町内会
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町内会(ちょうないかい)とは、もともとは日中戦争の頃から日本国内で組織され始め、太平洋戦争の戦時下に大政翼賛会の最末端組織として1940年に都市には町内会、町村には部落会が国によって整備されたのが起源である。戦時下には内部に隣組があった。
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[編集] 概説
町内会は、現在の制度としては廃止されているが、近隣住民のコミュニティー組織(地縁団体)として町内会の名称が使用されている。現在は地方自治体とは基本的に無関係である。
町会(ちょうかい 町議会とは異なる)の名称もある。マンションや新興住宅地では「自治会」と呼称されることも多い。また、自治会が町内会の上部組織である地域もある。多くは法人ではなく任意団体であり、加入は義務ではない(自治会加入者区域にありながら商店会を構成しそちらに参加する商店街もある)が、その地域の全世帯が加入しているケースが多い。祭りや、清掃等を行う場合も多い。お互いに葬式の手伝いをしたりする地域もある。また場所によっては神社の管理を行なっているケースもある。
地方自治体によっては、自治体事務の委任(下請け)で広報紙を町内会が配布したり、自治体行政の下部組織(地区長、区長など、自治体により名称が異なる)に町内会・集落組織や、その連合組織から人を送るケースもある。こうした場合、町内会トップ(会長)が地区長を兼ねるケースが多いため、町内会の自主性などの面から批判もある。
なお、加入を強制されたといったトラブルが発生する場合もある。単身者、共働きが多いアパート、マンションの場合未加入の人も多い。家族で居住している場合、加入を勧誘すると応じる場合が多いが、単身者等の場合、町内会に勧誘しても加入を断る人が少なくなく、不在がちな世帯も多いため、加入率は低くなっている。
また、神社・仏閣の管理を行っている町会では、宗教上の理由により入会を拒否したり裁判を起こされるケースも発生している。
[編集] 町内会の位置付け
本来、町内会や自治会とは民法上における権利能力なき社団、即ち任意団体である。 しかし、1959年に発生した伊勢湾台風を契機として成立した災害対策基本法では、地域コミュニティにおける住民同士による防災活動が重視され、地域住民らによる自主防災組織の設置に関する規定が設けられているが、この自主防災組織は主に町内会や自治会を母体として設置することを想定したものであり、町内会はたんなる任意団体という位置付けに留まらない地域の担い手としての重要な役割を果たしてきた。 さらに、近年では地域コミュニティの重要性が認識されてきたこともあり、地方自治法第260条の2で「地縁による団体」と規定され、地方公共団体の長の認可を受けて法人格を取得し、団体名義で不動産登記等を行うことができるようになった。さらに、2002年には中間法人法の施行により、中間法人としての法人格を取得する例もある。
[編集] 町内会の構成
- 町内会には代表者としての町内会長をはじめ、助役、収入役、総務などの役職がおかれる。これらの人選は選挙によって行われるが、事実上持ち回りとなっているケースも多い。
- 町内会の内部には隣組の名残である組(または班)がおかれている。組長の人選は多くは持ち回りであるが、マンションの建設によって新たに組を設置した場合などは、大家が組長を務める場合がある。
- 人口密集地では農村部よりも狭い区域に多くの町内会が設置されているため、人口密集地全体の問題について協議する組織として、町内会の上部組織として連合町内会が設置される場合がある。
- 町内会の組織は、会長・副会長・地区長・組長といった例がある。
[編集] 町内会への加入促進策の例
- 前述のように、新規に転入してきた住民が町内会に加入しないことは珍しくないが、組織率の低下を防ぐため、マンション分譲の際の条件として「町内会への加入」を契約で謳っているケースが見られる。もっとも加入はしているが行事には参加せず、町内会費を納入するだけの関係になってしまっているようなケースも散見される(稀に加入していても町内会費を滞納(未払い)するケースも存在する)。
[編集] コミュニケーションの促進策
- 各地の町内会、自治会では、会員(住民)同士の交流を促進するためさまざまな行事を行うところもある。住民の高齢化等により行わなくなるケースもあるし、いままでになかった新たな行事が企画されるケースもある。
(例)どんど焼き、お神輿、祭り(盆踊り)、フリーマーケット、他
[編集] 町内会において裁判となったケース
- 公団住宅における自治会の退会
- 埼玉県営住宅本多第二団地(新座市)の自治会の退会を巡って争われていた裁判で、最高裁第3小法廷は2005年4月26日に「自治会は強制加入団体ではなく、退会は自由である」という判決を下している。しかし、共益費の支払いは命じられている。(共益費は自治会費ではない)
- この裁判では、元々自治会に加入していた会員が、会に対して不満があり退会を求めたものである。
- 団地の自治会の加入率もかつては高く、現在も全世帯が加入する団地もあるが、単身者、共働きの世帯が多いところでは必ずしも全世帯が加入しているわけではない。加入率が半分以下のところもある状態である。また、自治会に加入した場合、自治会費を払うことになるが、これは建物の管理に使われる「管理費(共益費)」とは別のものであり、会の運営のために納付するものである。「管理費(共益費)」は通常、家賃と一緒に家主(UR・県・住宅公社など)に払うことになる。
- (注)分譲マンションの「管理組合」はここでいう「自治会」ではなく、共同財産の管理を目的として、区分所有者全員の加入が建物の区分所有等に関する法律で義務づけられているものである。