太陽を盗んだ男
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『太陽を盗んだ男』(たいようをぬすんだおとこ)は長谷川和彦監督による、アクション映画の名作。1979年、キティ・フィルム製作、東宝配給。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] あらすじ
中学校で物理学を教える城戸誠(沢田研二)は茨城県東海村の原子力発電所からプルトニウム239を盗み出し、自宅で原爆を作る。その後、日本政府を脅迫するが、政府への要求が思いつかず、原爆を作る目的がなかったことに気がつく。最初の要求はたまたまその時見ていたプロ野球のナイターを最後まで中継させること。
城戸が取引きの相手に名指ししたのは、丸の内警察署の山下警部(菅原文太)。かつて城戸がバスジャック事件に巻き込まれた時、彼を救出したのは山下だった。城戸はアナーキズムの匂いのする山下にシンパシーを感じていたのだ。城戸は心の空白を埋めるために、山下は自らのプライドを賭けて、丁々発止の対決をくり広げる……。
[編集] 概要
本作品はその年のキネマ旬報第2位に輝き、監督の長谷川和彦は映画青年たちのカリスマ的存在となる。が、その後、長谷川は超大作『連合赤軍』を監督すると豪語したまま、現在に至るまで何の活動も行なっていない。
なお本作と直接関係はないが、東映のゼネラル・プロデューサーで「任侠映画のドン」である俊藤浩滋が青函トンネルを題材にした映画(結局廃案となる)の脚本を書けるライターを探しており、本作で意気投合した菅原は長谷川を推薦する。長谷川は北海道を東映の金で旅行、さんざん飲み食いをした後で脚本を持ってくるがその内容が「竜飛岬にUFOが降りてくる」という代物で俊藤は激怒したという。最近は、内縁の妻である室井滋との仲が時々週刊誌に取り沙汰されているにすぎない。
脚本のレナード・シュレイダーもまた、この後、キティ・フィルム製作の『ションベン・ライダー』を手がけたりしたものだが、今ではさっぱり名前が表に出ることがない。弟のポール・シュレイダーは最近でもマーティン・スコセッシ監督の『救命士』の脚本を手がけ、『ボブ・クレイン』では自らメガホンを取るなどして健在ぶりを示している。
また、本作の知名度の高さからか、2000年には人気ドラマシリーズの天国に一番近い男の第一シリーズ完結で「さらば天国に一番近い男 天国に一番近い男VS太陽を盗んだ男」というドラマが制作されている。
[編集] キャスト
- 城戸誠(沢田研二)
- 山下満州男(菅原文太)
- 沢井零子(池上季実子)
- 田中警察庁長官(北村和夫)
- 仲山総理大臣秘書(神山繁)
- 市川博士(佐藤慶)
- 交番の警官(水谷豊)
- サラ金の取立て屋(西田敏行)
- バスジャック犯(伊藤雄之助)
[編集] その他
- タイトルの『太陽を盗んだ男』はオリジナルストーリーを執筆したレナード・シュレイダーの妻チエコ・シュレイダーの発案。
- この作品では東洋工業 (現:マツダ)が制作に協力しており、劇中のナイター中継にファミリアのCMが挿入されたり、後半には首都高速でのサバンナRX-7のカーチェイスシーンも有名である。
- 劇中の原爆製造のシーンでは原爆が爆縮式(インプロージョン式)になっているが、爆縮式原爆の構造で極めて重要な部分である爆縮レンズの構造や数については触れられていない。則ち、全く同じ方法で製造してもプルトニウムがバラバラに飛散して周囲を放射能汚染するだけである。
- 冒頭のバスジャックシーンのクライマックスで伊藤雄之助扮するバスジャック犯は神風特攻隊の格好に日の丸鉢巻といういでたちで皇居に向かって手榴弾を投げるのだが監督の長谷川和彦が後に語った所によると「皇居前広場に無許可で忍び込んで一発取りしたいわばゲリラ撮影だった。」との事。それにしても宮内庁もよく問題にしなかったものである。ちなみに伊藤は西部警察の第2話「無防備都市・後編」でも当作と同じ出で立ちで特殊装甲車に乗り込み渡哲也扮する大門部長刑事率いる「大門軍団」と戦って“死亡”している。
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