画像処理ソフトウェア
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画像処理ソフトウェア(がぞうしょりソフトウェア)は、コンピュータにおいて画像データを扱うソフトウェアの総称。
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[編集] 概要
画像処理ソフトウェアを目的別に分類すると次のようになる。ただし、複数の分類にまたがるものやあいまいなものもあるので、一般に分類は完全には行なえない。画像データを扱うアプリケーションも複数の機能を統合しているものが多い。
- 画像を作るソフト
- 代表的なものでは、白紙の状態から絵を描いたり図を作成したりするソフトウェアがある。扱う画像データの性質により、ビットマップ画像のピクセルを編集するビットマップツールと、ベクトルデータによる図形や曲線を編集をするドローツールに大別される。
- 参照: ビットマップツール、ドローツール
- また、3次元モデルの画像を処理するものや、時間軸に沿って動きや変化を与える処理を施すソフトウェアがある。
- 画像を加工するソフト
- すでにある画像データに加工を施したり、特定の目的に沿ってデータを抽出したりするソフトウェア。機能的には画像を作るソフトと重なる部分も多い。
- 前者では例えばデジタルカメラの画像に軽い修正を加えるソフトウェアが代表的である。画像を作り出すこと(例えば、多彩なペンやブラシを扱ったり、水彩や油彩のタッチをシミュレートするといったこと)には重点をおかず、色調や明暗の補正やフィルターなど加工する機能に重点を置いている。より専門化したアプリケーションでは、画像の拡大縮小を画像の特性に合わせてスムーズに行うものや、画質を落とさずに減色などの処理を施すものがある。
- 後者の例では、研究や医療や製造などの現場で画像データからある種の特徴を抽出したり、映像の中から人や車などの物体を識別して抽出したりするものがある。また、ビットマップ画像から輪郭を抽出してベクター画像に変換するソフトウェアなどがある。
- 参照:科学技術計算ソフトウェア
- 画像を閲覧するソフト
- 画像データを表示するソフトウェアで、ビューワーと呼ばれる。また、単に画像を閲覧するだけでなく、大量の画像データを管理しやすくするためのデータベース機能を備えるものもある。
- 参照:ビューア / 管理ソフトウェア
- 画像ファイルのフォーマットを変換するソフト
- 画像ファイルにはいくつかのフォーマットがあり、あるフォーマットから別のフォーマットに変換するソフトウェアがある。
- 参照:フォーマット変換ソフトウェア
[編集] ビットマップツール
ビットマップツールは、ビットマップ画像(ラスター画像)を扱う画像処理ソフトウェア。その用途の適性によりペイントツールとフォトレタッチツールの属性がある。そのいずれであっても高度なツールでは両方をある程度はこなすことが出来る。
[編集] ペイントツール
ペイントツールは、画像データの各ピクセルを直接操作する画像処理ソフトウェア。ペイント系とも呼ばれる。
何もないところから(真っ白なキャンバスから)、ペンタブレットなどを利用した手描きによる絵を作成するのに適しており、イラスト作成などに使用する。実際に絵筆などで描くのを模してピクセルを操作できるなど、現実になるべく近付けるよう工夫がなされている。
[編集] フォトレタッチツール
フォトレタッチツールは、取り込んだ写真や自然画を処理するのに適した画像処理ソフトウェア。フォトレタッチ系とも呼ばれる。
画像の合成などに用い、明度・コントラスト・色調を補正したり、高度なものはレイヤなどを利用してさまざまな特殊効果を加えることができる。
近年ではデジタルカメラの普及に伴い、RAW画像の現像処理やホワイトバランス調節、赤目補正、レンズによる歪曲の補正、ノイズやほこりの除去処理など、写真画像のレタッチに完全に特化したツールも出てきている。
- 代表的なフォトレタッチツール
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- 写真画像に特化したもの
- Adobe Lightroom
- Aperture
- Capture NX
- Digital Photo Professional
- SILKYPIX Developer Studio
[編集] ピクセルエディタ
ピクセルエディタは、インデックスカラー用の編集に特化した画像処理ソフトウェア。アイコンなどの小さい絵を作成する目的で、画素(ドット)を1点ずつ加工するのに適したものである。ドットエディタなどとも呼ばれる。
PC-9800など、過去のコンピュータでは色数がインデックスカラーに限られているものが多く、Z'sSTAFF98、マルチペイントなど、多くのピクセルエディタが存在した。このインデックスカラーの画像を編集することは職人業であり、こうした技術を持つ者はドッターと呼ばれた。現在ではインターネットに使われるGif形式画像などがインデックスカラーを用いた画像形式である。
- 代表的なピクセルエディタ
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- D-Pixed
- EDGE
[編集] ドローツール
ドローツールは、ベクトル画像を扱う画像処理ソフトウェア。ベクターツール、ベクトルグラフィックツール、ドローソフトとも呼ばれる。
ベジェ曲線・スプライン曲線などを利用して画像を出力するため、解像度に左右されない。図面の作成やイラスト作成などに使用される。
- 代表的なドローツール
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- Adobe Illustrator
- Corel Draw
- Draw (OpenOffice.org)
- Expression
- Macromedia Fireworks
- Macromedia FreeHand
- Xara X
Macromedia FireWorksは、ツールの属性としてはドローツールだが、ビットマップ画像の色補正やフィルタなど、フォトレタッチ系の機能も備える。用途としてはWebデザイン専用の画像作成ツールという特殊なツールである。 またExpressionはドローツールでありながら、ペイントツールのように画材を模倣した表現を得意とする、といった特徴がある。
[編集] 動画編集ソフトウェア
動画編集ソフトウェアは、動画を編集・加工するソフトウェア。
- 代表的な動画編集ソフトウェア
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- Adobe After Effects
- Adobe Flash
- Adobe Premiere
- Aura
- inferno
- Microsoft ムービーメーカー
- Shake
[編集] 3次元モデリングソフトウェア
3次元モデリングソフトウェアは、3Dオブジェクト(3次元オブジェクト)のデータから光源や形状を考慮してその位置から見える画像を計算し合成するソフトウェア。3Dレンダリングソフトウェアとも呼ばれる。
現実的な画像を作成できるが計算が複雑で、往々にしてリソースを大量消費する。
- 代表的な3次元モデリングソフトウェア
[編集] 科学技術計算ソフトウェア
科学技術計算ソフトウェアは、数値計算により画像から特徴を抽出することを目的とした画像処理ソフトウェア。
- 代表的な動画編集ソフトウェア
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- ImageJ
- NIH Image
[編集] フォーマット変換ソフトウェア
フォーマット変換ソフトウェアは、JPEGやGIFなど多岐にわたる画像データのフォーマットを相互に変換するソフトウェア。
画像ファイルには、有名なものからあまり聞かないものまでを含めると非常に多くのフォーマットがある。パソコンの黎明の時代には多くの画像フォーマットが乱立した。その後、インターネットの時代を経て、汎用性の高い代表的なフォーマットへと集約された。画像フォーマットの種類については、Category:画像ファイルフォーマットを参照。
画像フォーマットの変換に特化したソフトウェアでは、多くの画像フォーマットに対応し、異なるフォーマットへの変換出力が行えるようになっている。
- 代表的なフォーマット変換ソフトウェア
- ImageMagick
- Netpbm
画像フォーマットによって表現能力が異なる場合があるため、圧縮率や画質の調整をするオプションのほか、サイズの変更や色調補正の機能も備えているものもある。
2000年代に広く用いられる画像データのフォーマットでも、画像の性質や目的によりいくつかの種類がある。シンプルなビットマップ画像を扱うbmpなどに代表されるフォーマットや、自然画像を非可逆圧縮で高い圧縮率でデータ圧縮するJPEG、図形を多用する画像や色数の少ない画像の圧縮に適したGIF、上記のいくつかの特徴を兼ね備えるPNGなどのフォーマットがある。画像データを扱う多くのソフトが、これらの代表的なフォーマットへの変換出力機能を備えている。
[編集] ビューア / 管理ソフトウェア
ビューアは画像を見やすく表示するソフトウェアのこと。
近年のパソコンでは、オペレーティングシステム自体が個々の画像ファイルを表示したり、画像の縮小イメージ (サムネイルと呼ばれる) を一覧表示したりする簡易ビューワー機能を備えている。
より専門的なビューアでは、多くの画像形式に対応し、多数の画像ファイルを扱うため画像に特化した高度な管理機能を持つ場合が多い。
ネガ・ポジ反転や、明度補正などの簡単な加工ができるものもある。また一部のビューアにはオンラインアルバムに画像をアップロードする機能を持ったものもある。
- 代表的なビューア / 管理ソフトウェア
[編集] 関連項目
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