ファイナルファンタジーII
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ファイナルファンタジーII | |
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ジャンル | ロールプレイングゲーム |
対応機種 | ファミリーコンピュータ[FC]、ワンダースワン[WS]、プレイステーション[PS]、iアプリ、ゲームボーイアドバンス[GBA]、EZアプリ (BREW)[EZ]、S!アプリ[S!] |
開発元 | スクウェア(GBA版以降はスクウェア・エニックス) |
発売元 | スクウェア(GBA版以降はスクウェア・エニックス) |
人数 | 1人 |
メディア | FC:2Mbit+64KbitRAM搭載ロムカセット WS:ロムカセット PS:CD-ROM1枚 GBA:ロムカセット |
発売日 | FC:1988年12月17日 FC(I・II):1994年2月27日 WS:2001年5月3日 PS:2002年10月31日 GBA:2004年7月29日 i:2005年2月4日 EZ:2005年12月16日 S!:未発表 |
売上本数 | FC:76万本 |
『ファイナルファンタジーII』(-ツー、FINAL FANTASY II) は、1988年12月17日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたファミリーコンピュータ用ゲームソフト。販売本数約76万本。ファイナルファンタジーシリーズの第2作で、ジャンルはRPGに分類される。
目次 |
[編集] 解説
幻想画家でデザイナーの天野喜孝が世界のイメージ原画や登場モンスターのデザインなどを担当。ファミコン版だけでなく、他ハードへの移植・リメイクが幾度となく行われている。
本作は経験値・レベルの概念が存在せず、熟練度による成長システムであり、後に発売されたスーパーファミコンの『ロマンシングサ・ガ』の原型となった作品と言える。そのため、ゲーム的にはファイナルファンタジーシリーズとロマンシングサ・ガシリーズを足して2で割ったような感じになっている。この熟練度システムは後にロマンシングサ・ガシリーズで完全に完成されたものであるが、本作はその原型であるためか未開発の部分も多く、また、非効率的な攻略情報が広く知れ渡っていたためか、「FFシリーズ中でゲームバランスはシリーズ中最も悪く、最高難度の作品である」という意見もある。しかし、回避率、属性防御などに気を配って攻略すれば、適度な難易度のゲームである。
また、シリーズでお馴染みのチョコボ、シドが本作で初登場した。しかし、チョコボは世界の中で隠されたある一箇所の場所にしかいないため、攻略本などの情報源がないと会うのは不可能に近く、本作でのチョコボの存在感は他のFFシリーズに比べると非常に薄く、探してまでチョコボに乗るメリットもそれほど感じられない。シドは元フィンの白騎士団団長で、飛空艇の魅力にとりつかれた男として登場。また「クリスタル」は初期のFFの象徴だと思われている節もあるが、本作ではある塔を開く鍵であったり、主人公たちの能力を増大させる程度で非常に存在感が薄い(そもそも「世界に関わる存在としてのクリスタル」というイメージが固定化されたのはIII以降である)。
音楽で、シリーズでお馴染みの「ファイナルファンタジーのテーマ」(「プレリュード」)は電源を入れてすぐ流れるものの、ゲーム本編上ではどこにも流れない。今作品よりこの「プレリュード」の調性がハ長調に改められ、以後のシリーズに於いても単純な上昇音形16音と下降音形16音に変更された。第一作では8分音符分のディレイがかかっていたが、この作品では音符1個ごとに3/1024(3/32*1/32)づつ音価が加算されて32音で初めに戻る複雑なディレイがかかる。(但し、リメイク版では8分音符分)
シナリオは寺田憲史が手掛けたが、本作には寺田によって書かれた小説版『ファイナルファンタジーII 夢魔の迷宮』が存在する。当時のRPGとしては異例の複雑な事情による人間関係や命の尊さなど、色濃い人間ドラマが盛り込まれており、その後のシリーズにおけるストーリー性の重視の始まりとも言える。
なお、リメイク作品以降のタイトルロゴのバックに使われている人物は、物語のキーパーソンの一人・パラメキア皇帝である。
[編集] 製品バリエーション
- 1本のカードリッジにIとIIを収録したもの。ニューファミコンと同時期に発売。
- ワンダースワン版リメイク「ファイナルファンタジーII」(2001年5月3日)
- プレイステーション版リメイク「ファイナルファンタジーII」(2002年10月31日)
- ゲームボーイアドバンス版リメイク「ファイナルファンタジーI・IIアドバンス」(2004年7月29日) -- 1本のカードリッジにIとIIを収録したもの。
- NTTドコモ FOMA用 iアプリ「ファイナルファンタジーII」(2005年2月4日) -- P901i、P901iSにプリインストールされている。
- au EZアプリ (BREW)版リメイク「ファイナルファンタジーII」(2005年12月16日)
- SoftBank S!アプリ版リメイク「ファイナルファンタジーII」(配信開始日未発表)
ワンダースワン移植版以降はグラフィックが大幅に刷新されており、プレイステーション版・ゲームボーイアドバンス版では音楽も大幅にアレンジされている。
[編集] システム
[編集] キャラクター成長システム
本作のキャラクター成長システムは「経験値でレベルアップ」という概念が完全に撤廃されている。倒した敵から経験値を得て成長するのではなく、戦闘中にキャラクターが取った行動あるいはキャラクターが敵から受けた攻撃手段によって成長の方向性が決められていく、というものである。
これは発売当時、他のどのRPGにも見られなかった独特のシステムで、かつプレイヤー好みにキャラクターたちを成長させられる自由度の高さも売りとなっているが、本作のシステムそのものは以後のファイナルファンタジーシリーズには継承されていない。
ただ、そのうちの一つである「熟練度」システムは、大幅に形を変えているもののIIIのジョブシステムの中で継承されており、以後もVのジョブアビリティ、VIの魔石、VIIの魔法マテリアなど、経験値によるレベルアップ以外の成長システムとして各種習得システムに応用されている。
[編集] ステータスの成長
戦闘終了後、キャラクターがその戦闘中に取った行動に応じ、ステータスが時折上昇することがある。他のRPGにおける「経験値による画一的なレベルアップ」を能力値ごとに細分化したようなもので、これを積み重ねてキャラクターを成長させていくのである。ただし「上昇することがある」というだけで、必ずしも意図したとおりになるわけではない。
()内はそのステータスが戦闘後に上昇しやすくなる行動・要素を示している。一度の戦闘でそれぞれの行動を選んだ回数や幅が大きいほど上がりやすくなる。
- HPの最大値(戦闘開始時よりHPが減る)
- MPの最大値(戦闘開始時よりMPが減る)
- 体力=HP最大値増加時の上がり幅、魔法防御(戦闘開始時よりHPが減る)
- 魔力=MP最大値増加時の上がり幅、魔法防御(戦闘開始時よりMPが減る)
- 力(武器・素手で攻撃をする)
- 知性=黒魔法の威力・成功率の高さ(黒魔法に属する魔法を使う)
- 精神=白魔法の威力・成功率の高さ(白魔法に属する魔法を使う)
- 素早さ=回避確率の基本値(戦闘を繰り返す。回避確率が高いほど上がりやすい。「敵から攻撃対象にされる」は誤り)
- 回避回数=敵の攻撃を回避する判定回数(敵から攻撃対象にされる、攻撃を受ける必要はない)
- 回避確率=回避判定ごとの回避成功率、行動の早さ、逃走成功率、先制攻撃成功率。素早さや盾レベル(後述)、防具の重さで決まる。
- 魔法防御回数=実際は魔法回避の判定回数(敵から魔法・特殊攻撃による攻撃の対象にされる、攻撃を受ける必要はない)
- 魔法防御確率=魔法回避判定ごとに魔法や特殊攻撃を防いだり半減する確率。体力と魔力の平均値に防具の性能を足したもの。
回避率や魔法防御は、左側の数値が回数で、右側の数値が確率である。
特定のステータスを上げると、同時に相対する要素のステータスが下がるという事もある(知性が上がると体力が下がる、精神が上がると力が下がるなど)。なお、防御力を示すステータスもあるが、これに関しては完全に防具に依存で、どんなに成長させても何も身にまとっていない状態では0である。
また本作は「キャラクターがダメージを受ければ受けるほどHPが上昇する」というシステムのため、裏技として「自分や味方をわざと攻撃してHPを上げる」というものがあり、本作ではプレイヤーがわざと味方を攻撃するのは当たり前のようになっている。またこの裏技を簡単にはできないようにするためか、こちらの現在HPが高いと、弱い敵はすぐに逃げるようになっている。
ただし、この裏技を行いすぎると回避率が上がらず、ラストダンジョンで苦労することになる。しかもこれが当時の雑誌などに掲載され、定着してしまったことが難易度が高いと思われる一因となっている。今作は前作以上に「攻撃回数の概念」が重視されているシステム(厳密に言えば、前作はレベルアップ方式で勝手に上がるため、これが見落とされがちだった)であるため、回避率・回避回数の重視は攻略に必要不可欠な要素である。回避能力さえ高めればHPは初期値でもクリアは可能である。
また、知性が下がりすぎても序盤は全く問題がないが、通常攻撃が全く効かず魔法攻撃のみ有効な敵には苦しめられることになる。これもコア・ユーザー達は後述する魔法書装備で乗り切った。
[編集] 武器・盾・魔法の熟練度
武器攻撃や魔法攻撃、盾による敵からの攻撃回避などには「熟練度」というものが設定されている。攻撃面や防御面の威力・効果に大きく影響していくもので、熟練度が上がっていくごとに目に見えて分かるようになる。熟練度は戦闘中にその手段を実際に使っていくことで伸びていく。
()内はその熟練度を上げていく手段を示している。
- 武器系統各種の熟練度=攻撃回数(その系統に属する武器で攻撃をするとその武器系統の熟練度上昇)
- 盾の熟練度(盾を装備して戦うと熟練度上昇)
- 黒魔法各種の熟練度(その魔法を使うと熟練度上昇、魔法個々に設定されている)
- 白魔法各種の熟練度(その魔法を使うと熟練度上昇、魔法個々に設定されている)
- 回避率×回数(敵から攻撃を受けると熟練度上昇)
- 魔法防御×回数(敵から魔法・特殊攻撃を受けると熟練度上昇)
これら全ての熟練度は1~最大16まで成長する。
[編集] 防具の重さ
前作のファイナルファンタジーと同様、本作も「防具の重さ」というものが設定されており、これは前作以上に重要な要素となっている。
鎧・兜・小手など部位を重い防具で固めてしまうと「防御力」は上がるが「回避率」を犠牲にしてしまうシステムになっている。防御が高くても打撃の追加効果は防げず、回避率が下がると行動順も遅くなるので不利である。他にも、魔法を使用した時の効果を減少させてしまうなどの副作用も確認されており、このゲームにおいては重装備にはマイナス面の方が目立つ。装備に頼らず身を軽くし、その分キャラクター自身のステータスアップに努めていった方が効果的である。軽い上に魔法を阻害せず、付加効果をも持つ、胸当て・髪飾り・指輪などが有効な軽装品である。
なお、盾は例外的に重さ0という扱いで、魔法の効果は落ちるものの回避率を高めてくれる非常に有用な防具である。盾は武器と同じように熟練度が設定されており、使い込むごとに効果を増していく(前節を参照)。
[編集] 魔法
魔法は前作と同様、主に店で買うことによって手に入れる(一部イベントで入手する)システムであるが、本作では「ファイアのほん」などといったアイテムの形で魔法を入手し、それをキャラクターに対して使うことによってその魔法を覚えることができる方式である。また、本作では前述の熟練度システムの採用により、他のFF作品に見られるような「ケアルラ」、「ファイガ」といった"上位魔法"が存在せず、すべて「ケアル」「ファイア」などの基本形のみである。ちなみに、魔法の本を戦闘中にアイテムとして使用すると、その魔法をある程度高いレベルで発動できるが、使用した本は消えてしまう。
また、前作のような使用回数制限制とは異なり、ドラゴンクエストシリーズなどと同様、各魔法ごとに消費MPが設定されている方式となっている。消費MPの値は魔法の熟練度がそのまま適用される。つまり、魔法の熟練度が高くなると、効果は大きくなるが、代わりに消費MPも増大する。
[編集] ワードメモリーシステム
本作では登場人物たちとの会話の中でクローズアップされる重要な単語(台詞の中では【 】で囲まれて表示される)を「おぼえる」ことができる。そこで覚えた単語は、その相手ないしは他の登場人物にその件について「たずねる」こともできる。これによって登場人物たちの反応が変わりストーリーが別展開を見せることもあるため、単にメモ帳代わりに使うだけの機能にとどまらない重要なものとなっている。
また、このほか、目の前の人や物を調べた直後に、「アイテム」コマンドを使用してその人や物に対してアイテムを使用する機能も追加されている。
[編集] 乗り物
前作よりも登場する乗り物の種類が増えている。「船」「カヌー」「飛空船」(他のFF作品での「飛空艇」)のほか、本作では下記の2種が新たに登場した。
- 雪上船 - ワールドマップ上の雪原を移動するために必要な乗り物。
- チョコボ - 本作でシリーズ初登場のマスコットキャラクター。徒歩の2倍のスピードで陸上を移動できる。騎乗中はモンスターとのエンカウントが発生しない。本作ではカシュオーン城の南の森にのみ生息している。
また、「船」については前作では港か河口にしか上陸できなかったが、本作ではそのような停泊用の地形は廃止され、歩ける地形であればどこにでも上陸できるようになった。
飛空船は隠し要素として、搭乗中にBボタンを31回押す事により8倍速移動(FF3のノーチラス号と同じ速度)ができるようになる。以降はBボタンを押す毎に切り替えられる。
他に、物語の序盤では、所持金を払うことによって特定の場所まで自動で行くことができる交通機関として「定期船」「飛空船」が登場する。また、乗り物としての使用はできないが、帝国軍(敵)の巨大な飛空船である「大戦艦」も登場する。
[編集] その他
- ハードウェアのBG面とスプライトキャラクターの表示優先度を上手く利用した、シリーズ初の「壁をすり抜ける近道」がこの作品で登場。以後、謎解きや隠し要素においての定番となっている。
- 戦闘時の味方パーティのフォーメーションは、キャラクターごとに前列か後列かを選ぶシステムとなった。後列のキャラクターは弓矢以外の物理攻撃を敵に放つことができず、弓矢以外の敵の物理攻撃を受けることもない。ただし本作では、全員を後列に下げることができない。
- 前作では宿屋やテントなどで泊まることによってセーブするシステムであったが、本作からは、ワールドマップ上であれば、アイテムなどを使わずにどこでもセーブができるようになった。ただし町やダンジョンの中ではセーブすることができず、『IV』以降に見られるようなセーブポイントも存在しない。
[編集] リメイク版での追加要素
- これまで戦ってきた敵モンスターたちのグラフィックや戦闘BGMが鑑賞できる。
- プレイステーション版では、天野喜孝の手によるイメージ原画などが楽しめるギャラリーモードが追加。
- 隠し要素として、神経衰弱のミニゲームが追加。
- アルテマの威力が装備品や他の魔法の熟練度も+αとして影響するようになった。
- ゲームボーイアドバンス版では、オリジナルの作中で死亡してしまうキャラクターたち(ミンウ、スコット、ヨーゼフ、リチャード)を主役にしたパラレルストーリー「Soul of Re-Birth(ソウル・オブ・リバース)」をプレイすることができる。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 主な登場キャラクター
[編集] 反乱軍サイド
[編集] プレイヤーキャラクター
以下のうち、フリオニール、マリア、ガイ、レオンハルトの4人は、プレイヤーが自由に名前を設定することができる(ファミリーコンピュータ版のものではそれぞれのキャラクターの名前が決まっていない)。パーティの枠は4人。そのうちレオンハルト以外の3人は、物語の最初から最後までパーティに参加する。残り1人の枠に入るキャラクターはストーリーの進行状況によって変化する。
ゲームボーイアドバンス版の追加シナリオ「Soul of Re-Birth(ソウル・オブ・リバース)」では以下のうち、ミンウ、ヨーゼフ、リチャード、スコットの4人がパーティを組む。
- フリオニール(Frioniel)
- 主人公。フィン王国の若者で、レオンハルトとマリアの生家で育つ。国がパラメキア帝国に襲撃された際に義理の両親を殺され、自身も殺されかける。その後流れ着いた先で息を吹き返し、マリア、ガイと共に反乱軍に身を投じる決意をする。
- マリア(Maria)
- レオンハルトの実の妹で、フリオニールとは義理の兄妹。行方不明の兄を気にかけながらも気丈に振る舞う、健気な少女。
- エンディングでは、フリオニールをめぐってレイラとの恋の戦いが始まりそうになっている。
- ガイ(Guy)
- フリオニールたちと行動を共にする若者。大柄で怪力の持ち主でありながらとても寡黙。動物の言葉を理解することができる。
- レオンハルト(Leonhart)
- マリアの実の兄。フリオニールたちと行動を共にしていたが、帝国からの追っ手に襲撃された際に行方不明に。その時の影響か力が正義という考えを持つようになり、帝国のダークナイトになる。しかしマリアの悲痛な呼びかけによって最終的に味方となる。
- ミンウ(Ming-Wu)
- ヒルダの右腕で偉大な白魔導師。反乱軍の指導者として行動する一方、単独での危険な任務にも参加する頼れる存在。
- ヨーゼフ(Josef)
- 反乱軍の戦士。「ミスリル」という金属を調査するためサラマンドに派遣されている。ネリーという娘がいる。
- ゴードン(Gordon)
- カシュオーン王国第二王子。祖国が襲われた際に兄を見捨てて逃げてしまったことから、臆病者な自身に苦悩している。
- レイラ(Reila)
- 海賊船の女船長。フリオニール達から略奪を謀ろうとするが失敗。改心してからは反乱軍の一員として共に戦う。
- リチャード・ハイウインド(Richard Highwind)
- 帝国に壊滅させられたディスト王国最後の竜騎士。国亡きあと行方不明になる。竜騎士は飛竜の言語が理解できると言われている。なおファミリーネームの「ハイウインド」は以降のFFシリーズでも散見されるもので、主に竜騎士やその能力を継承したキャラクターに付けられている。
- スコット(Scott)
- 帝国との戦争で死んだと伝えられているカシュオーン王国第一王子。ヒルダを愛していた。リメイク版の追加シナリオ「Soul of Re-Birth(ソウル・オブ・リバース)」でのみプレイヤーキャラクターとして登場する。
[編集] その他
- ヒルダ(Hilda)
- フィン王国の王女で、重傷の王の代わりに反乱軍の指揮を執る。王国亡き現在、アルテアの町の一角に身を寄せている。
- ポール(Paul)
- 自称世界一の盗賊。帝国側からしか盗みをはたらかない義賊であり、所々で反乱軍に協力する。
- シド(Cid)
- 「飛空船」の魅力に取りつかれた男。元はフィン王国の飛空船技師で白騎士団隊長でもあった。
[編集] 帝国軍サイド
- パラメキア皇帝(Palamecian Emperor)
- 軍隊と魔物を使役し世界征服を目論む、パラメキア帝国の皇帝。凄まじい魔力の持ち主であると言われている。小説版にてマティウスと言う名がつけられている。彼の散り際の断末魔「ウボァー」はマニアの間では最高の出来とされ、ウボァー同盟というファンが集まるサイトがある。なお、リメイク版の追加ダンジョンでは「善」の皇帝と戦うことが出来るが、やはりその断末魔は「ウボァー」であった。FFXIIにおいて召還獣として登場するも、「断末魔と共に・・・」とわざわざ解説で触れられている。
- ボーゲン(Borgen)
- 元はカシュオーン王国の伯爵だった者。裏切って帝国側に寝返るが、無能な存在のため酷評が絶えない。死んでもなおゾンビ化して襲いかかってくる。なお、リメイク版の追加ダンジョンでは、ゾンビになりつつもヨーゼフに襲いかかる執念深さを見られる。
- ダークナイト(Dark Knight)
- 皇帝の右腕と言われる切れ者。常に黒い兜と甲冑に身を包んでおり、素性は謎に包まれている。
[編集] 登場する地名と世界背景
- アルテア(Altair)…フィン王国の民が逃げ移り身を寄せている町。ヒルダを中心とした反乱軍の本拠地で、任務の起点となる場所。
- ガテア(Gatrea)…フィン王国南の湖のほとりにたたずむ、森に囲まれた小さな村。
- フィン王国(Kingdom of Fynn)…パラメキアと並ぶ軍事国家。かつて美しい町と称されていたが、今は帝国軍に占領され荒んだ町と化している。
- パルム(Paloom)…アルテアの東にある港町。ポフトとの連絡船が通っている。
- ポフト(Poft)…運搬業が盛んで、パルムと交易関係にある港町。この町でシドは「飛空船」屋を営んでいる。
- サラマンド(Salamand)…雪原に面した世界最北の町。帝国の占領下となっており、住民たちは「ミスリル」の採掘に駆り出されている。
- バフスク(Bafsk)…帝国の占領下に置かれ、「大戦艦」の製造が進められている町。
- カシュオーン王国…フィン王国と友好関係にあった国家。帝国により壊滅させられ、城は廃墟と化している。
- ディスト(Deist)…飛竜と竜騎士の国。その力を恐れた帝国にいち早く攻撃を仕掛けられ、飛竜も竜騎士も絶滅させられる。
- ミシディア(Mysidia)…魔導士たちが自分たちの力を国家間の争いに利用されることを恐れ、移り住んだと言われる町。
- パラメキア帝国(Empire of Palamecia)…世界最大の軍事力を誇る国家。世界を手中に収めるため、全世界に総攻撃を仕掛けている。
- マハノン…「ソウル・オブ・リバース」にて登場する謎の町。オリジナルには登場しない。
[編集] ストーリー
パラメキア帝国が地獄の底から魔物たちを呼びよせ、全世界に総攻撃を仕掛けた。多くの町が占領される中、フィン王国が反旗を翻しこれに抗戦するが、圧倒的な軍事力と魔物たちの前に敗退を重ね、ついには国を追われてしまった。フィン王国に住むフリオニール・マリア・ガイ・レオンハルトの4人の若者たちも、帝国の魔の手から逃れようと必死に逃走を続けていた・・・。
[編集] バグ
ファミコン版では次のようなバグ技が存在し、ゲームをクリアするための近道としてこれらの現象が利用されることもあった。
- 熟練度は戦闘中に「たたかう」や各種魔法のコマンドを選んだ回数をカウントするが、なんと選んだコマンドをキャンセルして前のキャラクターに戻ってもカウントが消えないと言うバグが存在した。そのため、「たたかう」→キャンセル→「たたかう」とひたすら繰り返してから戦闘を終わらせると、たった1回の戦闘で100回分以上のカウントを溜めて熟練度を一気に上げてしまうことが可能だった。ただし、ミンウやレオンハルト等の最後尾に来るキャラクターは、コマンドを決定した時点でターンが始まってしまうキャンセルが出来ないので、これで熟練度を稼ぐ事は出来ない。本作では中盤~終盤になって初めて手に入る魔法などもたくさんある割に、それらもきっちり熟練度0の状態からスタートする。熟練度0の武器や魔法が通用するのは本当に最序盤のみであり、殆どは「熟練度稼ぎ」の戦闘を長いこと行わなければ実践投入が不可能である。そのためこの技を使って熟練度を稼ぐ事が広まったが、序盤からこの技を使って行くと、熟練度の上がりに対して戦闘回数が少なくなるため、力や魔力、MPなどのステータスが追いついていかなくなる恐れがある。GBA版ではこの点は改善され、ターンが始まってキャラクターが実際にその行動を取って初めてカウントがされるようになった。
- 「ファイアのほんなどの魔法書を武器として装備し攻撃すると、驚くほどのダメージを与えることができる」というバグが存在する。熟練度をあげずにクリアを目指す場合には有効な手段と言えるが、あくまでバグなので、フリーズやセーブデータの損失の可能性もある。
- ダメージを与えた際に自分のHPを回復する「ブラッドソード」は相手の最大HPに対する割合でダメージ量が決まると言う特殊なシステムになっていたため、(きちんと攻撃が当たるならば)相手がゴブリンでもラスボスでも同じ攻撃回数で倒せてしまう。もっとも、敵の中にも同様の特殊攻撃を行ってくるものがおり、同様に大ダメージを食らうため、厳密に言うとバグではなくバランスの崩れた仕様に近い。
- 敵に黒魔法を防ぐと言う効果を持つ白魔法「ウォール」をかけ、その後「一撃死系黒魔法」(デス、デジョン、ブレイク等)をかけて「ウォールでの防御に成功」すると、何故か相手に即死の効果があらわれた。これを利用すると、ラスボスを「石化」させるなど通常ありえない効果も可能であった。
- チェンジの魔法を活用し、ライフ、MPが低い敵と自分を入れえることで「大ダメージ(大量使用)」という判定を受け、簡単にHP・MPを上昇させることが出来た。チェンジは序盤では難敵であった「キャプテン」を倒すのにも活用され、それが落とす、序盤では高価な魔術本、アイテムなどを売り豊富な資金を得ることが出来た。この資金を持って「数歩歩いてセーブ、敵遭遇でリセット」の方法で南へ行き、序盤から「アイスブランド」「ホーリー」など強力な装備を購入しゲームをすることができた。
[編集] 豆知識
- ファミコン版のオープニングデモのテキストにて、「てったいしなければ ならなかった」が「てったいしなければ ならかった」と、「な」が抜けているが、リメイク版では、きちんと修正されている。これはFFシリーズにおいて有名な誤植であり、当時はネタにされていたそうである。なお、携帯版では「撤退を よぎなくされた」に変更されている。余談だが、FF2は電源投入時にタイトル表示の時間が非常に長く、その後ストーリが表示される為、ほとんどのプレイヤーは2度目以降は電源投入後リセットしてロード画面に進んでしまう為、あまり見られることのなかったデモであったといえる(一作目やIIIは電源投入後すぐにストーリーが表示された)。
- 物語上必ず手に入る究極魔法「アルテマ」は、FFシリーズでは『FFVI』以降、その名に相応しい強力な攻撃魔法として登場しているが、本作では究極魔法であるにも関わらず、いくら熟練度を上げても威力が上がらず、演出も画面が緑色に点滅するだけという、究極魔法のわりに威力・演出ともに非常に寒い「役立たず魔法」として有名で、今日でも語り草になっている。このため、アルテマの封印を解くために長い旅をし命までも落としたミンウは「無駄死に」の代名詞とまで言われた。実際の能力は「どんなに低ステータス、低レベルでもどんなモンスター相手にでも100程度のダメージが出せる」というもの。味方の攻撃力が極端に低く、防御力の極端に高い敵(ラスボスなど)相手には相対的になんとかつかえる程度。実際にはフレアーやホーリーのLvが上がっていればこれよりはるかに高いダメージをたたき出す。(初期段階で手に入るファイア等でも高Lvになればアルテマをはるかに凌ぐ効果になる)リメイク版では仕様が修正され、この魔法は他の武器の熟練度、魔法のレベルによっては威力が跳ね上がるといわれており、全ての魔法、武器をレベル16にした状態で使うと、9999を超えるダメージを与えることもある。
- データセーブ可能な地上からラストボス戦までの途中の道のりの長さがユーザーたちからの批判の的となっていたが、可能な限り逃げるなどして無駄に戦闘をしない、近道を使うなどの工夫をすれば比較的簡単にラストボス戦の場所まで辿り着け、実際には30分程度で終えられる(しかし、コレは理論上は可能なだけであって本当に30分程度でクリアしたプレイヤーは少ない)。
- 本作の発売当時、ある週刊少年漫画雑誌の巻頭レビューコーナーで極端に低い評価をつけられたことがある。これは世間一般の本作に対する印象にかなり影響を与えたと思われ、業界でもかなり問題視された。のちに、レビューの担当者の一部がドラゴンクエストシリーズの開発関係者であり、個人的価値観によってそのような評価を下したものであったという事が当時の関係者の一人によって暴露された。ただ、既にファイナルファンタジーはブランドとして確立されており、さほど大きな問題とはならなかった。
- 音域が5オクターブ使えることにより、楽曲の質が飛躍的に向上した。名作「反乱軍のテーマ」も対位法の誤りがあるにもかかわらず、ファンからの支持が高い。(リメイク版では同時発音数と音源数増加の為に、コード進行が一部異なる。)この音域の拡張によって一番印象に残るのは「勝利のファンファーレ」であり、4オクターブも駆け上がるアルペジョが斬新である。(リメイク版ではこのアルペジョの同時発音数が増えた。)また、サウンドトラックにヨハン・シュトラウス二世の「皇帝円舞曲」やチャイコフスキーの「白鳥の湖」がそのまま使われているものも存在する。既成クラシック名曲の引用は、後のシリーズでは既存様式模倣へ姿を変える。
[編集] 制作スタッフ
- プログラマー:ナーシャ・ジベリ
- シナリオ:寺田憲史
- キャラクターデザイン:天野喜孝
- ディレクター:坂口博信
- ゲームデザイン:田中弘道、河津秋敏、石井浩一
- プログラマー:樋口勝久
- グラフィック:渋谷員子
- サウンド:植松伸夫
- プロデューサー:宮本雅史