OS/2
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OS/2(オーエス・ツー)は、PS/2用としてIBMとマイクロソフトとの共同で開発された、オペレーティングシステムである。
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[編集] バージョン
- OS/2 1.0:1987年4月2日:IBMとMicrosoftの共同開発。GUI非搭載。
- OS/2 1.1:1987年:GUIであるPM(Presentation Maneger)搭載。
- OS/2 1.2:1989年:HPFS採用。
- OS/2 2.0:1992年:Windows 3.0用のアプリケーションをサポート。
- OS/2 2.1:1993年:Windows 3.1が動く。
- OS/2 2.11:1994年:ユーザインタフェースの改善など。
- これとV3, Connectは、WIN-OS/2の有無でパッケージが別れる。
- OS/2 Warp V3:1995年:Ver.3にあたる。32ビット専用化。
- OS/2 Warp Connect V3:1995年:Warp V3にLAN対応機能(TCP/IP、LAN Serverクライアント、NetWareクライアントなど)を追加。
- OS/2 Warp 4:1996年:デスクトップOSシェア獲得戦争から撤退。
- デスクトップ版はこの後引き続き下記のWarp Server for e-businessをベースに開発は続行。
- OS/2 Warp Server for e-business:1999年:NT 4.0 Server群をシームレスに管理可能。
- OS/2 Communications Server for OS/2 Warp, V6.1:2000年:SNAとTCP/IP間の通信を統合。
- Convenience Package for OS/2 Warp 4 (V4.51):2001年
- Convenience Package for OS/2 Warp 4 (V4.52):2002年
[編集] 概説
[編集] 歴史
元来は、IBMのPS/2用のオペレーティングシステムとして、IBMとマイクロソフトとの共同で開発されたもので、Ver.1.0が最初である。
Ver.1.2のリリース後、マイクロソフトはWindowsの開発に注力することになり、以降はIBMのみの開発となった。 1990年、更に軽量化したIBM版 16bit OS/2 1.3をリリース。
1992年3月31日、IBMは世界初のPC用32bit OSである、OS/2 2.00を発売。Windows3.0互換環境(WIN-OS/2)、MVDMを持ち、統合プラットフォームとして一つの完成形を見る。
Ver.2.1ではWindows 3.1用のアプリケーションが動くようになり、2.11からは、UIをがらりと変更し、オブジェクト指向のGUIであるワークプレイス・シェル(WPS)を標準環境とし、他に先駆けてプリエンプティブ・マルチタスクを採用。そのほか仮想DOSマシン、アップルコンピュータのOpenDocのサポートを行った。
OS/2 2.11は、対抗商品となったWindows NT 3.1の完成度の低さと、Windows 3.x系との互換性の高さから、当時のPC用32bitOSとしては比較的リソースを消費せず、Windows 3.1のソフトウェアがほぼ完全に動作することから「OSごと落ちない完全なマルチタスク可能なWindows3.xマシン」として重宝された。
1995年3月にリリースされたVer.3.0では、32ビット専用となり、Warp(ワープ)の呼称を使用し、グループウェアのLotus Notesや日本語IMのWritingHeads/2等のアプリケーションを多数バンドルして発売された。日本では「DOSも走る、窓も走る」「ワープを使え」という、山口智子のテレビコマーシャルが流された。IBMが家庭向けに販売していたPCであるAptivaシリーズにバンドルされるなど、個人ユーザー向けに最も積極的に普及のための活動が行われたのがこのころである。しかし、同年11月に発売を予定していたWindows95の評価が固まるまで、双方の導入を見送ったユーザも多かった。
翌年発売された、OS/2 Warp 4を最後にIBMはデスクトップOSシェア獲得競争から撤退したため、主流になることは無かった。
その後、OS/2はサーバ用OSとして機能の追加や拡張を行うこととなった。この成果は、後に販売されたデスクトップ向けのOS/2 Warp 4 コンビニエンスパッケージWarp 4.51、4.52にも反映されている。
2003年時点でIBMは2006年末までのサポートをすると発表しており、また、少なくとも1社に対しては2019年までメンテナンスを行うとの事。
2005年7月にIBMは正式なサポート終了通告を発表し、2006年12月をもって通常ルートのメンテナンスを完全に停止する事となった。
[編集] 現状
IBM社は1996年のWarp 4を最後にOS/2の開発を打ち切り、使用を続ける顧客に対してのサポートのみを続けている。IBMは主力OSをLinuxにすえ、OS/2からLinuxへ数年かけて転換する方針を掲げている。
OS/2はその保守サポートにより1997年以降に主流となったPCアーキテクチャ(AGP、USB、DVD±Rなど)や現在発売されているプリンタやCD-RW、DVDなどの周辺機器について対応している。 しかし、IEEE1394についてはオープンソースによるドライバ開発が始まったところである。
サポート状況の詳細に関しては、外部リンク「IBMのOS/2 Warp 対応各種一覧」や、「DD Pak Online」を参照されたい。 もっとも、日本でサードパーティが販売していた主要なデスクトップ向けアプリケーションソフトは1997年頃からバージョンアップが行われていないことから、2004年現在、クライアント用途のデスクトップマシンでは過去に開発された専用業務システム、端末エミュレータ、IBM社のアプリケーション(旧Lotus社製品等)が主に使用されていると思われる。海外では状況が異なり、OpenOffice.orgの移植やSerenity Virtual StationのOS/2サポートなどが開発中である。もちろんMozillaやFirefoxも最新版が提供されている。
なお、OS/2 Warpの後継OSである、eComStationが登場している。
[編集] オープンソースとの関わり
現在OS/2クローンを作成するオープンソースプロジェクトが進行中である。IBMのサポート終了通告を受けて、オリジナルソースコードの公開を要求する声がある一方、アセンブラで書かれたコードにどれほどの意味があるか疑問視する見方もある。オープンソース化を求める嘆願書には13,000人以上が署名している。
[編集] 他機種について
OS/2は、元来 IBM PS/2のOSとして開発されたものだが、PC-9800シリーズやFMRシリーズ、Multi16、J3100等の国産機にも移植されている。ほとんどのメーカが1.x系で撤退したが、東芝はWarp V3まで、NECはWarp 4までOS/2の移植、販売を行っていた。
[編集] 外部リンク
クローンプロジェクト
カテゴリ: オペレーティングシステム | IBM