阪堺電気軌道251形電車

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阪堺電気軌道251形電車またはモ251形電車（も251がたでんしゃ）は、阪堺電気軌道が保有していた路面電車。

1978年～1979年にかけて、京都市電廃止に伴って廃車となった1800形（800形をワンマン化改造したもの）6両を譲受した車両である。

[編集] 譲受前

新番号と旧番号の対応は251～256が順に1844・1866～1870で、更に800形としての旧番号はそれぞれ844・866～870となる。

製造は251が1950年近畿車輌製、それ以外は1953年愛知富士産業製である。

[編集] 譲受後

阪堺電気軌道が本形式を譲受した理由は、13m級車体を備えていてサイズが手頃、しかもワンマン化工事が施工済みであったことによる。

それゆえ、木造車の鋼体化車であり、構造上の問題からワンマン化改造工事に多大なコストが必要とみられたモ205形の置き換えを目的として、旧車番から極力経年が若く45kW級主電動機を当初から搭載していた1866～1870を中心に、KS-40J台車を履いたグループが譲受された。

譲受後、集電装置をビューゲルから菱形パンタグラフへ交換、前照灯を前面上部の旧ワンマンカー表示部へ移設してシールドビーム1灯化、加えて旧前照灯取付位置に尾灯を移設したため、京都時代とはやや異なった印象の前面形状となった。また、室内灯の白熱灯から蛍光灯への交換も併せて実施されており、塗装を当時の阪堺電軌の標準色であった濃緑色に変更の上でモ251形251～256として竣工した。

もっとも、元々専用軌道上で高速運転を実施し、鉄道線向け車輌並の強度を持つ強固な構造の車両を製作し使用してきた阪堺電軌においては、戦前の京都市電の代表車である600形の基本設計を継承する、華奢な軽量車体を持つ本形式は脆弱であると評され、特に高速運転を行う際に車体の剛性が不足することが指摘された。このため、本形式は譲受の目的であったモ205形の代替には適さないと判断され、速度を出さずに済む朝のラッシュ時に限定運用されるという当初計画とは異なった使用形態となってしまった。このため、思惑が外れた阪堺電軌は平野線廃止後、廃車が予定されていたモ205形の一部について延命措置をとり、扉移設を含む大改造を実施の上でワンマン化に踏み切る羽目に陥ってしまっている。

以上のような事情から、本形式は車両の絶対数が不足する正月三が日の初詣輸送時に使用されていた以外はほとんどの期間、車庫での休車状態が続き、モ701形などの増備により、1995年までに全車廃車された。

現在は車籍こそ抹消されたものの、現役時代の最晩年に京都市電塗装に戻されていたモ256号（旧1870号）がイベント用として同社の我孫子道車庫に動態保存の形で留置されており、イベント等の際に公開されている。

また、モ255（旧1869）については廃車後アメリカ合衆国アリゾナ州のツーソンにあるオールド・プエブロ・トロリーに譲渡され、ここで新造時（京都市電869）の状態にほぼ復元の上で動態保存されている。

なお、これら2両以外についても廃車後長く我孫子道車庫に残存していたが、2000年9月に全車解体処分とされている。