演奏時間の長い曲

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演奏時間の極度に長い曲はポピュラー音楽とは違って典型的な芸術音楽の特徴である。最も長い音楽は一人の人間が一生かかっても聴くことが不可能なものもある。無論、演奏者によって演奏時間のばらつきは必ずあるのでカット無しの平均的な時間だけを挙げておく。極端に長いものは現代音楽に、またクラシックではオペラの音楽に長い作品が多く見られる。また大作は大作曲家の条件の一つとなることがあるし、演奏不可能の作品とも大いにかかわりがある。

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ここではとりあえずドイツにおけるオペラ一回あたりのオーケストラのギャラの一回分と二回分の境界にあたる3時間20分前後の作品までを挙げる。

ジョン・ケージの「オルガン2／ASLSP」：639年

1985年にピアノ曲として作曲され、1987年にオルガン曲に編曲。80分以内でも演奏は可能（ちなみに通常演奏で20分）だが、オルガン奏者のクリストフ・ボッセルトがドイツのハンバーシュタットにあるオルガンが1361年に完成してからの年数をもとに正式な演奏時間を算出したところそのような結果が出て、実際に電気と機械のパイプによってハンバーシュタットで2001年9月5日から2640年まで、つまり現在も延々と演奏されていて、何人もいつでも聴けるが全曲を聞くのは不可能である。80分以内の演奏でCDもボッセルトの演奏で出ているが、全曲は635年と言うドイツ紙の報道もあり、2003年2月2日、2004年7月5日、2006年1月5日に新たなコードが加わり、2006年5月5日はパイプを取り替えて音が変わる日であったのでそのとおり行われた。次に音が変わるのは2008年7月5日の予定。ジョン・ケージオルガンプロジェクト（ドイツ語）
カールハインツ・シュトックハウゼンの「336年」（仮題）：336年

本人が半分冗談で作曲したらしく作品番号は付いていない。付点2分音符の一点トがMM=0,00000001698で演奏される。
アルネ・ノールヘイムの日本万国博覧会（大阪万博）スカンジナビア館のテーマ曲：102年

テープによるループ音楽。
ラ・モンテ・ヤングの電子音楽「12日間のブルース」：12日

テープ作品。
シュトックハウゼンのオペラ「光」：28時間

7部作で28時間の実質演奏時間。実際は一日に一部しか出来ず、最終作の「日曜日」は3日に分けて演奏することが望ましいとスコアに記載されているので9日間。全曲演奏例はまだ無しだが数年後にドレスデンでの演奏計画がある。予定されている資金は一億ユーロ。
エリック・サティの「神秘的なページ」の第2曲「ヴェクサシオン」：18時間

840回の繰り返し。バスの伴奏主題を省略すると14時間ぐらいで短い。20人ぐらいのピアニストで一人一時間交代で演奏する。この他オルガンやチェレスタでやる試みもある。
リヒャルト・ワーグナーの｢ニーベルングの指環｣：15時間

普通の演奏は一部ずつで4日間だが、実際には後半のテノールなどが毎日は歌えないので少なくとも6日はかける。シュトットガルトの演奏は全４部とも演出家が違って歌手も替えることができたので四日間で演奏できた。最近のケルンでは一日に二部ずつのダブルヘッダーで歌手を交換して全曲を2日でやる試みも見られる。
カイホスルー・シャプルジ・ソラブジの「交響変奏曲（ピアノリダクション版）」（1935年 - 1937年）：9時間
ヨーゼフ・マルティン・クラウスのオペラ「カルタゴのアエネエス」（1790／未完で完全上演の記録無し）約６時間,出典 aus SWR2、Treffpunkt Klassik am 14.10.06
シュトックハウゼンのNr.29の四群の管弦楽の為の「フレスコ」：5時間40分　（ダルムシュタット初演の記録）
モートン・フェルドマンの弦楽四重奏曲第2番：5時間30分

繰り返しを含めて約5時間半かかる。繰り返し無しでは3時間半。
ジョン・ケージのオペラ「ヨーロッパ」第一部から第五部まで：4時間55分
ワーグナーの｢ニュルンベルクのマイスタージンガー｣・「神々の黄昏」・「パルジファル」：4時間30分

それぞれ平均四時間半の実質の演奏時間。
カイホスルー・シャプルジ・ソラブジの「オプス・クラビチェンバリスティクム（鍵盤楽器のための作品）」（1930年）：4時間～4時間45分

当然演奏者によって差が出るが、四時間ちょうどという概算が有力視されている。
ヨハン・セバスティアン・バッハの平均率クラヴィアー曲集I・II巻全曲：4時間20分
ワーグナーの「ワルキューレ」・「トリスタンとイゾルデ」・「ジークフリート」、メシアンの「アッシジの聖フランシスコ」、ベルリオーズの｢トロイ人｣、ロッシーニの「ウィリアム・テル」、マイヤベーアの「ユグノー教徒」と「預言者」、ヴェルディの「ドン・カルロ」初稿五幕フランス語版、プロコフィエフの「戦争と平和」（カット無し）、ハンス・ウェルナー・ヘンツェの「ヒルシュ王」、フェルドマンの「フィリップ・ジュストンの為に」：4時間
ラ・モンテ・ヤングのクロモス・クリスタル、ヘンデルのオペラ「タルメラーノ」、ロッシーニの「泥棒かささぎ」とワーグナーの「リエンツィ」：3時間40分

「リエンツィ」の現行版はカット無しで3時間40分の演奏時間。この初稿の場合はまだオーケストレーション並び演奏もされていないが4時間20分ぐらいになると見込まれている。
メシアンのピアノ曲「鳥のカタログ」：3時間40分
モンテヴェルディ「ポッペアの戴冠」：3時間35分
モーツァルトの｢イドメネオ｣（終幕のバレエ付き）、ロッシーニの「セミラミーデ」、ワーグナーの「ローエングリン」はカット無し（特に終幕の）、ヘンデルのオラトリオ「サムソン」、ムソルグスキーの「ボリス・ゴドノフ」、リムスキー＝コルサコフの「雪娘」：3時間30分
ハンス・プィッツナーの歌劇「パレストリーナ」：3時間25分
ヘンデルのオペラ「アリオダンテ」やヴェルディの「ドン・カルロ」五幕版（フランス語・イタリア語の両方）、リヒャルト・シュトラウスの「ばらの騎士」・「影のない女」、フィリップ・グラスの「浜辺のアインシュタイン」：3時間20分

[編集] 番外または不明確な演奏時間

ジョン・ケージの「HPSCHD」（1969）の演奏時間は最低20分から無限大となっていてこれが最長と言う事もできる。また同じくケージの「カートリッジ・ミュージック」や「アリア」・「4分33秒」・「ピアノの為の音楽21-36、37-52」等は演奏時間が不確定である。
ドビュッシーの「聖セバスティアンの殉教」の初稿は5時間かかったといわれる。
スクリャービンの「神秘劇」のネムティン（Nemutin）補筆版は序夜だけで3時間かかるが、それに続くオペラが完全に未完成。シュトックハウゼンの『光』と同じ７部作を想定していた。
シュトックハウゼンのNr.26の「7つの日々から」は演奏時間が不定。全15曲でそのなかの3曲がCD一枚にすっぽり収まる。そのなかの｢金の塵」は事実上の演奏不可能の作品。このスタイルの即興で全15曲演奏されたとして約5時間はかかる。
フィリックス・ワインガルトナーの楽劇はワーグナーのそれより長いと良く記述されるが現在詳しい資料がない。
ヨハン・シュトラウス2世の「常動曲」は最後の小節と最初の小節が繋がっており、指揮者がやめる気になるまで何回でも繰り返して演奏することが出来る。

もちろんこの他にも無名の作品が無数にある。