IAR-330 (航空機)

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IAR-330(イーアーレー330)は、ルーマニアの航空機メーカーであるIAR社(Intreprinderea de Constructii Aeronautice、現Industria Aeronautică Română)の生産したヘリコプター。フランスのアエロスパシアル(Aérospatiale)社が開発したSA 330プーマのライセンス生産機である。ルーマニア空軍など国内での運用のほか、アフリカなどへ輸出もされた。

[編集] 概要

IAR-330HはSA 330H輸送ヘリコプターのライセンス生産型で、IAR-330の基本型となった。SA 330はシュド・アヴィアシオン(Sud Aviacion)社(のちのアエロスパシアル社、現ユーロコプター社)で開発された多目的輸送ヘリコプターで、1965年に初飛行、世界各国で使用された。ルーマニアでライセンス生産されたほか、インドネシアでも機体の組み立てが行われ、南アフリカでも各種派生型が生産された。

IAR-330は、合わせて163機以上が国内向けに生産された。これは、当初のライセンス契約数よりかなり多い数であったと言われる。軍用へは、104機が回された。海外へは57機が輸出された。捜索救難型は、海上運用ができるように洋上装備が付加され、少数が生産された。IAR-330には、国内で製造されたエンジンを搭載された。24機は、IAR-330L SOCATにアップグレードされた。この機体は攻撃・輸送ヘリコプターで、他のワルシャワ条約機構加盟国と違いMi-24などを保有しなかったルーマニアにとって唯一の本格的な攻撃ヘリコプターとなった。なお、IAR-316から攻撃ヘリコプターIAR-317 Airfoxも開発され1984年に初飛行したが、本格的な運用機にはなっていない。

IAR-330は、軍用ヘリコプター分野においてIAR-316ともにニコラエ・チャウシェスク政権のとった独自路線を支える基盤となった。これらフランス生まれのライセンス生産機のおかげで、ルーマニアは他のワルシャワ条約機構加盟国のようにソ連製のヘリコプターへの全面依存をせずにすんだ。ルーマニア軍では他国で多数運用されたMi-2やMi-4は使用されず、Mi-8/17も少数の運用に留まっている。

[編集] スペック

[編集] IAR-330L SOCAT

機体全長：15.0 m
機体全高：4.6 m
機体全幅：3.38 m
ローター全長：16.2 m
空虚重量：3615 kg
最大離陸重量：7400 kg
発動機：Turmo IV B ターボシャフトエンジン (ルーマニアでのライセンス生産)×2
出力：1400 馬力 ×2
最高速度：550 km/h
航続距離：4800 m
武装：23 mm連装機関砲GSh-23L ×1、9M14マリュートカ有線誘導対戦車ミサイル ×4または55 mm 16連装ロケット砲LPR-57 ×4または122 mmロケット弾 ×8または100 kg爆弾 ×4または7.62 mm連装機関銃コンテナーGMP-2 ×2～4(弾数550発)