崩御
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崩御(ほうぎょ)は、天皇、皇帝、国王、太皇太后、皇太后、皇后、その他君主等の死去を婉曲的に、かつ敬意を込めて指す語。死因については特に問わない。
元々は中国起源の語であり、『礼記』曲礼篇に「天子の死は崩と曰ひ、諸侯は薨と曰ひ、大夫は卒と曰ひ、士は不禄と曰ひ、庶人は死と曰ふ」とある。新聞記事等では海外の国王などの死去にも使うことがある。
またお隠れになるとも表現する。この表現が日本の皇室について用いられる理由としては、日本神話において天皇は神の末裔であり、一般の人間とはかけ離れた存在という思想背景があったためと解釈する説がある。天皇が太陽神の子孫であるという思想、すなわち「天皇の死去=天皇が(雲に)隠れる」から来ているともされる。「雲隠れ」についても、現在では単に姿をくらますという意味合いで用いられるが、もともとはこれに由来する語である。
天皇に次ぐ者、例えば皇太子、皇太子妃、親王、内親王などの皇族や、位階が三位以上の者の死は、薨去(こうきょ)の語を用いる。天皇の崩御に際しては、国の行事として「大喪の礼」が行われる。
律令制下においては貴人の死を指して崩御の他、皇太子や大臣などの死を意味する薨御、親王や三位以上の死を意味する薨去、王や女王、四位・五位以上の死を意味する卒去などの尊敬語が用いられた。その他、主な死の尊敬語としては逝去などがある。