朝鮮学校
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朝鮮学校(ちょうせんがっこう、チョソンハッキョ、조선학교)とは、在日朝鮮人に対して朝鮮語を用いた教育を行う民族学校(教育施設)のことである。韓国系学校については、韓国学校を参照のこと。
朝鮮学校は、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)や朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)から支援を受けている。幼稚班・初級学校・中級学校・高級学校・大学校があるが、教育課程は、日本の6・3・3・4制に合わせたもので、北朝鮮のものと異なる。これらの教育施設の大半は、日本の私立学校法(昭和24年法律第270号)に基づく学校法人が設置しているものであるが、学校教育法(昭和22年法律第26号)の第1条に基づくいわゆる一条校ではなく、すべて各種学校である。
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設立の歴史
- 1945年 第二次世界大戦終戦直後、在日朝鮮人が朝鮮語を用いて学習をする場「国語講習所」を設ける
- 1946~ 在日朝鮮人連盟(現朝鮮総連・民団の前身)の学校に発展する
- 1948年 GHQの政策によって大阪府などが朝鮮学校閉鎖令を出したことにより朝鮮系学校を一時閉鎖
- 1949~51 政府が朝鮮学校閉鎖令を出し白頭学院を除く朝鮮系学校を一時閉鎖、また一般の学校における民族教育の禁止通達が出る。一部は公立の朝鮮人学校・朝鮮人のみに教育を行う民族学級などに移管または個人宅における個別教育を行う。
- 1950年代中ば以降 韓国系・北朝鮮系それぞれ学校を再建、韓国系学校白頭学院は一条校となる
- 1957年 北朝鮮から教育援助費が送られてくる。このころから北朝鮮系学校が台頭してくる(韓国に対しても支援を求めるが、積極的な支援をせず)
- 1960~70年 各都道府県が朝鮮学校を各種学校として認可、1975年にすべての朝鮮学校が各種学校となる。この時代が学校数・生徒数のピークである
朝鮮学校の特徴
教育施設としての位置づけ
朝鮮学校は日本国内に居住する外国人をもっぱら対象とする教育施設と捉えられているうえ、文部科学省が定めるカリキュラムを満たしていないため、教育施設の種別としては1条校や専修学校とされず各種学校として設置されている。
朝鮮学校の高級部(朝鮮高級学校)の課程を修了しただけでは、日本の大学入学資格は生じない。また、学歴上の高等学校卒と公的には認められない。ただし、法令の規定に基づいて各大学が個別に、「文部科学大臣の定めるところにより、高等学校を卒業した者、中等教育学校を卒業した者等と同等以上の学力があると認められる者」として、朝鮮学校の高級部(朝鮮高級学校)の課程を修了した者に出願資格を与えることがある。私立大学や公立大学は認めている学校が多いが、国立大学は認めていない。よって日本の定時制高等学校へのダブルスクールや高等学校学力検定試験(高検)の合格により大学等に進学しているのが現状である。
また、中級学校卒業後の私立・公立高校への進学は都道府県および各私立学校の判断により認めているところがある。
教育課程
朝鮮学校においては、北朝鮮寄りで日本の検定教科書ではない独自の教科書(学友書房が発行)が用いられており、文部科学省が示す学習指導要領に沿った内容ではない。校内では授業はもちろん日常会話も朝鮮語が使われ、日本語は外国語教科として教えている。内容は日本の国語教科書に出てくるものとほぼ同じである。
朝鮮学校における教育内容に対して、北朝鮮における教育と同様に金日成・金正日親子を神格化しているという批判や、北朝鮮の立場を盲目的に支持する傾向・反日的傾向があるとの批判がある。このような批判は長らく在籍者や保護者などから出てきていた。また、これらの要望に朝鮮学校側が応えなかったこと、学費無料の公立学校に通わせる保護者が増えたこと、進学の面で不利になる朝鮮学校を忌避する傾向が出てきたことにより朝鮮学校在籍者数・割合ともに減少し、財政基盤の悪化により各地で学校の休校(廃校)・統合が相次いでいる。
現在新カリキュラムに移行しており、かつてより北朝鮮よりの度合いは低減したとされる。また、教室にある金親子の肖像も初級・中級学校では取り外す学校も出てきているようである。
運営資金
資金については各地方公共団体がある程度助成しているが、朝鮮半島からの支援の滞りによって資金難に陥り、朝鮮学校関係者は日本政府にも資金援助を求めている。また、近年では生徒数の減少のため各地で休校が相次いでおり、在日朝鮮人の間では民族教育の途絶が危惧されている。
在日朝鮮人や朝鮮総連によれば「朝鮮学校に対する日本政府の助成金は全面的に支出されていない。これは民族教育に対する差別であり、それにより朝鮮学校は慢性的な運営資金難に陥っている」と主張しているが、日本国憲法第89条において、公金その他の公の財産は、公の支配に属しない教育の事業に対して、支出しまたはその利用に供してはならないとされており、助成金の支出はこの規定と緊張関係にある。
現在の私学校に対する助成金は、学校教育法をはじめとする各種法令・基準を遵守することにより、対象となる学校が公の支配の下に置かれている、という解釈から支給されると通則的に考えられている。在日朝鮮人や朝鮮総連は「朝鮮学校で施される教育の内容と質は『1条校』と比べて遜色がない」と主張するが、問題にされているのは教育の内容ではなく、「公の支配」の下に属しているか否かであり、「国公私立を問わずほとんどの大学が受験資格を認めている」「多数の地方公共団体において独自の教育助成金を交付している」という在日朝鮮人や朝鮮総連による各種の主張が国政レベルで完全に認められるのは難しいといわれる。
地方公共団体の補助金は、教育を受ける在日朝鮮人本人またはその家族に対する支援として支出している例が多く、日本国憲法第89条の解釈問題があるため、朝鮮学校を設置する学校法人に対して助成金を支出している地方公共団体はあまり多くない。参考:平成15年度の各都道府県の補助額(朝鮮学校以外も含んだ数字)
また、朝鮮総連は、外国人学校(民族学校)に対する寄付金を税制上損金扱いとしないことに異議を唱えているが、外国人学校を設置しているかどうかを問わず、学校法人に対する寄付について損金扱いが認められるためには、一定の手続きが必要とされている。[1]
朝鮮学校が慢性的な運営資金難に陥っているのは、あまりに偏った教育内容に対する在日朝鮮人の反発と、それに伴う生徒数の減少に根本的な原因があると見る批判も多く、財政的にきわめて厳しい状況にあるといえる。
制服
男子生徒の制服は、中高生用として、ごく一般的な意匠の学生服が採用されていることが多い。
女子生徒の制服として、かつては民族衣装のチマチョゴリ風制服の着用が一般的であったが、1994年5月から6月にかけて発生したチマチョゴリ切り裂き事件などを理由に、「生徒の安全を考慮した」として1999年4月より、多くの朝鮮学校で通学時のチマチョゴリ風制服着用が任意とされた。
一般的な校則ではチマチョゴリ風の第一制服とブレザーの第二制服が定められており、校内で前者、通学時に後者が使用される。しかし本人や家族の希望があれば第一制服を着用して通学することも可能である。女子制服については、女子生徒のみが民族の象徴を背負うのは男尊女卑的だという批判が、朝鮮学校の内外からあるという。
生徒数
1970年代初頭には4万6000人を数えた全国各地の朝鮮学校の生徒数は、2004年度には1万1500人まで落ち込んでいる。また、朝鮮籍子弟が朝鮮学校に通う割合も年々減少し地域によって差があるが1~3割といわれている。(生徒数に関する出典:堺市議会議員、水ノ上成彰氏の朝鮮学校問題に関する資料のページ)
進路
高級部卒業後の進路は、主に朝鮮大学校進学、一般の大学等に進学、就職である。就職の場合朝鮮総聯の関連団体や在日コリアン経営の企業への就職が多い。進学の場合は各校によって差はあるが例を挙げると九州朝鮮中高級学校の高級部卒業生のうち朝鮮大学校への進学は25%その他の学校50%である。[2]朝鮮大学校卒業者の場合各地の朝鮮学校教師になるものもいる。
教員
基本的に朝鮮学校の教員は、各種学校扱いである朝鮮大学校の教育学部を卒業した者がなれるとしているので当然のことながら正規の教員免許を所持していない。よって一条校認可以前に教員免許を所持する教員の確保の問題が発生することはあまり知られていない。
学校種別
大学校
朝鮮大学校は、大学水準の教育を行っている。大学の認可はされていないため、法的には各種学校である。なお、朝鮮大学校の設置者は、日本国の私立学校法に基づく学校法人東京朝鮮学園である。
ちなみに、韓国の光州には、私立の4年制大学として「朝鮮大学校」が存在するが、当然ながら全く関係はない。
高級学校 15歳から18歳までの生徒が在籍する。高校にあたる3年教育。各学校では高級部と呼ばれる。
中級学校 12歳から15歳までの生徒が在籍する。中学校にあたる3年教育。中級部と呼ばれる。
初級学校 6歳から12歳までの児童が在籍する。小学校にあたる6年間教育。初級部と呼ばれる。
幼稚班 幼稚園にあたる。学校の附設になっていることが多い。
都道府県別学校一覧
北海道
- 北海道
東北
- 宮城県
- 福島県
関東
- 東京都
- 東京朝鮮中高級学校
- 東京朝鮮第一初中級学校
- 東京朝鮮第四初中級学校
- 東京朝鮮第五初中級学校
- 西東京朝鮮第一初中級学校
- 西東京朝鮮第二初中級学校
- 東京朝鮮第二初級学校
- 東京朝鮮第三初級学校
- 東京朝鮮第六初級学校
- 東京朝鮮第九初級学校
- 神奈川県
- 埼玉県
- 千葉県
- 茨城県
- 群馬県
- 栃木県
中部・北信越
- 愛知県
- 愛知朝鮮中高級学校
- 東春朝鮮初級学校
- 名古屋朝鮮初級学校
- 豊橋朝鮮初級学校
- 愛知朝鮮第七初級学校
- 愛知朝鮮第九初級学校(休校)
- 静岡県
- 長野県
- 新潟県
- 福井県
- 岐阜県
- 三重県
近畿
- 大阪府
- 兵庫県
- 京都府
- 滋賀県
- 和歌山県
- 奈良県
中国
- 広島県
- 岡山県
- 山口県
- 島根県
- 山陰朝鮮初中級学校(岡山朝鮮初中級学校に統合)
四国
- 愛媛県
九州
- 学校によって幼稚班を併設している所がある。また、統合は実質的な休廃校である。