高尾山薬王院有喜寺
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高尾山薬王院有喜寺(たかおさんやくおういんゆうきじ)は、東京都八王子市の高尾山にある寺院で、関東に3つある真言宗智山派大本山のひとつ。なお、あと2つは金剛山金乗院平間寺(神奈川県川崎市)、成田山新勝寺(千葉県成田市)である。 一般には単に「高尾山」とか「高尾山薬王院」と呼ばれることが多い。
天平十六年(744年)に聖武天皇の勅命により東国鎮護の祈願寺として、行基菩薩により開山されたと伝えられている。その際、本尊として薬師如来が安置されたことから薬王院を称する。
永和年間(1375年 - 1379年)に京都の醍醐寺から俊源大徳が入り、飯縄権現を守護神として奉ったことから、飯縄信仰の霊山であるとともに修験道の道場として繁栄することとなる。
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[編集] 諸堂
[編集] 大本堂
- 開山本尊:薬師如来
- 中興本尊:飯縄権現
有喜寺の中心となる本堂で、薬師如来と飯縄権現を祀る。現在の堂宇は1901年(明治34年)に建立されたものである。彩色は施されていないが、彫刻で装飾されている。入母屋造である。堂内には護摩壇がある。
[編集] 本社(権現堂)
- 本尊:飯縄権現
有喜寺の中心となる本社で、飯縄権現を祀る社殿(神社)である。現在の社殿は1729年(享保14年)に本殿が建立され、1753年(宝暦3年)に幣殿と拝殿が建立された。のち1805年(文化2年)・1965年(昭和40年)・1998年(平成10年)に大改修を行なっている。江戸時代後期の代表的な神社建築で1952年(昭和27年)に東京都指定建造物に指定されている。入母屋造の本殿と拝殿を幣殿で繋いだ権現造である。社殿全体に華麗で極彩色の装飾がなされていることが特徴である。社殿前方には鳥居があり、神社であることが分かる。寺院の中にある神社という形態は神仏分離以前の神社の姿の一つの典型例といえるだろう。
[編集] 山上の諸堂
- 神変堂
- 八大竜王堂
- 本尊:八大竜王
- 1993年(平成5年)11月に建立される。手水舎のようになっており、ここで硬貨を洗うとよいとしている。
- 倶利伽羅堂
- 本尊:倶利伽羅竜王
- 1997年(平成9年)に建立される。
- 修行大師堂
- 本尊:弘法大師
- 弁天洞
- 本尊:弁才天
- 本坊のそばの洞窟内に弁才天が祀られている。古くから祀られていたが、いつのまにか荒廃していたため、1926年(昭和1年)12月に再興された。
- 愛染堂
- 本尊:愛染明王
- 1994年(平成6年)12月に建立される。様式は宝形造唐破風付である。
- 聖天堂
- 本尊:聖天
- 1997年(平成9年)9月に建立される。様式は宝形造である。
- 大師堂
- 本尊:弘法大師
- 江戸時代中期の建立で、1978年(昭和53年)に東京都指定建造物に指定されている。四方3間で宝形造向拝付の銅版葺である。『新編武蔵風土記稿』には大日堂と記され位置も違っている。
- 天狗社
- 福徳稲荷
- 本尊:稲荷神
- 一間社流造唐破風付の社殿で、極彩色の装飾がなされている。
- 奥の院 不動堂
- 柴燈護摩道場
- 仏舎利奉安塔
- 浅間社
- 本尊:浅間大菩薩
- 社殿は一間社流造唐破風付である。
[編集] 山麓の諸堂
- 不動院
- 交通安全祈祷殿
- 飯縄権現遥拝所
- 社殿は一間社流造唐破風付である。
[編集] 山中の諸堂
- 金毘羅社
- 本尊:金毘羅大権現
- 社殿は一間社流造である。