悪魔の飽食
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『悪魔の飽食』(あくまのほうしょく)は、小説家の森村誠一が下里正樹の取材に基づいて著した。「ノンフィクション作品」とされている。日本共産党機関紙の赤旗日曜版で1980年代に連載され、後に光文社より単行本として刊行された。単行本はベストセラーとなり、続刊も執筆されるに至った。
旧満州国で731部隊が行っていたという人体実験の実態を詳しく描いており、話題を呼んだ。本著は、731部隊を初めて一般に知らしめた著作であり、国内で広く731部隊の存在が認識されるターニングポイントとなった。本著以前においては、石井四郎を初めとする旧部隊関係者の強い結束と、医学界中枢に食い込んでいた旧部隊研究者達の圧力により、帝銀事件などの例外を除き、731部隊の存在が語られることは皆無であったとされるが、本著以降、731部隊に関する、賛否さまざまな視点からの著作が発表される事となる。
この作品を元にした、混声合唱組曲(池辺晋一郎作曲)・劇も作られ、劇を元に中国では映画が制作された。しかし、旧日本軍を非人道的として告発する内容であり且つ、後述されるように「ノンフィクション作品」としては致命的な問題点が多く見られる為、「プロパガンダ小説」であると強く反発する人々も多い。
論議
元隊員であったという人物から提供されたとする写真を、新発見として続刊に掲載したところ、その大半が偽物であることが判明した。この問題により光文社版は続刊を含むすべての版が回収され、絶版となった。その後、問題写真を削除した上で、角川書店より新たに出版された。
また、初版とそれ以降の版を比べると、矛盾していた証言が整合性を持つように変更されているなどのの差異があるが、ノンフィクションとされているにも拘らずそれらの変更点、およびその理由は一切明示されていない。
批判
批判派からは、以下の点が問題であり信憑性に疑いがあるとされている。
- 関係者はすべて匿名であり、その証言の裏付けがとれない。
- 731部隊に関する資料をアメリカが回収し、公開していないため検証不能。
- 二転三転する証言により、証言者の信頼性に疑問符が付く。
- 戦後に関係者から証言を引き出したハバロフスク裁判自体が法学者によって否定されている。
- 日本共産党の協力の下で作成されたため、信頼性に問題がある。
シリーズ
- 悪魔の飽食
- 続・悪魔の飽食
- 新版悪魔の飽食
- 悪魔の飽食―第七三一部隊の戦慄の全貌!
- 悪魔の飽食(第3部)