魔界塔士Sa・Ga
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
魔界塔士Sa・Ga | |
---|---|
ジャンル | RPG |
対応機種 | ゲームボーイ[GB] ワンダースワンカラー[WSC] |
開発元 | スクウェア |
発売元 | スクウェア |
人数 | 1人 |
メディア | GB:1Mbitカセット WSC:32Mbitカセット |
発売日 | GB:1989年12月15日(日本版) GB:1990年9月30日(北米版) GB:1998年(再販,北米版) WSC:2002年3月20日 |
価格 | GB:3,500円(日本版) WSC:5,460円(税込) |
売上本数 | GB:110万本(日本国内) WSC:5万本(日本国内) |
『魔界塔士Sa・Ga』(まかいとうし さが)は、1989年12月15日に、スクウェア(現スクウェア・エニックス)からゲームボーイ (GB) で発売されたロールプレイングゲーム。サガシリーズの第一作目である。ワンダースワンでも、2002年03月20日にリメイク版が発売された。
北米版のタイトルは"FINAL FANTASY LEGEND"で、このシリーズをファイナルファンタジーシリーズの外伝として扱う。
目次 |
[編集] ゲーム登場-時代背景
ファミリーコンピュータでファイナルファンタジーを大ヒットさせたスクウェアが、ゲームボーイ初のロールプレイングゲームとして発売した作品が本作である。
ファミコンに比べ、ゲームボーイはスペックの貧弱な媒体だった。そのため、白黒画面で出来る限りのゲーム性を表現することや、短い電池消費時間の中で楽しめる作品が求められた。その結果、ゲームバランス・シナリオ・音楽に優れ、約6~10時間でエンディングに到達する、ゲームボーイの可能性を最大に引き出した作品となった。この作品により、スクウェアの名声は高まり、続編「Sa・Ga2 秘宝伝説」「時空の覇者 Sa・Ga3」や、後のロマンシングサ・ガシリーズ、サガ・フロンティアシリーズの大ヒットにつながった。もちろん、ファイナルファンタジーの続編や、聖剣伝説・クロノトリガーを生み出す契機になったと言っても、過言ではない。
あまり知られてはいないが、スクウェア初のミリオンセラー作品である。
[編集] ゲームシステム
[編集] キャラクター成長システム
本作のキャラクター成長システムは、スクウェアが1988年末に発売したファイナルファンタジーIIの熟練度による成長システムを発展させたものである。
ファイナルファンタジーIIは、従来のRPGで用いられていた経験値レベルアップ制を廃し、戦闘中にとった行動にあわせて随時能力が変わる熟練度によるキャラクター成長システムを採用した。これは、他のRPGには見られない斬新なシステムだった。その斬新さが仇となりファイナルファンタジーシリーズの続編では採用されなかったが、斬新性を追求する指向で企画されたSaGaシリーズで発展的に採用されることになった。このシステムは、Sa・Ga3など一部の作品を除き、後のシリーズ作品にも採用された。
[編集] 各種族の特徴と成長方法
種族には人間、エスパー、モンスターの3種があり、人間、エスパーにはそれぞれ性別がある。よって主人公をこれら5つの中から選ぶことができる。仲間は「アドベンチャーズギルド」で無料で雇うことができる。最初の世界のギルドでは、初期能力は主人公に劣る。後半の町にあるギルドほど仲間にできるキャラは強くなるが、その時点で出現する敵と同等か、少し弱めの能力設定となっている。ゲーム開始時は主人公1人だけだが、仲間を3人雇わないとイベントが進まなくなる。また、一度仲間に雇うと、生きている限りパーティーから外せない(従って、仲間は死ぬか、意図的に殺さない限り最初以外のギルドを使う機会はない)。ただし、WSC版では主人公一人旅も可能。
- 人間 (男/女)
- アイテムを合わせて8個まで装備可能。
- 「ちからのもと」「すばやさのもと」「HP200」などの成長用アイテムを使って成長させる。このため早い段階で能力値をMAXにすることも可能である。
- エスパー (男/女)
- アイテムを合わせて4個まで装備可能。これとは別に、特殊能力欄が4個ある。
- 戦闘後の突然変異によりHP、ちから(こうげき)といったステータスが上がったり、特殊能力が変化する。これらは戦闘後に告知されないため、こまめにステータス画面で確認する必要がある。成長用アイテムは使えない。男女で成長しやすい能力が異なる。
- モンスター
- アイテムは一切装備できない。
- 戦闘終了後に倒した敵が落とす肉を食べると別のモンスターに変身し、そのモンスターのステータスや能力に変わる。変身の結果、変身前よりパワーダウンすることもある。この「肉を食べて強くなる」というシステムもGB版Sa・Gaシリーズの大きな魅力であり、斬新なシステムと呼ばれる所以の一つである。勝利の時に流れるファンファーレが「Eat the meat」という楽曲名なのは、これに由来。高位のモンスターには「すざく」などのボスも含まれ、特殊能力も強力となっていく。
[編集] アイテム
アイテムは、一部のものを除いて回数制限があり、回数を使い果たしたら最後には無くなってしまう。エスパーやモンスターの特殊能力も同様だが、こちらは宿屋で休むことで残り使用回数が回復する。アイテムの詳細は外部サイトを参照。
- 武器
- 普通の武器
- 威力が力に依存する武器、素早さに依存する武器がある。基本的に攻撃範囲は敵1体。力系武器には属性を持った物もある。
- 銃火器
- 一定の範囲のダメージを与えるが、敵の防御の値に影響を受ける。敵の反撃能力を無効化する。反撃武器により攻撃範囲は異なり、強力なものほど使用回数も少なくなる。弓矢から核爆弾まで幅広い。
- 魔法の本・杖
- 威力は魔力に依存。基本的に攻撃範囲は敵1グループ。属性を持っており、敵の弱点を突けば大きなダメージを与えられるが、得意な属性魔法ではダメージを与えられない。
- 格闘技
- パンチ、キック、地獄車など。威力は素早さに依存するが、使い続けて、残り使用回数が少なくなればなるほど威力が上がる。
- 防具
盾を除く防具は、装備している限り効果があるため、使用回数制限は無く、戦闘中に使用もできない。
- 鎧、兜、小手、靴
- 各種類1つずつ装備可能。但し、全身鎧扱いの防具は、盾以外の他の防具との同時装備不可。
- 盾
- 盾のみ武器と同様戦闘中に使用することが出来る。また、武器と同様使用回数がある。端的に言えば、武器と同じ扱いと考えてよい。使用したターンには敵から受ける物理ダメージが半減し、物理攻撃をかわしやすくなる。また、盾によってはバリアを張って特定の特殊攻撃を防ぐものもある。
- 道具
- HP回復アイテムと状態異常回復アイテムに分類できる。
-
- HP回復アイテム
- ポーションなどの定量回復アイテム及び「ケアルの書」などの魔法の本・杖に分類される、回復量が魔力に依存するものがある。装備することで戦闘中にも使用可能。
- 状態異常回復アイテム
- 毒やマヒ、死亡などの異常を回復する。
- 成長用アイテム
- 上述の通り、人間種族を成長させるためのアイテム。
- イベントアイテム
- ストーリーに関わるアイテム
- その他のアイテム
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 世界観
世界の中心に23階建ての塔がそびえ立ち、塔の頂上には楽園が広がっている。第1階層・第5階層・第10階層・第16階層には比較的大きめの世界が広がっているが、それらの世界では玄武・青龍・白虎・朱雀といった四天王が人間を苦しめている。第23階層では四天王を牛耳るアシュラが、楽園へ向かう人間の最後の砦として待ち構えている。この他にも、小世界が広がっている階もある。上の階に行けば行くほど退廃的なムードに包まれる(核シェルターや核爆弾など)。
主となる4つの階層の扉には封印が施されており、先に進むには対応するクリスタルが必要。
第1階層は「大陸世界」とよばれる。剣の王・鎧の王・盾の王の三者が英雄の像の剣・鎧・盾をそれぞれ持ち合い、この世界の覇権を賭けて争っている。戦争が続き、人心は荒れ果てている。大陸中心で、山や川もある、もっともオーソドックスな地形。この世界を出るには、黒のクリスタルが必要。
第5階層は「海洋世界」とよばれる。海の中に島が点在しており、浮き島を使わなければ移動できない。海底の竜宮城には四天王の一人・せいりゅうがいる。先に進むには、青のクリスタルが必要。
第10階層は「空中世界」とよばれる。雲の上に広がる世界で、グライダーを使わなければ移動できない。世界を牛耳るびゃっことレジスタンスが対立しているが、レジスタンスは壊滅寸前となっている。先に進むには、白のクリスタルが必要。
第16階層は「都市世界」とよばれる。朱雀によって壊滅させられた都市世界である。暴走族がすざくを倒すべく立ち上がっている。この世界の地名には、「アキバ」「シンジュク」など東京の地名が使われている。先に進むには、赤のクリスタルが必要。
[編集] 登場人物
[編集] 大陸世界
- 盾の王 英雄の像のアイテムの一つ「キングの盾」を所有。疑心暗鬼が激しく、城に来る者は誰であっても追い返す。大臣の謀反で殺される。
- 大臣 盾の王の大臣。王を殺しキングの盾を奪うが、主人公達によって倒される。なお、大臣の能力は、本作に登場する敵の中で最低である。
- 剣の王 英雄の像のアイテムの一つ「キングの剣」を所有。殺人鬼と噂され、城に来る者は皆殺しにしてしまう。主人公達に戦いを挑み倒される。
- 鎧の王 英雄の像のアイテムの一つ「キングの鎧」を所有。南の村の美人に求婚するが、盗賊に脅されている美人は応じない。そこで主人公達が盗賊を倒すと、礼にキングの鎧をくれる。その後美人と結婚した。
- 村一番の美人 南の村の美人。村の住民はスライムばかりであり、彼女もスライムである。鎧の王と結婚。後に子供を身ごもる。
- 盗賊 村一番の美人に求婚し、応じなければ村を焼き払うと脅した。正体はどくがえる。主人公達に倒される。
[編集] 海洋世界
- 竜王 かつて竜宮城に住み、この世界を支配していた。しかし、せいりゅうにその地位を追われ、地上で隠居している。なぞなぞを出題し、答の品を持って行けば重要な物をくれる。
[編集] 空中世界
- ジャンヌ レジスタンスのリーダー。双子の妹・ミレイユと共に白のクリスタルの鍵を握る。親衛隊に襲撃されたところを主人公達に助けられ、ミレイユの救出を依頼するが、ミレイユはびゃっこにさらわれた振りをして寝返っていた。しかし、用済みとしてびゃっこに殺されようとしたミレイユをかばって死んだ。
- ミレイユ ジャンヌの双子の妹。弱いレジスタンスに失望してびゃっこに寝返り、姉を売ろうとする。しかし、皮肉にもその姉によって命を救われることになる。『ライブ・ア・ライブ』のアリシア、『バハムートラグーン』のヨヨと並んで「スクウェア三大悪女」と称された。最近は、『ファイナルファンタジーVIII』のリノアが入り、ミレイユは外されることが多い。
[編集] 都市世界
- 総長 暴走族の総長。すざくのバリアを破壊するため「イレイサー99」を開発している。部品にプルトニウムが必要になり、原子力発電所に突入。殺人バリアを強引に打ち破って死に、「ゾクのハチマキ」を主人公達に託す。
- さやか 総長の妹。モンスターに襲われたところを主人公達に助けられる。その後、すざく達に襲撃され誘拐されてしまうが、主人公達に救出された。すざくが倒された後は、兄の後を継いで2代目総長となる。
- デスマシーン 原子力発電所で、プルトニウムを守るロボット。核爆弾まで使ってくる。ファイナルファンタジーⅠにも登場した。
[編集] 四天王
- げんぶ 大陸世界に存在。普段は姿を見せないが、英雄の像の武具を揃える者が現れるたび、彼を倒して行くという。しかし、最初だけあってそれほど手強くはない。
- せいりゅう 海底世界を支配。竜王を追い出して竜宮城に住んでいる。
- びゃっこ 空中世界を支配。レジスタンスのジャンヌ姉妹がクリスタルの鍵を握ると知り、主人公達を利用して手に入れようとするが…。
- すざく 都市世界を支配。ほとんどの攻撃を受け付けなくするバリアを張っており、中和するためには「イレイサー99」が必要。実はある武器で簡単に倒せるが、イレイサー99でバリアを消さないと、何度でも蘇る。
[編集] その他
- アシュラ 四天王を支配する親玉。
- シルクハットの男 方々で主人公達の行く手に現れ、アドバイスをしてくれるが…。
[編集] BGM
- プロローグ (電源を入れた直後。アレンジの違いはあるが、GB版サガシリーズ共通の曲)
- メインテーマ (第1階層・第5階層のフィールド)
- 街のテーマ (第1階層・第5階層・第10階層の町)
- 戦闘 (通常戦闘)
- Eat the meat (戦闘勝利時。アレンジの違いはあるが、GB版サガシリーズ共通の曲)
- 魔窟 (洞窟)
- Hurry up! (第10階層のフィールド)
- 激闘 (四天王戦およびアシュラ戦)
- レクイエム (ゲームオーバー時)
- 禁断の塔 (塔を昇っているとき)
- 涙を拭いて (悲しいシーン)
- 魔界塔士 (真の塔を昇っているとき)
- 最上階 (真の塔の頂上)
- 怒闘 (ラスボス戦)
- エピローグ (エンディングテーマ)
- SFC、PS等の次世代機に土俵が移ってもなおSaGaシリーズを通してファンの心を掴んで離さない名曲中の名曲「涙を拭いて」が産声を上げたのも、本作でのことである。
[編集] 備考
- 前期(初期出荷)バージョンでは、さまざまなバグ裏技が存在する。ゲーム開始からすぐに主人公を最強にしてしまう裏技もあれば、第1階層の洞窟から第5階層へ、第5階層の竜宮城から第10階層へワープするなど、ストーリーをカットできるようなものもある。
- 前期と後期のバージョンの見分け方は能力表示。ちから→前期・こうげき→後期。
- ラスボスが「チェーンソー」一撃で倒せるというのはあまりにも有名。同じスクウェアの半熟英雄シリーズにはこのことに由来してチェーンソーを手にしたエッグモンスターが登場する。また、ロマンシング サガ -ミンストレルソング-には、『かみをたおしたおの』という絵本が登場し、ストーリーはこの有名な攻略法のセルフパロディになっている。さらにこの絵本の話に登場する「あかいおの」はゲーム中でも武器として登場しており、固有技が斧がチェーンソーに姿形を変えるというエフェクトだった。
- ゲームクリエーターの田尻智は本作の成功を見て、「ゲームボーイでもアクションゲームじゃない分野を追求できるんだな」と気付き、『ポケットモンスター』の開発に乗り出したという(田尻智さん(ゲームフリーク)VS石原恒和さん(クリーチャーズ)対談 前編 b.ポケモンを作る前に)。
- ゲームボーイ版の販売本数はおよそ110万本と、ファミリーコンピュータのファイナルファンタジーシリーズより先にスクウェア初のミリオンセラーとなった。
- ラストバトル直前のラスボスと主人公の一連のやりとりは今もなお多くのファンを魅了しておりいたるところでパロディが作られている。
[編集] 主なスタッフ
[編集] 外部リンク
[編集] サガシリーズ
- ゲームボーイでの作品
- 魔界塔士 Sa・Ga
- Sa・Ga2 秘宝伝説
- 時空の覇者 Sa・Ga3
- スーパーファミコンでの作品
- ロマンシング サ・ガ(ワンダースワンに移植されている)
- ロマンシング サ・ガ2
- ロマンシング サ・ガ3
- プレイステーションでの作品
- プレイステーション2での作品