碧海郡
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碧海郡(あおみのこおり)は三河国の郡。大宝年間以前は、青見(あおみ)と表記。 主として、愛知県東部、三河地方の矢作川の西部に当たる。現在の碧南市、刈谷市、安城市、高浜市、知立市の全域、及び豊田市の南部、岡崎市の南部(六ツ美)および西部(矢作)、西尾市の一部に該当する。「和名抄」によれば、碧海郡は15の郷を有した。
青見(あおみ)→碧海(あおみ)と表記が変遷。青見の由来は、古代木簡によると青見評(あおみのこおり)にあった 青見里(あおみのサト)より、命名の由来は不明。青見里は、現在の安城市付近にあった里の名前。
その他古代木簡には、知利布(ちりふ)または知立、現在の知立市。 鳥取(ととり)、東海道の駅家(うまや)。鷲取郷。いずれも、現在の安城市柿崎和志取付近。 櫻井(さくらい、桜井)、現在の安城市桜井付近。 他にも、采女、長谷部などの郷(里、サト)がある。
律令制当時は、矢作川は現在の川筋(江戸時代初頭に開削)ではなく、矢作古川が本流であったため、 西尾と安城は陸続きであったと思われる。 よって、西尾市域のうち、南中根・米津だけでなく、志貴野辺りも旧碧海郡と推定されている。 碧海郡と幡豆郡の境は、八ツ面山と推定されている。
近世以降、碧海郡は「へきかいぐん」(通常は「へっかいぐん」)と呼ばれた。碧海郡役所は最初知立町(現・知立市)に置かれたが、後に安城町(現・安城市)に移った。郡役所廃止後も碧海郡の名前は残っていたが、1970年12月1日に知立町、及び高浜町が市制を施行しそれぞれ知立市および高浜市になったのに伴い、碧海郡の名前は住居表示から消えた。
「碧海」の名前は、駅名として名古屋鉄道西尾線の碧海桜井駅、碧海堀内駅、碧海古井駅と、信用金庫として碧海信用金庫が残っている。また、この地方にあるケーブルテレビ局「キャッチ」(KATCH)の名前は、碧海5市(刈谷市K、安城市A、高浜市T、知立市C、碧南市H)のローマ字表記による頭文字を並べて付けられた名前である。旧社名は「碧海キャッチ」であった。(現在は碧海5市以外にもサービス範囲を持つ。)
碧海5市は現在でも結びつきが強く、5市の市民が相互利用できる図書館利用サービスのように広域行政を進めている分野もある。消防業務もその一つであり、かつて5市にそれぞれ存在した消防本部を廃止し、代わりに5市を管轄する「衣浦東部広域連合消防局」が5市の消防業務を担っている。市を超えての消防・救急活動を行っており、知立市の急病人を刈谷市や安城市の救急車が搬送する事も多い。また、5市にあった農協は1996年4月に合併し、あいち中央農協(JAあいち中央)になった。碧海5市による市町村合併の話もあったが、碧南市が離脱を表明したため現在は進展していない。
知立市立知立南中学校の校歌にも歌われている。