砲神エグザクソン
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『砲神エグザクソン』(ほうしんエグザクソン)は、園田健一のSF漫画作品。 『月刊アフタヌーン』(講談社)で連載され、アフタヌーンKCから全7巻のコミックが刊行されている。
目次 |
[編集] あらすじ
地球人が灰色の肌の宇宙人「リオファルド星人」と出会い、友好を深めるようになってから10年。世界はファーストコンタクト10周年合同記念式典のメインイベント、軌道エレベーター開通に沸いていた。そして式典の盛り上がりが最高潮となった時、突如として世界中の大型軍事兵器が謎の攻撃を受けて破壊される事件が起こる。速報が流れ、会場がどよめく中、軌道エレベータの初荷であるリオファルド星政府から国連への贈答品が地表に到着した。
シャッターが開き、中から出てきたのは100mはあろうかという巨大ロボット「ソロサルム」であった。ソロサルムを背にリオファルド星全権大使・シェスカ中将は静かに言葉を放つ。「我らリオファルドは、この地球を7番目の殖民星とする事を宣言します」と。ソロサルムの手から地球人を見下ろすシェスカ中将はデモンストレーションと称して主砲の砲撃を命じる。電磁バレルによって加速された通常弾頭はまるで核兵器のような爆発と共に富士山を消し去った。
地球人は無力だった・・・一人の少年を除いて。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
地球側
- 加農砲一(かのう ほういち)
- 本作の主人公。都立豊和高等学校1年A組で部は無所属。ガンナースーツの装着者であると共にエグザクソンの搭乗者。
- 祖父の砲介がリオファルド星人(以降、ファルディアン)の目的は侵略であるとファーストコンタクト当初から一貫して主張していた事によって同年代の子供からは「毒電波家族」と罵られていた。それが原因でケンカを繰り返したため、高校生の今では腕っ節が非常に強くなっている。ガンナースーツやエグザクソンを手に入れた当初は変身ヒーロー気分でリオファルドのロボット兵器と戦っていたが実際に人の死や情報戦の汚さ、人間の負の感情を目の当たりにすることで苦悩を覚える。若さゆえの直情が強く、目的の為には敵とも手を組み一般市民の犠牲も辞さない砲介と対立する事も有った。
- 加農砲介(かのう ほうすけ)
- 砲一の祖父。ファルディアンとのファーストコンタクト前にXXXユニットが格納されたコンテナを発掘した。遺跡の採掘権を得るために官僚を買収し、役所にハッキングを行うなど、当時から目的のためには手段は選ばなかった模様。ファーストコンタクト後、リオファルド星人が地球人と同じ「自らのテリトリーを広げる種族」である以上は戦争は避けられないと予測。対抗手段としてエグザクソン及びガンナースーツを作り上げた。息子・砲児の妻であった零子を自らの籍に移して砲一をもうけた(したがって砲一にとって砲児は父ではなく腹違いの兄)他、基地の女性スタッフとも一人残らず合意の上での肉体関係を持っている。エグザクソン不在の基地に侵入した敵との戦闘中、左足に対生物ナノマシン弾を受けて死亡。
- 日野茜(ひの あかね)
- 都立豊和高等学校1年E組で報道部所属。砲一の幼馴染。ジャーナリストの姉が一人おり、将来は彼女のような報道者になる事を夢見ている。思春期で視力が弱いにも関わらずコンタクトをしない理由について、「目にゴミが入って正確な報道が出来なくなるから彼女はコンタクトをしません」と欄外で作者が言及している。
- 水方勇華(みなかた いさか)
- 本作第1話にて都立豊和高等学校に転校し、1年A組に所属する。胸も大きくモデル体型で、転入テストで学校創立初の満点をマークした他にも「目と耳が良い」らしい謎の多い美少女。正体は砲介が作成したナノマシン集合タイプのアンドロイドで、身体を構成するナノマシンの配列を変えることで様々な形に変形することが出来る。体重152kg。変形パターンの一つ、重力・慣性制御によって飛行するエアバイクモードは物語全編で活躍した。強固な防御を誇るエグザクソンを内側から制圧すべく、ファルディアンが茜の体内に潜伏させていたナノマシンを駆除する作業中に茜と記憶を共有。その際に茜が抱く砲一への好意をもコピーしてしまう。これにより彼女の命令の最優先対象が砲介から砲一へと変化し、砲介のシナリオに微妙な歪みをもたらす事となった。
- 加農砲児
- 砲介の息子であり、砲一の父親。しかし後に砲一の異母兄であったことが判明する。ストーリー開始時点ではすでに故人。生前、才能と自信に溢れた男性である砲介に並々ならぬコンプレックスを抱いており、妻を実の父親に奪われるなど、自らが大人になってからも解消されることは無かった。当時開発中だったガンナースーツの実働テストに協力する振りをして砲介に危害を加えようと企むが、作業用車両を軽々と持ち上げた所でスーツのエネルギーが切れてしまい、そのまま押しつぶされて死亡する。
- 加農零子
- 砲介スタッフ
リオファルド側
- シェスカ=ゾブロザフカ
- リオファルド全権大使、中将。
[編集] 登場大型メカ
- エグザクソン
- 加濃砲介が依頼で発掘作業を行っていた際に、最新のボーリングマシンも歯が立たない程の堅牢な巨大コンテナを発見。格納されていた惑星制圧兵器XX-05を解析し改造を加えたロボット。全高159.6m。最大の特徴として反物質ジェネレーター「XXXユニット」を動力源として搭載し、その圧倒的な瞬間発電容量によって重力慣性制御においてはほとんどの攻撃を無効化し、エグザキャノン発射時には4,096mm弾に音速をはるかに超える速度を瞬間的に与えられる。後に改修されてエグザクソンE-1と改称した。主装備は以下の通り
- エグザキャノン:通常時は12口径4,096mm砲、砲身を追加したフルバレル時は21口径4,096mm砲となる。胸部に収納。ハイブリッドガンで初期弾丸加速はプロペラントを用い、2次弾丸加速方法は発射時に強力な電磁波を発生することから、電磁誘導方式のレールガンか重力慣性制御による直接加速方式のどちらかの可能性が高いが、作中に明確な記述はない。12口径の場合核融合炉ジェネレーターを使い、21口径の場合XXXユニットの出力を使う。E-1改修により2倍のパワー(具体的に何が2倍なのかは作中説明はない)を持ち、サボットに反物質を装填し、反物質砲弾として発射する機能が付加された。
- 右腕搭載砲:88mm6砲身ガトリング3機セット。
- 左腕搭載砲:460mm機関砲。
- ボディ:重厚な装甲を備え、ピンポイントで重力慣性制御を掛ける事で拳や蹴り足にほぼ無限大の慣性質量を加える事ができる。単純だが、その攻撃力はカスールを一撃で屠り、ウエザビルの外装装甲に穴をあけてよじ登るなど、かなり強力なものである。
- ソロサルム
- リオフォルド製巨大ロボット。リオフォルドの軌道エレベータによって静止衛星軌道上から地上に降ろされた初荷。シェエスカ=ゾブロザフカ中将(当時リオフォルド全権親善大使)がこれをもってして地球の占領を宣言。全高不明。32口径1143mm砲を装備。ハワイ沖からの砲撃によって富士山を消滅に至らしめた。
- カスール
- 都市破壊専用重機ロボット。両腕にそれぞれ12.7万トンのボーリング型破砕機を持つ。通常攻撃は破砕機を亜音速に加速させて衝突させる。加速モード時には肘の部分に当たる破砕機末端のブースターで超音速まで加速できる。破砕機のボーリングシールド正面中心にはレーザー照射口を備える。
- ダグノフ1(ワン)
- 対エグザクソン用に建造されたロボット。太陽系とリオフォルド本星域とを通ずる亜空間ゲートにある空間反転事故防止のためのゲート強制閉鎖用ジェネレーターに使用されていたXXXユニットが強制徴用されて搭載されてある。主砲はエグザキャノンに対し口径比1.5、砲弾質量比3。コックピットは複座式。
- サイモフ
- リオフォルド地球圏配備艦の中で最大級の宇宙戦艦。種別は機動艦。第87艦隊一号艦。艦首両側壁にそれぞれ5門の主砲口を備える。全長744m。劇中登場同系艦はヴィカス。
- ガスターフ
- リオフォルド最大の重力クレーンを持つ大型艦。種別は輸送艦。等級はSS。全長736m。エグザクソンとダグノフ1を一緒に搭載できる程の容量を持つ。
- ウェザビル
- リオフォルド本星政府最大の宇宙戦艦。全幅約5km。全長全高、共に不明。副砲左右にそれぞれ6門、主砲6門。艦橋部にある付属砲一撃でサイモフは大破。副砲一門の砲撃(砲弾質量はエグザキャノンの100倍以上)を防ぐのにエグザクソンE-1の防御システムは限界出力を要した。主砲は惑星破壊を主目的としており地球の大陸プレートを破壊する事ができるとされる(具体的な仕様の説明はない)。
- エレベーターシップ
- 作中登場する最大の宇宙船、軌道エレベータ。全長3万7千km。両端に地上ベース(エレベース),軌道ベースがある。リオファルド本星で建造され各種武装と共に亜空間ゲート経由で地球に送られたトロイの木馬である。軌道ベースは地球統括最高委員会の司令拠点であり、ダグノフ1を建造した工業プラント・宇宙船母港・電力設備がある。地上ベースは地球占領における戦略的中心となった。
[編集] リオファルド側のテクノロジー
- ダムダム
直径60センチほどの球形のボディに細長い2本の足と、先端が刃になっており格納可能なリボン状の腕を二本持つ端末ロボット。翼前方部が刃になっている飛行ユニットと合体して移動する。人間の殺傷は、腕の刃で切断するか、足で突き刺すことによって行う。
- バルチャード
身長2m強ほどのアンドロイドで警察等に用いられ、指先に分析装置らしき物が装備されている。 1番ゲージショットガンや振動ナイフ等の人間の武器を大型化させた武器を使用する。
- 高性能マイクロチップ
リオファルド側の技術によって生産されており、地球側にはブラックボックスとなっている。地球で用いられる電子機器の多くに用いられている。トロイの木馬であり、侵略の際には地球側の電子機器の大半を停止させた。
- マイクロマシン
体内に医療用マイクロマシンをインプラントすることにより、死亡してから短時間のうちなら蘇生させることや、敵に攻撃型マイクロマシンを打ち込むことによる攻撃、ハードウェアに侵入させることによりソフトウェアによる防御が不可能なハッキングを行う等が可能。
- 大容量記憶媒体
作中ではフロッピーディスクサイズで2ペタバイトの物が存在する。またQrコードのようにカメラで撮影することによってプログラムをダウンロードすることが出来るホログラムが存在する。
- 情報端末
リストコムと呼ばれる腕時計状の情報端末や、極めて薄いPDA等が存在する。ちなみにリストコムは8ペタのメモリを搭載していながら価格は1万2千円ほどである(砲一が小学生の頃の価格)。
- ガンナースーツ
使用者の動きをタイムラグ無しでアシストし、装甲の役割も果たす。通常はグローブ状であり、音声認識によって作動し、使用者の服を分解して取り込み体を包む。ガンナーモードとバトルモードが存在する。また重力制御による光学兵器に対する防御機能を持つ。砲一のスーツには右手に50口径の拳銃が、左手に刻印から12番ゲージと思われるショットガンが装備されている。これは推進薬(プロペラント)と電磁バレルによってマッハ5で弾を撃ち出すものであり、弾と電力は100発分まで供給される。 しかし、これらがどのようにグローブに格納されているのかは不明。
- 核融合炉
反物質惑星を失ったリオファルドでは、現在核融合炉による発電が主流である。
- 特殊マテリアル
変形するアンドロイドやガンナースーツを構成するナノマシン群。 毛髪に偽装して持ち運ぶ、顔に張り付けて人相を変える、茜の眼鏡を作る、等々様々な用途に使用可能。
- 人工惑星
- 亜空間ゲート
太陽系とリオファルド星系を亜空間で結ぶゲート。リオファルド本星所有であり、緊急閉鎖時の動力源としてXXXユニットを搭載している。
[編集] 用語解説
- XXX(ラウンメイタル)ユニット
リオファルド文字の最後であるX(メイタル)が3つ(ラウ)で、「究極のパワーユニット」の意である。対消滅反応により反物質を電力に変換するパワーユニットである。核融合炉をはるかに凌ぐ発電量を持ち、重力、慣性制御の際の莫大なエネルギーを賄う。反物質惑星を失ったリオファルドでは伝説となっているほどのパワーユニットである。 リオファルド内閣により無期限の回收計画が発せられており、エグザクソンの搭載するXXXユニットに内蔵された反物質量は史上最大である。
対消滅反応によって莫大なエネルギーを発生させる。過去にはリオファルドは反物質惑星を所有し、莫大なエネルギーを利用して繁栄していた。しかし、反物質惑星とプラントが大消失と呼ばれる接触事故を起こし、その際の対消滅反応によって反物質惑星は宇宙の彼方に消えた。
膨大な電力を用いて慣性を制御することにより、慣性重量を0にすることによる兵器などの驚異的な機動、慣性重量を無限大にすることによる強力な物理的攻撃を可能にする。重力制御と共に地球側に公開されていない技術である。
- 重力制御
膨大な電力を用いて重力を制御する技術であり、戦艦やロボットの飛行、重力クレーン等に用いられる。またレーザー等の光学兵器や砲弾等の質量兵器を無力化する。ただし、零距離からの光学兵器による攻撃と、システムの限界を越えた大質量の質量兵器による攻撃は無力化出来ない。慣性制御と同じく、地球側には公開されていない技術である。
- 大消失
リオファルド本星が最も豊かであった時代に発生した反物質惑星とプラントの接触事故。反物質惑星の大半が宇宙の彼方に消え、発生した電磁波により多くのファルディアンが命を落し、リオファルド全電子データの大半が失われた未曽有の大災害。惑星制圧兵器XX-05は当時のまだ不安定だった亜空間航法による射出中にこの影響を受け、関係者が死亡したことにより地球に漂着したと思われる。
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