煉獄
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煉獄(れんごく ラテン語:purgatorium)とは、古くは「浄罪界」とも訳され、主にカトリック教会の教義において、死後地獄へ至るほどの罪はないが、すぐに天国に行けるほどにも清くない魂が、その小罪を清めるため赴くとされる場所である。ただ、第2ヴァティカン公会議以降の教会の現代化の流れにより、現代のカトリック教会で煉獄について言及されることはほとんどない。
[編集] 概説
地獄は救いの無い場所、天国は罪の一切無い場所と定義されるが、煉獄はキリスト者として罪の贖いを受けて救いが約束されていながら、小罪および罰の償いが残っているため、浄化を必要とする者のためにある場所と考えられている。聖書には具体的な記述は無いが、『マタイによる福音書』12章32節において、後の世で赦される可能性が述べられていること、および、『マカバイ記』2の12章43節において、罪を犯した死者のために執り成しの祈りを認めていることを根拠にしている。煉獄における救済は、聖母マリアおよび諸聖人の執り成しによるとされる。
カトリック教会ではこのような煉獄の死者のための祈りなどを行う伝統があったが、教皇の免償の権威が死者にもおよぶのかという問いをマルティン・ルターが投げかけたことが宗教改革の発端となったという歴史的経緯から、プロテスタントの諸教派は煉獄の概念を否定した。
一方、東方正教会には、パニヒダ(永眠者の為の祈り)というものがある。しかし、陰府と天国の間には大きな淵があるという理由から(『ルカによる福音書』16章26節)、カトリック教会の解釈とは相違がある。
[編集] 関連項目
- 神曲(ダンテ)
- 地獄 (キリスト教)
- 黄泉