核果
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核果(かくか)は果実の1タイプで、一般的なイメージにおける果実に近いものの一つで、中心に大きな種が1つ入っているものである。
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[編集] 定義
核果(かくか)と呼ばれる果実は、外側の果皮(外果皮)および果肉(中果皮)が内果皮の硬化した硬い核(殻)を取り巻き、核の中に種子があるものをいう。核は種子を構成する要素でなく果実の一部である。種子は核に保護されるため、表面を覆う種皮は通常薄く脆弱である。石果(せきか)ともいう。
[編集] 意味
例外はあるものの、核果の多くは哺乳類や鳥類などの脊椎動物に食われることで、それらの消化管を通じて糞とともに種子を散布するものが大半である。そのため、通常中果皮は多肉質になって糖分や脂肪などの栄養素を蓄え、果実の芳香や外果皮の色彩によって種子散布動物を誘引しているのが普通である。そのため、多くの核果において核は種子散布動物による種子の破壊を防ぐ機能を担う適応現象として発達したと考えられている。
[編集] 特殊な例
核果でありながら、上記の種子散布戦略に当てはまらないものとして、ココヤシの果実(ココナッツ)が挙げられる。ココヤシは種子散布を海流のような水の流れに依存しており、中果皮は空気を多く蓄えた繊維質で、果実を水上に浮かべる浮きの役割を果たし、硬化した核は海上を果実が運ばれている間、種子の内部が脱水しないようなシェルターの機能を持っている。
また、クルミやアーモンドなど、ナッツとして利用される果実の一部は核果ではあるが、いずれも肉質の中果皮は薄く、動物にとって魅力的な糖分や脂肪を蓄えていない。また核の内部の種子は子葉がよく発達して脂肪を多く蓄えている。これらの種子散布様式は多くの核果と異なり、むしろドングリのものに近いと考えられる。つまり、種子の内部の子葉を食べるリスやネズミのような動物がこれらの果実を冬季の食物として土に埋めて分散貯食し、春に余って食べ残されたものが新天地で発芽して新しい世代の植物となるわけである。これらの植物では、核は貯食を行うネズミやリス以外の動物に容易に種子を食べられなくして、より多くの種子がこれらの動物の貯食にまわるようにしていると考えられる。
さらに、果肉で動物を誘引して種子散布を行っている果実がすべて核果になっているわけではない。例えばカキやリンゴ、柑橘類、ブルーベリーなどの果実では内果皮ではなく種皮が硬化して、動物の消化管内での胚の損傷を防いでいる。
[編集] 例
次のような例がある: