Filesystem Hierarchy Standard
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Filesystem Hierarchy Standard(FHS、ファイルシステム階層標準)は、Linuxと他のUNIX系オペレーティングシステムでの主なディレクトリとその内容を定めたものである。
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[編集] 概要
ファイルシステム階層の標準化は、Linuxのファイルおよびディレクトリ構造を再構成する試みとして1993年8月に始まった。FSSTND(Filesystem Standard) というLinux上のファイルシステム階層標準が 1994年2月14日にリリースされ、1994年10月9日と1995年3月28日に改版されている。
1996年初頭、FSSTND をLinuxだけでなく他のUNIX系システムも含めた包括的なものとする作業が、BSD開発コミュニティからも参加者を迎えて行われた。結果としてUNIX系システムで広く問題となっていた様々な事柄を解決するために集中することとなった。そのような対象範囲の拡大過程でこの標準の名称が Filesystem Hierarchy Standard (略称 FHS)となった。
FHSをメンテナンスしているのは、主要ソフトウェアおよびハードウェアベンダーからなる非営利団体 Free Standards Groupである。メンバーにはHP、レッドハット、IBM、デルなどが含まれる。しかし、メンバー企業も含めて大部分のLinuxディストリビューションはこの標準に従っていない。特に FHS の編者が新たに加えた /srv/ などは広く採用されているとは言えない。GoboLinuxなどいくつかのシステムでは全く異なったアプローチを採用してFHSと断絶している。Mac OS Xでは、FHS風のシステムと併せて直感的にわかりやすい名前を使っている。
[編集] ディレクトリ構造
物理的には別々のデバイスにあるとしても、全てのファイルとディレクトリはルートディレクトリ "/" の下に置かれる。一部のディレクトリは特定のサブシステム(X Window Systemなど)がインストールされないと作成されないことに注意されたい。
ディレクトリ | 説明 |
---|---|
/bin/ | 一般ユーザー向けの基本コマンドの実行ファイル(binaries)。例えばcat、ls、cpなど。 |
/boot/ | ブートローダー(boot loader)関連のファイル群。例えば、カーネルや initrd(初期RAMディスク)。 |
/dev/ | 基本デバイス(device)。例えば、/dev/nullなど。 |
/etc/ | システム全体に関わる固有設定ファイル群。 |
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/opt/ のための設定ファイル群。 |
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X Window System, version 11 用の設定ファイル群。 |
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SGML の設定ファイル群。 |
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XML の設定ファイル群。 |
/home/ | ユーザーの ホームディレクトリ(home directory)群。 |
/lib/ | /bin/ や /sbin/ にある実行ファイルの基本となるライブラリ(library)群。 |
/mnt/ | ファイルシステムの一時マウントポイント(mount) |
/media/ | CD-ROMなどのリムーバブル媒体(media)のマウントポイント(FHS-2.3 から) |
/opt/ | 実行時に書き換えられないアプリケーションソフトウェアパッケージ |
/proc/ | カーネルやプロセス(process)の状態に関する情報を主にテキストで示す仮想ファイルシステム(例えば、実行時間やネットワークなど) |
/root/ | rootユーザーのホームディレクトリ。 |
/sbin/ | システム管理系コマンドの実行ファイル群(例えば、init、route、ifup)。(system binaries) |
/tmp/ | 一時ファイル置場(Temporary files)。/var/tmp も参照されたい。 |
/srv/ | システムに提供された(served)サイト固有のデータ |
/usr/ | ユーザー(user)が共有する読み込み専用データの第二階層。 |
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/bin/ と同類だが、基本的ではない(システムの立ち上げやリカバリには不要)。 |
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標準 includeファイル群 |
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/lib/ と同類。 |
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/sbin/ と同類だが、基本的ではない(例えば、各種ネットワークサービス用デーモンなど)。 |
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アーキテクチャに依存しない共有(shared)データ |
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ソースコード(Source code)。例えば、カーネルのソースコードとそのヘッダファイル群など。 |
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X Window System, Version 11 Release 6 |
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ホスト固有のローカル(local)データを格納する第三階層。 |
/var/ | 可変(Variable)なファイル群。ログ、データベース、ウェブサイト、一時的電子メールファイルなど。 |
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ロック(Lock)ファイル群。使用中リソースを保持するファイル。 |
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ログ(Log)ファイル。各種ログ。 |
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ユーザーのメールボックス(mail-box) |
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最近のブート以降の走行中(runing)システムに関する情報。例えば現在ログイン中のユーザー、走行中のデーモンなど。 |
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処理待ち状態のタスクのスプール(spool)。例えばプリントキュー、未読メールなど。 |
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互換のために残された、かつてのユーザーのメールボックス(mail-box)の場所。 |
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一時ファイル置場(Temporary files)。マルチユーザーモードではこちらの使用が推奨される。 |
[編集] 関連項目
- GoboLinux
[編集] 外部リンク
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