軍人将棋
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軍人将棋
駒を盤上の自分の陣地に好きなように並べ、交互に駒を動かしていく。駒には強弱があり、駒の種類を対戦相手に明かさないことが特徴、裏返して配置する。このため、両陣の駒の種類を知ることの出来る審判役をおき、同じ升目で駒がぶつかった場合の勝ち負けを決める。ゲームは、敵の司令部を占領するか、相手を全滅させた方が勝ち。
駒は、スパイから大将までの各階級の軍人、および戦車・飛行機・地雷などがあり、種類によって勝てる相手が決まっている。基本的には位が上の軍人の方が強いが、地雷には飛行機と工兵しか勝てないなど細かい規則があり、軍人将棋のセットには、このルールを一覧表にしたものが付属している。審判役は、この一覧表を見ながら勝ち負けを判定する。
審判役を必要としない、勝敗判定機を備え付けたものが一時期市販された。また、ファミコン用のソフトやWindows用ソフト、最近ではNintendoDS用のソフトなどのコンピュータゲームも存在する。
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[編集] ゲームの目的
一般的には敵の総司令部マスを大将、中将、少将、大佐、中佐、少佐のいずれかの駒で占拠する(駒を総司令部マスに置く)か、動かせる駒を全滅させることが目的である。
[編集] 形態
軍人将棋は駒、盤からなり、三人で遊ぶ。これは実際に勝負する人二人、審判一人という内訳であるが、審判を用いずに駒を当てた際にひっくり返して勝負する場合もある。
- 駒は先攻、後攻の駒が識別できるように赤(オレンジ)と黄色とに色分けされている。駒の形状は一般の将棋と同じ変形五角形。しかし種類別に大きさの違いはなく、全て同じ大きさである。以前はその多くが木製であったが、現在販売されているものの大半はプラスチック製である。
- 盤は以下に表す駒の種類によって、また突入口の種類によって数多くの種類がある。共通して言えるのは自陣と敵陣が分かれており、その間を行き来するためには突入口を通らなければならない。それぞれの陣地には総司令部(種類によっては総司令部と大本営)がある。
[編集] 種類
軍人将棋には数多くの種類があるが、突入口のバリエーションの組み合わせ。また、大軍人将棋と言う普通よりも駒数の多い物も存在する。
[編集] 駒数の種類
種類 | 数 | 種類 | 数 | 種類 | 数 | 種類 | 数 |
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大将 | 1 | 大佐 | 2 | 大尉 | 2 | 工兵 | 3 |
中将 | 1 | 中佐 | 2 | 中尉 | 2 | 地雷 | 3 |
少将 | 2 | 少佐 | 2 | 少尉 | 2 | 飛行機 | 2 |
軍旗 | 1 | 騎兵 | 2 | タンク | 2 | スパイ | 1 |
盤は変形8×8を使う。
種類 | 数 | 種類 | 数 | 種類 | 数 | 種類 | 数 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
大将 | 1 | 大佐 | 1 | 大尉 | 2 | 工兵 | 2 |
中将 | 1 | 中佐 | 1 | 中尉 | 2 | 地雷 | 2 |
少将 | 1 | 少佐 | 1 | 少尉 | 2 | 飛行機 | 2 |
軍旗 | 1 | 騎兵 | 1 | タンク | 2 | スパイ | 1 |
短時間で終わらせることが出来、盤は変形8×6を使う。
以上がもっともポピュラーなものであるが、それ以外に原爆、ジェット機が入る50枚型、尉官などを省く15枚型などがある。
[編集] 突入口の種類
- 突入口が自陣に四つあるX型
- 突入口が自陣に三つあるY型
- 突入口が自陣に二つあるI型
- またそれぞれに浮島(X型、Y型の、道が交わるところにあるマス)のあるなし
以上六種類がある。
[編集] 駒の配置
このゲームの要となるのが駒の配置である。一般の将棋のようにスタート時の隊形が決まっているのではなく、自分の陣地内であれば、以下の禁止事項を除き、好きな位置に好きな駒を置くことが出来る。
- 突入口に地雷を置く
- 自陣最後尾列に軍旗を置く
- 総司令部に地雷を置く(特に明記されない事が多いので禁止されない場合もある)
[編集] 駒の動かし方
-
- 将官、佐官、尉官、スパイ
- 前後左右1ますずつ。将棋で言う王将から斜め動きを取った形
- タンク、騎兵
- 上に紹介した駒の動きと、前に2ます進む事もできる。途中に駒があった場合は飛び越えて2ます進めない。
- 飛行機
- 前後好きなところまで。左右は1ます。この駒のみ、駒を飛び越えられ、突入口を無視して敵陣に攻め込むことが出来る。
- 工兵
- 前後左右好きなところまで。将棋で言う飛車の動き。しかし突入口からでないと敵陣に攻め込めない。途中に駒があった場合は飛び越えて進めない。
- 軍旗、地雷
- 軍旗と地雷は遊戯が始まったら動かすことができない。
[編集] 駒の勝負け
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- 基本駒
- 大将>中将>少将>大佐>中佐>少佐>大尉>中尉>少尉>
- の順に強い。例えば戦う駒が大将と中佐だったら大将が勝つ
- 特殊駒
- 飛行機は将官以外には全て勝つ。将官には負ける
- タンクは将官、飛行機、地雷以外には全て勝つ
- 地雷は飛行機と工兵に負け、その他の駒に勝つ。
- 工兵は地雷とスパイだけに勝つ
- 騎兵はスパイと工兵だけに勝つ
- スパイは大将だけに勝つ。
- 軍旗は後ろの駒と同じ威力を発揮する。たとえば軍旗対タンク、軍旗の後ろが少将だった場合、軍旗が勝つ。
同じ駒の対決(大将対大将、飛行機対飛行機など)は相打ちとみなしてどちらも盤上から撤去する。撤去した駒は再び使うことが出来ず、また撤去した駒は、自分の駒しか見ることが出来ない。地雷が勝った場合、爆発したとみなし撤去されるのが一般的である。
[編集] 勝負
駒を動かしていき、相手の駒がある場所に自分の駒を進める場合、一般の将棋では駒の種類にかかわらず、新しくそのマスに駒を動かした方が、前からいた相手の駒を取ることが出来る。しかし軍人将棋では、新しく動かした駒と前からいた相手の駒とを、いちど審判に見てもらって審判は上記の勝ち負けに基いて駒の勝敗を判断する。プレイヤー二人は自分の負けた駒、または勝った駒によって相手の駒を推理して行く。
推理の一方法として、「大将」は「中将」より強い事を利用する。動いた駒の大部分は「中将」か「それ以下の位の駒」と見なし、「中将」を積極的に動いた駒にぶつける。勝てばそれでよし、負けたのならそれは「大将」であり、中将同士ならば相打ちとなる。 負けた場合の駒は絶対に「大将」であるから、その駒をよく覚えておき「スパイ」をぶつけ首尾良く敵の「大将」を排除できたのならかなり有利に展開できる。後は敵「スパイ」を排除できれば、味方「大将」の独擅場となる。
「中将」と「スパイ」をペアとして使い、敵「大将」を排除するやり方は基本であるが、常に「中将」の近くに「スパイ」を置いておくと相手に読まれやすく「スパイ」が敵「飛行機」「タンク」の好餌になるため、常道は危険である。
上級者は、「中将」を「大将」に、「少将」を「中将」に、「ヒコーキ」を「少将」のように1ランク上であるが如く動かし欺瞞を行う。この欺瞞が成功している間、敵の駒数を減少させ「動く駒/動かない」駒がはっきりしてくると、勝負が決まることが多い。 即ち、「地雷」を不用意に踏むと著しく不利になるため、多数の動かない駒を持っており「地雷」とその他の駒が解らない状態を維持していくことが鍵となる。
[編集] ローカルルール
軍人将棋には数々のローカルルールがある
- 地雷が勝った場合撤去しない
- 軍旗も動くことが出来る
- 工兵でタンクに勝つことが出来る
- 騎兵の強さを地雷と同じにする
- 飛行機は横に動けない
- 飛行機は横にも好きなだけ動ける
- 飛行機は好きな場所に移動できる
- 突入口の前のマス目には軍旗と地雷は置けない
[編集] ラタックとの違い
ラタックでは、審判を必要とせず、コマと敵のコマとがぶつかった時に両コマを表にして勝敗を決め、以後それらのコマは表を向いたままにするのが、軍人将棋とは異なるのである。