日本プロサッカーリーグ (社団法人)
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社団法人日本プロサッカーリーグ(しゃだんほうじん にほん-)は、日本におけるプロサッカーの試合運営を主な目的とする団体である。法人略称としてJリーグが用いられる。
以下、本項目では「社団法人としての」Jリーグを「プロサッカーリーグとしての」Jリーグと区別するため、頭に(社)を付ける。
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[編集] 組織概要
(社)Jリーグは、日本サッカー協会の下で、1991年に設立された。日本におけるプロサッカーリーグの運営に加え、サッカーを核として国民に広くスポーツ振興を行うことを主な目的としている。
構成員は正会員、準会員、賛助会員、名誉会員に大別され、最高議決機関である総会への出席・投票権は正会員のみに与えられる。また総会において理事が選出され、業務執行のために理事会を構成する。
[編集] チェアマン
法人運営の最高責任者は正式には理事長と呼ばれるが、初代の理事長であった川淵三郎の発案により、チェアマンという通称が併せて用いられることとなった。チェアマンは理事会の互選によって決定し、2年(ただし決算期までとなる)を1期として再任可能となっている。
チェアマンは理事会の議長を務めるのみならず、(社)Jリーグを代表する者として表彰式その他の式典への出席、上位組織である日本サッカー協会への関与など、様々な業務を行う。
- 歴代チェアマン
[編集] (社)Jリーグへの入会
正会員にはJリーグディビジョン1(J1)会員とディビジョン2(J2)会員があり、参加するリーグ戦が異なる他、会員資格要件や総会における票数にも違いがある。
リーグ戦やカップ戦に出場するためには、同法人の正会員となる必要となる。入会を希望する組織がおおよそ以下の条件を満たし、経営能力や地元自治体のと協力関係に問題が無いと判断されれば、入会が認められる(ただし、最終的には理事会の承認事項となる)。
- サッカーチームの保有組織が公益法人または株式会社である
- プロA契約選手を15名以上保有している
- 監督として日本サッカー協会公認S級コーチ資格を持つものを置く
- リーグ戦、カップ戦への出場を前提としたトップチームに加え、Jサテライトリーグに参加するチームも編成可能である
- 日本サッカー協会チーム登録種別第1種から第4種までのチームをすべて有する
- ホームタウン内に、定められた基準のホームスタジアムを確保できること
なお2006年現在、新規入会する場合は原則としてJ2会員としての入会となり、以下のように条件の追加・緩和がなされている。
- JFL(日本フットボールリーグ)の加盟クラブである
- JFLにおける年間順位が原則として2位以内である
- 公益法人または株式会社としての設立後、最低1年を経過している
- プロA契約選手の保有数は5名以上でよい
- 第2種以下のチーム整備については、入会後3年間の猶予が与えられる
- ホームスタジアムの基準が緩和される
[編集] J1への昇格
更にJ1リーグに昇格する場合は、J2で上位3位以内(2位以内で自動昇格、3位の場合はJ1・J2入れ替え戦勝ち上がりが条件)の成績を挙げた上で、以下の条件をクリアしなくてはならない。
- 第1種プロ選手登録A契約選手15人以上を保有すること。
- スタジアムは座席で15000人以上(芝生席を除く)収容で、かつ夜間照明設備、常緑の天然芝を持った105×68mのピッチを持っていること。
- ジュニアユース(中学生)、ジュニア(小学生)クラスのチームを保有すること。(J2参戦3年未満であってもJ1昇格の場合はその昇格年度までに必ず設けること。但し、ジュニアについては、その年代に対するサッカースクール等の活動を行っていれば必要ない)
[編集] J1・J2の将来像
- 1部(ディビジョン1)のチーム数については、協会内外で様々な議論がある。主要先進リーグでは20チーム制が主流であり、日本も20チームを目指すべきという議論もあれば、Jリーグ構想が手本とした一つであるドイツ・ブンデスリーガは18チーム制であり増やす方針も無いことから、これに習い18チームとするべきという議論もある。
- また、J1では、2006 FIFAワールドカップの日本代表の予選リーグ敗退の教訓としてJ1のチームに外国籍枠を1つ増やし、ベンチ登録上最大4人、チーム登録上最大6人にすることが課題になるだろう。
- 2部(ディビジョン2)のチーム数については、22チーム以上にすることが協会側の構想である。2006年現在13チーム4回戦で実施されるが、これからチーム数が増えていくと、年間節数が増えすぎ、平日試合が常態化し、日程が過密化してしまう。対策としては、3回戦または2回戦リーグにするしかないが、4回戦から急に2回戦に変更すると、クラブのホーム試合数すなわち営業機会が激減し、クラブの経営を大きく圧迫する可能性が高くなる。そこで、ホーム試合数の急激な減少を避けるために、J2のチーム数が15~18の発展途上の時期は、3回戦リーグ形式で行う提案がある。3回戦リーグでは、ホームアンドアウェーの原則が変則的になり公平性を保ちづらくなるが、クラブが急に多くの営業機会を失うよりも、経営上のリスクは圧倒的に少ないというものである。
- J2発足当初、J2のチーム数が16チームになったときに、JFLとの入れ替え戦を行う方針であったが、J2およびJFLが十分に成熟(チーム数が増加)した後に導入するのが妥当であるという方針に転換したため、当分の間は行われない見込みである。
- Jリーグ2部以下に、サテライト(二軍)のチームを参加させることを提案するチームがある(横浜F・マリノスなど)。これはスペインリーグやオランダリーグ(別チームと提携という形)などで行われている方法であり、古くは日本サッカーリーグでも行われていた。現在のJリーグでは、サテライトリーグが存在する。これはFAプレミアリーグなどでも行われている、二軍専用のリーグである。
[編集] 経営・運営の特徴
[編集] 放映権管理
放映権はJリーグが一括して管理・販売し、それによって得られた放映権料を各クラブに分配している。これはNFLのようなアメリカのプロスポーツに倣った手法である。この手法を採る狙いは
- リーグ全体として考えると最も高額で放映権が売れる
- 放映権料収入によるクラブ間の資金格差を減らす
- リーグが販売をすることにより各クラブの手間(負担)が減る
- 販売側の窓口の一本化によりテレビ局側が買いやすくなり、より多く売れる
- 交渉術の未熟なクラブの放映権が安く買い叩かれる事を防ぐ
等であると考えられる。 Jリーグ開幕当時、これらの狙いが評価される事は少なく、放映権料のチーム管理を主張するヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ1969)の母体である読売新聞との対立の焦点ともなったが、クラブ数の増大・CS放送の普及という時代の変化や、放映権をチームが個別管理しているプロ野球の資金力・戦力・権力の一極集中による弊害・欧州のサッカークラブに見られた放映権バブルとその崩壊が明らかになり、近年では適切な手法であったとの評価がされている。ちなみにその放映権料は、2002-2006年の5年間は年間約50億円(総額約250億円)となっている。
- ※併せて放映権 (サッカー)の項目も参照されたい。
[編集] 人材育成
Jリーグの特徴として人材育成に力を注いでいる点が挙げられる。
[編集] 選手育成
Jリーグへの参加には、各クラブに対し下部組織(ユース/高校生年代・ジュニアユース/中学生年代・ジュニア/小学生年代)を整備して選手を育成する事を条件としており、1993年の開幕時から加盟全クラブが選手の育成を行っている。2002年からは「Jリーグアカデミー」と呼ばれる、スポーツ・サッカーと触れる機会の創出やプレー環境の整備を目的とした組織が創設され、人間教育・メディカル体制の整備・地域とのネットワーク作り・育成データベースの作成などにより一層充実した育成環境の構築を目指して各クラブを拠点に活動が開始されつつあり、将来的には全てのJリーグクラブでこのJリーグアカデミーと呼ばれる活動を行う予定である。
[編集] 指導者育成
現役選手を対象とした指導者養成講座を開催し、引退後の指導者への転身をスムーズに行えるようにしている。
[編集] 審判育成
Jリーグの試合で審判(主審・副審・第4審)を担当する場合、基本的には日本サッカー協会第1級審判員資格を保有することが義務付けられている。(但し海外のリーグ戦での経験と照合した上で、第1級審判員相当の資格を持っている場合は、日本協会の承認を得て例外として審判として出場することが可能である)
Jリーグ発足以来、審判員は副業(会社員、学校教員など)を持ちながらこなしていたが、よりプロリーグらしく国際的な審判員を育成・強化させることを目的に2002年10月に、日本サッカー協会・審判委員会のセクションに「Jリーグ対応セクション」を新設し、毎週火曜日を原則とした審判員ミーティングの他、従来からの審判員を対象とした合同研修会、主審・副審のそれぞれの研修会の他、将来的にJリーグの審判員を目指す一般人を対照にした審判員育成・Jリーグコースに育成が実施されている。
また、2002年から試合での審判実績を持ち、高い技術力を継続的に発揮できる審判員を対象として「スペシャルレフェリー制度(審判の活動を収入の中心とする審判員)」を新設し、2005年度時点で6人がスペシャルレフェリーとして登録・認定されている。
[編集] ゼネラルマネージャー育成
1999年より「クラブマネジメント」「マーケティング」「チームマネジメント」の三つのカリキュラムで構成される「ゼネラルマネージャー講座」を開設し、国内外から大学教授・研究者・強豪海外クラブのGMを講師として招いて組織的なゼネラルマネージャーの養成を行っている。
[編集] スポーツ振興
日本に於ける多くのスポーツ団体の活動目的がが大会(試合)の開催・競技レベルの向上・普及活動などであるのに対し、Jリーグでは理念の一つに「豊かなスポーツ文化の振興及び国民の心身の健全な発達への寄与」を掲げ、サッカー以外のスポーツ活動に対する支援をしている点が特徴として挙げられる。具体的活動としては、Jリーグとサントリーとの共同企画である「サントリー・Jリーグ スポーツクリニック」や、Jリーグに参加する各クラブが自主的・主体的に行うサッカー以外のスポーツ振興活動への資金支援などである。資金支援には2006年度で年額4100万円(当初の3500万円から増額)が予算として計上されており、クラブは経費の一部をJリーグから支援で賄う事ができる。過去に支援された活動はテニスやバレーボールなどのスポーツ教室の開催、バスケットボールやマラソンなどのスポーツの大会の開催、クラブ傘下のソフトボールチームやトライアスロンチームの運営など様々である。(2006年支援ガイドライン、2006年第二期支援)
[編集] キャリア支援
Jリーグでは選手の現役時代及び引退後の生活の充実と安定を目的にJリーグ内に2002年4月よりJリーグキャリアサポートセンター(CSC)を設立し各種支援を行っている。日本のスポーツ団体でこの様な組織を整備しているのはJリーグのみであり特徴と言える。CSCの活動内容は以下の二つに大別される。
[編集] キャリアデザイン支援
主に現役期間中に行われるスキルアップ、及びその必要性の周知活動。他の分野へ転身したJリーグOBを各クラブに派遣し体験談等を伝える事による意識の啓発、「税務講座」「コミュニケーション&マナー研修」「パソコン講座」「英会話教室」等を各クラブのクラブハウスへ出張して行うスキルアップ支援、オフ期間を利用し一般企業での職業を経験する「インターンシップ」の斡旋などである。
[編集] セカンドキャリア支援
選手の現役引退後の第二の人生、所謂セカンドキャリアへのスムーズな移行の為の支援。「進路相談」、適性検査・情報提供・面接準備などを行う「就職支援」「就学支援」、独立や開業に関心を持つOBにそのノウハウを提供する「独立・開業セミナー」の実施などである。また大学との入試に関する協力関係も模索しており、現状では法政大学キャリアデザイン学部と社会人推薦入試に関する協定を締結している。法政大学リリース
[編集] 支援企業
(社)Jリーグは、その主目的であるサッカー試合の運営やスポーツ振興などを実施するにあたり、さまざまな企業と提携している。なお、リーグ戦およびカップ戦のスポンサー企業については、当該項目を参照のこと。
[編集] ネットワークパートナー
[編集] ゴール部90度システムスポンサー
- サントリー(ホームスタジアム開催はメインスタンドから向って左側、それ以外は右側も)
- NTTコミュニケーションズ(ホームスタジアム開催限定 メインスタンドから向って右側)
- ※ゴール部90度広告とは、看板を立てることができないゴール両脇に、扁平に印刷された広告布を敷くことによって、テレビを通してみると通常の広告と同じに見える効果がある広告である。F1のコーナー部広告で発案された手法である。
[編集] Jリーグ百年構想パートナー
[編集] Jユースカップスポンサー
[編集] スポーツ振興パートナー
- 日本スポーツ振興センター(スポーツ振興くじ=toto主催)
[編集] エクイップメントサプライヤー
- モルテン(公式試合球を提供)