地殻
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地殻(ちかく)は、地球の表面を構成する部分で、マントルの上位にあるもの。マントルは、地球規模でほぼ均質であるが、地殻には、大陸性地殻と海洋性地殻がある。
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[編集] 地殻の定義
地球を卵にたとえると、地殻は「殻」の部分に相当する(これはよく使われるたとえである)。学問的に言うと、地上または海底からモホロビチッチ不連続面までの層。
ただし学問的には、この「殻」には「地殻」と「リソスフェア」の2通りの呼び方があり、それぞれ少し異なる。
- 地殻とは地球化学的な観点から地球を深さごとに分けたうち、最も外側に位置するものである。地殻の下に位置するマントルがカンラン岩などの超塩基性岩から成るのに対して、地殻は花崗岩などの酸性岩・安山岩などの中性岩・玄武岩などの塩基性岩から成り、その違いから地殻とマントルを分けている。
- リソスフェアとは地球物理学的な観点から地球を深さごとに分けたうち、最も外側に位置するものである。すなわち、その下に位置するアセノスフェアとは異なり、冷え固まった岩石でできている層をさす。これはプレートともほぼ同義である。地殻に比べてリソスフェアのほうが若干厚く定義されており(しかし厳密に厚さが定義されているわけではない)、大陸の地下ではおよそ100kmとなる。リソスフェアは海底下では海嶺から遠くになるにしたがって、温度が下がって固まる岩石が増えるために厚くなるという特徴がある。
[編集] 地殻の構成元素
地殻の構成元素の重量比をクラーク数と呼び、主要元素について以下に示す。
O | 46.6% |
Si | 27.7% |
Al | 8.1% |
Fe | 5.0% |
Ca | 3.6% |
Na | 2.8% |
K | 2.6% |
Mg | 2.1% |
Ti | 0.4% |
P | 0.1% |
また、地球に存在する放射性元素(カリウム40など)の約半数が地殻に濃集している。
[編集] 海洋性地殻
海洋性地殻は、海底火山の噴出物等から構成され、厚さは平均6km程度。玄武岩や斑糲岩よりなり、FeO,CaOを多く含み塩基性である。
深海底掘削船ちきゅうは海底から深さ7kmまで掘削することができるが、これは地殻を貫通しマントルに到達することを意味する。
[編集] 大陸性地殻
大陸性地殻は、10~30km程度の厚さがある。大陸や日本列島などを構成する地殻である。大陸性地殻が厚いことは、アイソスタシーにより説明される。大規模な山岳地帯ではとくに厚く、チベットでは60~70kmにおよぶ。 大陸性地殻の平均化学組成は、
であり、塩基性の岩石だけではなく、花崗岩などのSiO2を含む酸性の岩石からも構成される。
かつては花崗岩質の「上部地殻(A層)」と、玄武岩質の「下部地殻(B層)」に分かれているとされたが、現在では地殻内の物質は均質に近いとされるため、この分け方はあまり使われない。