岩手銀行
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岩手銀行のデータ(2006年3月末現在) | |
統一金融機関コード | 0123 |
SWIFTコード | BAIWJPJT |
頭取 | 永野勝美(ながの かつみ) |
店舗数 | 110店 |
設立日 | 1932年5月 (岩手殖産銀行) |
資本金 | 120億円 |
従業員数 | 1,474名 |
総資産 | 2兆3,455億円 |
預金残高 | 2兆1,127億円 |
貸出金残高 | 1兆2,247億円 |
本店 | |
所在地 | 〒020-8688 |
盛岡市中央通1丁目2番3号 | |
電話番号 | 019-623-1111(代表) |
外部リンク | 公式サイト |
株式会社岩手銀行(いわてぎんこう、THE BANK OF IWATE, LIMITED.)は、岩手県盛岡市に本店を置く地方銀行。通称は「いわぎん」(「がんぎん」とはほとんど呼ばれない)。金融恐慌で破綻した盛岡銀行などの救済のため、岩手県の出資で設立された。岩手県ではトップシェアを誇る。企業スローガンは「進めています、新しい岩手銀行。」。
管轄税務署は、盛岡税務署である。
目次 |
[編集] 概要
勘定系システムは、NTTデータ地銀共同センターを利用している(2005年1月4日より)。
「石橋を叩いて渡らぬ岩手銀行」とも呼ばれるほど堅実な経営で知られ、バブル期にも積極的な貸し出しには慎重だったことから、バブル崩壊後に大きな不良債権を抱えることなく安定した企業経営を続けることができたため、ビジネス誌の金融機関ランキングでは上位に名を連ねる常連であった。近年は順位を落としてきているものの、それでも高水準をキープしている。
最近では仙台圏に力を入れはじめ、2004年4月1日には仙台支店が入居するビル(仙都会舘)の2Fに法人部局の仙台営業部(口座店は従来からある仙台支店扱い)の設置(しかし、同一地による重複事業の合理化を理由に2006年4月1日付で仙台支店に統合され、仙台支店を仙台営業部に改称している)を行ったり、泉中央地区にローンプラザ併設の支店を設置(2005年6月13日より)したりした。
2005年7月1日より八戸支店を八戸営業部に昇格させ、八戸市内の支店を八戸営業部を母店とするエリア体制に移行した。その一方で、2002年9月20日で不採算店舗の札幌支店を廃止(盛岡市の本店営業部へ業務継承)し、北海道からは撤退している。かつては大阪市にも店舗を持っていたが、2003年12月10日をもって大阪支店を廃止(東京支店へ業務継承)し、大阪府からも撤退している。 2006年8月には、営業部を母店としてエリア制をしく仙台・八戸地区の支店と、東京支店を除く岩手県外支店を法人向けの支店にシフトし、各支店のリテール要員を岩手県内の支店に引き揚げさせ、補充要員として、中小企業融資を得意とする要員に入れ替える方針が日本経済新聞等で報じられた。
インストアブランチとしては、盛岡市前潟の「イオン盛岡支店」がある。これは、近隣(盛岡インターチェンジ付近)に銀行の店舗が全くないことから、イオン盛岡SCの開業時に進出したものである。以前にも同様な店舗として盛岡市三ツ割にロッキー球場前店(スーパーマーケットのジョイスが運営)内の「ロッキー球場前出張所」があったが、不採算のため2006年9月22日の窓口営業終了後をもって母店である本店営業部へ統合され(統合日:2006年9月25日)、ATMも撤去された。
[編集] 歴史
盛岡銀行は、盛岡の実業家が興したものの、後に金融恐慌で破綻し、のちに設立される現在の岩手銀行へ継承された。その間、岩手県の公金取扱いを仙台市の七十七銀行が行なったことがある。 陸中銀行は、旧盛岡藩士の出資による「国立第九十銀行」の流れを汲むため、長らくその本店を関連会社「いわぎんリースデータ」社屋として1992年まで使用していたが、盛岡市に移管され、2002年から「もりおか啄木・賢治青春館」として開放されている。 陸中銀行は1941年に、旧一関藩士の出資による国立第八十八銀行、および岩手銀行と合併して成立したが、岩手貯蓄銀行との合併を経て、1960年に改めて「岩手銀行」とした。
[編集] 沿革
- 1932年5月2日 株式会社岩手殖産銀行として設立。
- 1941年8月16日 株式会社陸中銀行と合併。
- 1943年1月1日 株式会社岩手貯蓄銀行と合併。
- 1960年1月1日 株式会社岩手銀行に商号変更。
- 1982年 創立50年
- 1989年8月1日 ディーシーカードと共同でいわぎんディーシーカードを設立。
- 2006年 正月3が日におけるATMの稼働を始める(それまで正月3が日は休止だった)。
[編集] 勘定系システムとATMベンダ
2005年の年明けから、勘定系システムはNTTデータ地銀共同センターを利用している。この移行の際、定期預金の記帳に不具合が生じたことが同年3月になって発覚し、普通預金・貯蓄預金(定期預金を利用していない総合口座通帳、定期預金・積立預金を利用していないイーハトーブ口座を含む)を除く通帳すべてが交換対象となった。
また、システム移行に伴い、従来普通預金・貯蓄預金の入出金時に支店コード・利用機種番号と時刻(他行利用時はACSまたはMICSの表示と金融機関コード・支店コード)が表示されていたが、これらが、移行により「ATM入金」、「ATM出金」、「提携ATM」の表示に変更になり、利用店が一切通帳から分からなくなった。時間外・提携手数料の表記も引き出し額との合算額の表示から引き出し額と手数料が2行に分かれて表記する形に変更になっている。そのため、岩手銀行ユーザの中のめぐマニアから惜しむ声もある。また、毎年5月1日と11月1日付で表示されていた、「いわぎんグリーンポイント倶楽部」の適用ポイントもこのシステム移行後は通帳に記入されない。
貸越時の表示も、従来は赤字での印字であったのがマイナス表示に変更されている。
ATMベンダは従来から富士通のものが主流だが、一部の支店では東芝(後に東芝のATM事業については沖電気に事業譲渡)やオムロン及びLeadusを採用している。
岩手県内に本店を置く銀行で唯一、ATMによる硬貨の取り扱いをしている(本支店内ATMに限る)が、硬貨の取り扱いについては現金による振り込みに限られる(硬貨を伴う入金はできない)。なお、岩手県内に本店を置く他の金融機関では二戸以外の6信用金庫(盛岡・宮古・一関・北上・花巻・水沢。いずれの場合も現金による振り込みの取り扱いのみだが、北上信用金庫についてはそれに加えて、同信金の顧客に限って硬貨による入出金も取り扱う)と岩手県内のJAバンク(農協・岩手県信連)の一部(硬貨の取り扱いについては岩手県内のJAの貯金者に限られる)にとどまっている。
因みに、岩手銀行の通帳は、他行の通帳より横幅がある。
[編集] 総合口座通帳の利用可能科目
岩手銀行の場合、総合口座通帳は3種類あり、「総合口座」(普通・定期)・「新総合口座イーハトーヴ」(普通・貯蓄・定期)・「新総合口座イーハトーヴ積立型」(普通・貯蓄・定期・積立)となっている。
ただし、「新総合口座イーハトーヴ積立型」利用時の積立預金はATMでの利用ができないため、窓口での対応となる。
「イーハトーヴ」利用者は、通帳同様、オリジナルデザインのダブルストライプカードが発行される。
[編集] インターネット専用口座(無通帳口座)
2006年10月より、インターネット専用口座(無通帳口座)の取り扱いを開始した。総合口座の扱いができないため定期預金の預入ができない(普通預金のみの扱いとなる)。利用者はキャッシュカードとインターネットバンキング等で取引を行う(ただし、この口座を代表口座にした場合のいわぎんダイレクトの利用手数料は無料となる)。口座開設店は本店営業部の扱いとなるが、従来から他支店に開設していた口座から切り替えた場合には、本店営業部に移管されるケースとそうでないケースがある。
[編集] ATM相互無料開放
同行のATM(該当行庫以外が幹事金融機関とする共同店舗は除く)では、北東北の青森銀行・秋田銀行との提携による「AAIネット」、宮城県に本拠を置く仙台銀行との提携による「グリーンネット」、青森県八戸市の八戸信用金庫との提携による「IHネット」を、それぞれATM相互出金手数料無料提携を行っている(詳細は当該項目を参照のこと)。
[編集] 郵便貯金ATMとの提携について
長らく「郵便貯金は民業圧迫」という意識があるせいか(関係の深い旧東京三菱銀行も同様であった)、2000年あたりから他の地銀の多くや県内の信用金庫・JAバンクなどが郵貯ATMとの提携を始める中で、岩手銀行は頑なにその提携を拒み続けていた。
2004年1月20日のニュースリリースで、ようやく郵貯ATMとの提携を始めると発表があった。ただし、当時は勘定系システムのNTTデータ地銀共同センターへの移行後の状況が安定する目処が立つ時期として、2005年10月に提携開始すると発表していただけで、具体的な事項についてはその1年9ヵ月後まで明らかにされなかった。(この間に、旧東京三菱銀行は2004年12月にようやく都銀で最後となる郵貯ATMとの提携を開始した)
そして、2005年10月11日のニュースリリースでの発表を経て、地方銀行64行中63番目となる郵貯ATMとの提携が2005年10月17日から開始された。
取り扱いは入金・出金・残高照会となる。双方向共に平日08:00~21:00(時刻はJST、以下同様)、土曜日・日曜日・祝日09:00~17:00に利用できる。ただし、双方向ともに入金・出金とも手数料がかかる。(郵貯ATMでの利用手数料を自行と同様のレベルにしている北日本銀行とは違い、この点にやはり郵貯に対する対抗意識が残っているようである)なお、岩手銀行口座で郵貯ATM利用の場合土曜は終日210円の手数料がかかる(逆は14時までは105円)。
ちなみに、これにより民間銀行(個人がキャッシュカードのある口座を作れる普通銀行)の中で郵貯ATM非提携なのは筑邦銀行だけとなったが、その筑邦銀行も、現在、郵貯ATMとの提携に向けての調整に入っている(郵貯ATMとの提携は、既に都市銀行・第二地方銀行・信用金庫・JAバンク・JFマリンバンク・労働金庫などについてはほぼすべて提携が完了しており、残る信用組合(キャッシュカード発行信用組合)の一部などと言った他業態金融機関について、現時点では郵貯ATM非提携である)。
[編集] コンビニATM
2006年10月10日より、全国のセブン銀行ATM利用によるコンビニATMでの入出金提携を行うと同時に、岩手県内のセブン-イレブン(一関市に7店)とイトーヨーカ堂花巻店にもセブン銀行ATMが設置された(なお、同じ岩手県の東北銀行と北日本銀行では2006年11月20日より提携を開始された)。ただし、セブン銀行ATMにおいては入出金とも全時間帯で要手数料である(一部銀行が実施したようなATM利用手数料の期間限定減免キャンペーンも非実施)ほか、利用できる時間帯が同行ATMの最大営業時間<参照:平日8:00~21:00・土日祝9:00~17:00>と同様である。また「いわぎんグリーンポイント倶楽部」のATM出金手数料優遇(無料化)も適用されず、手数料面においては利用者のメリットはほぼ皆無である。しかし岩手県内でのセブン銀行ATMの設置分には限りはあるが、特に岩手県内などから仙台・東京方面などへの出張や旅行などの際に利用されることなども見込まれる。
[編集] ICキャッシュカードへの対応
2007年3月を目処にICキャッシュカードと生体認証機能の導入が決まった。今後対応したATMが各支店に最低1台は設置される予定である。 ICキャッシュカードは顧客の利便性を考慮して「磁気ストライプ」併用型を発行する予定で、従来からの利用者には無料で切り替えに対応する。イーハトーブ口座(貯蓄預金一体型)用のダブルストライプ型カードもデフォルトでIC対応となる。 生体認証機能については「指静脈方式」を採用、希望者にはオプションとして対応する。発行手数料と5年ごとの更新手数料がそれぞれ1050円かかる。
なお、セキュリティ対策の一環として2006年9月19日からATMロック・電子メール通知サービスを開始している。これは東北地方に本店を構える銀行としては初のサービスである。