退位
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
退位(たいい)とは、天皇や国王といった世襲の君主がその地位を退く事。また、革命などによって君主制が廃止されない限りは、自動的に継承者に譲り渡す事になる。退位に伴う君主の地位の変動を「譲位(じょうい)」・「遜位(そんい)」という。
[編集] 日本
日本では皇極天皇が弟の孝徳天皇に皇位を譲った例を最古とし、89例(※)の退位が存在する(なお、後小松天皇は南北朝合一によって2度譲位を受けている)。
※…北朝3例を含む一方で事実上の廃位である淳仁・仲恭、北朝の光厳・崇光の4例は省く。
平安時代以後の慣例として、退位する天皇が譲位の宣命を宣布する儀式とその後に行われる継承者(新帝)への剣璽を引き渡す儀式(剣璽渡御の儀)の2つを中心として儀式体系が組まれてきた。
明治時代に制定された皇室典範において皇位継承は天皇の崩御(死亡)を前提としているため、現行法では生前退位は出来ないと解釈されている(第二次世界大戦後に昭和天皇が退位を検討したとも言われているが、内外の反対で立ち消えとなった)。
これについて、先例の存在や天皇の自由意思を尊重するべきであることを理由として生前の退位を容認すべきとの意見もあるが、退位後の天皇の処遇(財政的、政治的位置付けの問題。特に後者は院政の問題)や皇位継承の複雑化及び後継者の不足による皇統断絶の可能性などの点から反対の意見が強い。