Del) , 3.63 |
流星群 |
特になし |
隣接する星座 |
いるか座(海豚座、Delphinus)は、天の川の近くにある星座。トレミーの48星座のうちの1つ。
全体的に暗い星座ではあるが、その中でも比較的明るい星々が密集しているため、天の川が見える程度に環境が良ければ見つけやすい星座である。
目次 |
[編集] 特徴
- スアロキン(Sualocin、α Delphini) : スペクトル型9B IV、視等級3.77の6重連星
- ロタネブ(Rotanev、β Del) : スペクトル型F5 IV、視等級 3.63
- γ Delphini:最も美しい二重星のうちの1つ。
- γ1 Delphini:スペクトル型 F7 V、視等級 5.14
- γ2 Delphini:スペクトル型 K1 IV、視等級 4.27
- δ Delphini:スペクトル型 A7 IIIp、視等級 4.43
これらの星は、ヨブの棺 (Job's Coffin) と言われるひし形をつくる。ヨブとは旧約聖書のヨブ記の主人公である。
- デネブ・ダルフィム(Deneb Dulfim、イルカの尾の部分)または ε Delphini と呼ばれる星は、スペクトル型 B6III で視等級4である。この星は単にデネブと呼ばれることもあるが、普通は「デネブ」の名ははくちょう座α星に対して使われる。
- R Delphini : 285.5日周期のミラ型変光星。視等級は7.6から13.8に変化する。
[編集] 主な天体
- NGC 6891:視等級10.5の惑星状星雲
- NGC 6934:球状星団。視等級9.75。
- NGC 7006:約185,000光年の距離がある球状星団。視等級11.5。非常に暗く、見えにくい。
[編集] 歴史
この星座のα星とβ星の固有名 Sualocin と Rotanev は古代は使われていなかった非常に新しい名である。イタリアのパレルモ (Palermo) 天文台が出した1814年の恒星図で、はじめて使われた。逆から読むと、その天文台の台長助手の名のラテン語読み Nicolaus Venator になる。台長助手のイタリア語での正式な綴りは Niccolo Cacciatore で、Cacciatore はイタリア語で狩人の意味であった。 Venator はラテン語で同じく狩人の意味である。
[編集] 由来
いるかは海の神ポセイドンの使いとされている。星座になったのは、逃げたポセイドンの妻アンフィトリテの場所を教えた功績が称えられたためとされる。
別の逸話によれば、音楽家アリオンがシチリア島の音楽コンクールで優勝して故郷に帰る際、優勝賞金に目がくらんだ船員がアリオンを殺害しようとした。アリオンは死ぬ前に琴を弾かせて欲しいと願い、船員たちはこれを許した。アリオンが弾き始めると、どこからともなくイルカの群れがやってきて、曲を鑑賞した。アリオンが身を投げると、イルカがその背にアリオンを乗せて故郷に連れ帰った。この逸話はヘロドトスの『歴史』で現れる。イルカは功績が称えられ星座になった。