座席指定券
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座席指定券(ざせきしていけん)とは、座席を指定することによりその座席を確保する権利をもつ証券の一つである。 一般的には、交通機関やホール・劇場等で、日時や座席を指定して発行される切符を指す。
公共交通機関の場合、定員以上の乗客を乗せる事を(一応)法令上禁じている。従って、それ以上の乗客があった場合、ないしはそれを見込まれる場合に発行する。発行の可否は最終的には当該交通機関運営者に委ねられているが、交通機関運営者が認めた場合に、1人ないしは1組を以て1つの座席を指定して発行する。
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[編集] 鉄道の座席指定券
鉄道の場合、座席指定の有無は一般には問わないが、列車の種類ないしは予定の有無により発行される場合がある。
普通列車の場合、一般に列車・座席の指定をされないが、団体旅行の場合や一部の観光列車の場合には列車・座席の指定をされることが多い。団体旅行の場合では構内整理などのためであるが、一部の観光列車の場合には「座席の確保」という点でサービスと見なされ、これの対する対価として徴収する場合が多い。
[編集] JR
JRの場合、新幹線含む特急列車に対する座席指定料金は、時期によって繁忙期・通常期・閑散期の3種類が存在する。詳細は「閑散期・繁忙期」(「特別急行券」の項)を参照されたい。
JRの急行列車ならびに普通列車(快速列車なども含む広義の意味での「普通列車」)の座席指定料金は、1958年に設定された。但し、それ以前より以下の列車・車両については、以下の通りの事情があるため、座席指定制を採用していた。
- 寝台車・・・座席として1人用の寝台を使用する性格から共用が事実上不可能。
- 補足として、開放式の2人用寝台が制定時には使用されていないことによる。個室で定員2名のものは存在したが、1つのベッドを2人で使用するものではない。また、小児との共用は認められていた。寝台券参照のこと。
- 一部の急行列車に連結されていた特別二等車(現在のグリーン車)・・・座席自体の希少性による。
- 特別急行列車・・・設定当時より、速達性の重視した列車であり、それに対応する設備を有する車両・座席の希少性及び長距離輸送を前提とした近距離・中距離利用者の分離。
設定当初は、観光列車における座席の保障のために発行された。当時は3等級制度を採用していたが、一般に広く連結されていた二等車及び三等車に設けた。設定当初は二等車と三等車(1960年より一等車・二等車)とで料金に差があったが、1969年の等級制度廃止により一等車の後身であるグリーン車では設定されず、普通車のみの適用となり、金額は制度上一元化された。
1974年になり、地域・時期による格差を導入、通常期・閑散期の制度もその際に制度中に含まれた。JR分立後もこの料金制度をそのまま基本的には引き継いでいるが、JR九州が蒸気機関車牽引による列車運行を始めた際にSL列車については割高に設定しているなど、各会社によりすこしづつ変更をされていている。
- 2004年現在の料金
- JR東日本・JR東海・JR西日本・JR四国及び複数のJR会社にまたがる場合。
- 510円(「閑散期・繁忙期」(「特別急行券」の項)中の通常期・繁忙期間中)
- 310円(「閑散期・繁忙期」(「特別急行券」の項)中の閑散期間中)
- JR九州が自社線内で運行するもので指定した一部の列車(「なのはなDX」・「いさぶろう」・「しんぺい」)
- 500円(「閑散期・繁忙期」(「特別急行券」の項)中のJR九州の通常期間中)
- 300円(「閑散期・繁忙期」(「特別急行券」の項)中のJR九州の閑散期間中)
- JR北海道・JR九州のSL牽引列車。
- 800円(通年)
- 上記の列車を除くJR北海道・JR九州の列車。
- 300円(通年)
[編集] 私鉄
私鉄の場合、特急ないしは急行列車を設定してる会社の内、大部分がその料金中に包含されるが、例外的にこれを名乗る場合がある。
- 例として、以下のものがある。
- 東武鉄道
- 名古屋鉄道
- 名古屋鉄道の快速特急・特急の「特別車両券」(ミューチケット)は、1999年まで「座席指定券」と称していた。「座席指定制」が好評を得てきたため、現在もこれが原則であるが、制度改正により、利用実態に合わせた柔軟な運用を行えるようにした。
- 特急列車関連記事も参照のこと。
- 南海電気鉄道
- 南海電気鉄道の場合、南海本線特急特急「サザン」のみがこの扱いを行っている。但し、名義上、「座席指定券」と称している。
- なお、高野線特急「こうや」・「りんかん」や空港特急「ラピート」については運行当初より全車座席指定制を採っている。
[編集] バス指定券
バスの場合、一般に保安上高速バスについて座席指定制を採用する場合が多いが、指定料金を運賃に含む方式となっており、指定券制度は希少である。しかし、一部のバス路線ではこれを追加する形で座席確保を行うものもあった。
その例として、国鉄が運行した国鉄バス並びにJRバスで発行された「バス指定券」があった。しかし、2001年の松山高知急行線の急行バス「なんごく号」の廃止により適用される例はない。現在、十和田北線「みずうみ号」で適用されているのは、バス指定券となっているが、0円で発行しており、発車前に乗車人数を把握するため(乗客数動向で増車を検討する)の乗車整理券と考えた方がよい。
[編集] 参照
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