本陣殺人事件
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本陣殺人事件(ほんじんさつじんじけん)は、推理作家横溝正史が著した長編推理小説、及び、それを原作とした映画・テレビドラマ作品である。現在(2005年9月)までに映画2本、テレビドラマ3作品が制作されている。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
目次 |
[編集] ストーリー
昭和12年11月25日、旧本陣の末裔・一柳(いちやなぎ)家の屋敷では長男・賢蔵(けんぞう)と久保克子(くぼかつこ)の結婚式が執り行われていた。式には一柳家から糸子(いとこ・賢蔵の母)、三男・三郎(さぶろう)、長女・鈴子(すずこ)、良介(りょうすけ・賢蔵の従兄弟)と久保家から銀造(ぎんぞう・克子の叔父)が顔を揃えていた。式は、鈴子が琴を披露するなどして、何事もなく終了した。
その夜遅く、屋敷内に只ならぬ琴の音が響き渡った。銀造らが夫婦の寝室である離れへ行ってみると、夫婦が布団の上で血塗れになって死んでいた。だがそれだけではなかった。庭の中央には血塗られた日本刀が卒塔婆の様に刺さっており、周囲には足跡一つない。周りに降り積もった雪のために離れは完璧な密室状態となっていたのだ…!
[編集] 主な登場人物
- 金田一耕助 (私立探偵)
- 一柳賢蔵 (長男)
- 一柳隆二 (次男)
- 一柳三郎 (三男)
- 一柳鈴子 (次女)
- 一柳糸子 (賢蔵らの母)
- 一柳良介 (賢蔵らの従兄弟)
- 久保克子 (賢蔵の新妻)
- 久保銀造 (克子の叔父)
- 清水京吉 (三本指の男)
- 磯川常次郎 (岡山県警警部)
[編集] 解説
この作品は、日本初の本格的推理小説とも言われ、それまで日本家屋には不向きとされていた密室殺人を戦後初めて描いた作品としても知られる。また名探偵金田一耕助のデビュー作でもある。
物語は作者が人伝いに聞いた話を纏めたという形式をとっている。映像化は早くも小説発表の翌年1947年に映画が製作・公開されているが、このとき片岡千恵蔵が演じた金田一は原作とは違うスーツ姿で登場する。さらに1975年の二度目の映画版では中尾彬が金田一を演じたが、この時はなんとジーンズ姿である(ちなみに横溝正史はこの中尾金田一をたいそう気に入っていたという)。
実在する地名が使われているためか、現在の文庫本等では村、川、駅の名前の漢字一文字がそれぞれ伏字となっている(清―駅、川―村、岡―村、高―川といった具合。なお、それぞれ清音駅、川辺村(現倉敷市)、岡田村(現倉敷市)、高梁川を表す)。