目薬
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
目薬(めぐすり)は、「点眼液」の俗称で、目に直接投与する液状の薬である(薬事法で医薬品に分類されている)。 目の炎症を抑えるためや、目脂・目のかゆみ解消にも使われる。 また、単に目をすっきりさせるさしごこちの清涼感を求めることにも使われている。 動詞として、「目薬を差す(点す)」と使われる。
目薬は、刺激を抑えるため涙とほぼ同じpH、浸透圧に調整されている。 また、無菌的に製造され、一回使い切りのものを除き無菌性を保つため防腐剤が加えられている。 開栓後は早めに使い切った方がよい。
比喩表現として、「鼻薬」同様賄賂の意にも用いられる。「目薬を効かす」など
目次 |
[編集] 歴史
- 古代エジプト時代、人間が目脂に虫が付かないように目に薬を塗っていたのが始まりと言われている。
- 日本では江戸時代に硫酸亜鉛溶液「精金奇水」が売られていた。田口參天堂(現参天製薬)が点眼方式として初めて1899年(明治32年)に「大學目藥」として発売した。方式は棒に薬液をつけ目にたらすもの。
- 後には、瓶入りの薬液をスポイトで吸い取り目に点していた。
- 一般的な目薬は、点眼口が容器の上にあるが、田辺製薬が容器の横に点眼口のあるサイドドロップ容器を開発、2001年度グッドデザイン賞を受賞した。先端恐怖症で点眼が苦手な人でも簡単に点眼することができる。
[編集] 使用法
- キャップを開け、顔を上げて目に対して垂直に2~3センチほどの高さに据え、1~2滴程度の薬液が出る強さで容器を指で押す。あまり高くすると目に入らない。これを指して「二階から目薬」(思うようにいかずもどかしいさま)の慣用句がある。
- 目薬は1滴で充分な量がある。それ以上点しても溢れるか鼻腔に流れ込むだけである。鼻腔に流れ込まないようにするのに、点眼後1分ほど涙のう部(目頭)を圧迫する。また、目から溢れたものは、かぶれることがあるので濡らしたガーゼなどで拭き取った方がよい。
- 2種類以上の目薬を差す必要がある場合には、5分ほど間隔を空けること。
- 花粉症による炎症を抑えるためや、コンタクトレンズによるかゆみの解消などにも用いられる。
- 目薬は演技で涙を流しているように見せるためにも用いられることがある。
- 流説として、目薬をコーヒーや酒などの飲み物に垂らして睡眠薬あるいは媚薬として使う方法が知られている。しかし、目薬には鎮静作用を促す成分が含まれている場合があるが、そのような効果は期待できない。飲んで効くなら、目に点した方がよほど効果的だとの指摘もある。
[編集] 誤用防止
目薬と間違えて水虫薬など滴下型の容器に入った薬品を滴下し、負傷する事故が発生している。 その防止のため厚生労働省は、新たに認可する水虫薬についてはノズル部分を赤、黒、茶色にすること、点眼タイプの水虫薬を引き続き販売する場合は容量を10ml以上にするなどの対策を製薬会社などに通達している。
[編集] 含まれる主な成分
抗炎症剤、ビタミン剤、血管収縮剤、抗ヒスタミン剤、涙液成分などが含まれる。
医療用では、このほかに散瞳剤、縮瞳剤、眼圧降下剤、白内障治療剤、ステロイドホルモン剤、抗生物質、局所麻酔剤などがある。
[編集] 主なメーカー
- ロート製薬 - ロートシリーズ
- 参天製薬 - サンテシリーズ
- 大正製薬 - アイリスシリーズ
- ライオン - スマイルシリーズ
- ファイザー - バイシンシリーズ
- 千寿製薬 - マイティアシリーズ
- エスエス製薬 - スマリンシリーズ
- 佐藤製薬 - ノアールシリーズ
[編集] 関連項目
カテゴリ: 医薬品 | 目 | 医学関連のスタブ項目