YJ-82 (ミサイル)
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YJ-82 Ying-Ji-82(中国名:鷹撃-82、「ワシの打撃」の意。輸出名:C-802、NATOコードネーム:CSS-N-8 Saccade)は、中国海鷹電気機械技術研究院(別名:第三研究院)が開発し1989年に公開された中国製対艦ミサイルである。 YJ-82は小規模なレーダー反射能力を持ち、海面から約5-7mの高度で目標に向かって飛翔し、また強力な対ジャミング能力を持つため、標的となった艦船がこれを捕捉し迎撃するのは非常に困難である。その命中率は98パーセントに達すると見られる。 YJ-82は航空機、艦船、潜水艦や陸上車両から発射することができ、米国のハープーンミサイルと共に同世代で最も優れた対艦ミサイルであると考えられる。
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[編集] 設計
YJ-82対艦ミサイルは、YJ-8(C-801)の射程の伸びた派生型である。 YJ-82は外見的にはYJ-8と非常に似ており、YJ-8と同じ固体ロケットブースターと誘導システムを用いている。 YJ-82とYJ-8の最も大きな違いは固体ロケットエンジンをパラフィンベースの燃料を用いたターボジェットエンジンに交換しているところであり、この燃料を収容するために胴体が少し伸びている。 YJ-82の射程はYJ-8の40km(YJ-81/C-801Aの80km)から120kmまで伸びている。 YJ-8シリーズ(YJ-82を含む)はソ連のR-15よりは西側の設計思想に基づいて開発された、HY-2(シルクワーム)対艦ミサイルとはなんら関係はない。
[編集] 配備
YJ-82は旅海型駆逐艦と江衛型フリゲートを含む最新鋭の中国海軍の水上戦闘艦によって運用されている。また、それ以外の艦船についてもYJ-82を運用できるように改修が行なわれている。 YJ-82を長射程で使用する場合はヘリコプターや航空機から目標艦船の位置情報等を得なければならない。 報道によると、1991年の湾岸戦争後、イランはおよそ60発のYJ-82(地上発射型)を購入しているようである。 空中発射型のYJ-82はYJ-82K(C-802K)と命名され、JH-7戦闘爆撃機はこれを4発搭載できる。
中国はまたYJ-82の設計を元にしたYJ-83(C-803)対艦ミサイルを開発している。同じくターボジェットエンジンを使用し超音速で射程は250kmに上ると言われる。 胴体にはデータ伝送用のアンテナが装備され偵察機とヘリコプターから目標への中間軌道データを得ることができる。
またいくつかの未確認情報によればGPS/TERCOM誘導システムを用いた400kmの射程を持つYJ-82系対地巡航ミサイル(LACM)も開発された、未確認ではあるが、 YJ-82をLACMに改造するのはそれほど難しいことではないのは確かなことである。
[編集] 派生型
- YJ-82 (C-802):基本型
- YJ-82K (C-802K):空中発射型
- YJ-83 (C-803):超音速射程増強型 射程:150~200km 速度:マッハ1.3
- YJ-83K (C-803K):空中発射型
- Noor:イラン開発型
["N. Korea, Iran Jointly Develop Missile: Report" Korea Times February 17, 2000].
[編集] 使用国
- 中華人民共和国
- イラン・イスラム共和国
[編集] 戦歴
2006年7月14日にヒズボラがイスラエルの艦船に対して使用した。2発を発射し、うち1発がAhi-ハニトに命中し、4人の乗員が死亡した。 通常、艦船にはYJ-82などの対艦ミサイル攻撃を防ぐためにCIWS、対空ミサイル、チャフやECMなど多層のミサイル防御能力がある。しかし、イスラエルの軍は、これらを以下の理由により意図的に機能しないようにしていた。
- ヒズボラが対艦ミサイルを所有していないと考えていたため。
- 艦船の近くには作戦行動中のイスラエル空軍機が多数おり、システムの誤作動などにより対空ミサイルを発射して友軍機を撃墜しないようにするため。
[編集] 仕様
- 全長: 6.392 m
- 直径: 0.36 m
- 翼幅: 1.22 m
- 発射重量: 815 kg
- 弾頭重量: 165 kg 遅延信管付 半徹鋼弾
- 動力: ターボジェットエンジン、固体ロケットブースター
- 最大速度: Mach 0.9
- 最大射程: 120 km
- 飛行高度:巡航 20~30 m 攻撃; 5~7 m
- 誘導: 慣性+ARH
- SHP 75%
[編集] 外部リンク
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